第57話 崇められちゃった
更に興が乗ってスイスイかけちゃったので再び連日投稿。
ストックなんてねえよ!書いたそばから上げてるよ!
どうしよう⋯⋯俺のことが妖精って身バレしたのは初めてじゃないけどこの子に話しても良いものか?いやーここには部外者が多すぎて絶対悪手だろ。ハインケルに知られてもエレノア経由で口外無用にしてもらえればなんとかはなるかも知れない。けど帯同してる兵士達がなぁ、人の口に戸は立てられないって言うしいずれ広まってしまうな。
「あ、あのう⋯⋯勘違いじゃないですか?」
「いいえ!その遥かなる高みにある能力値、神の器という人の身には許されぬ技能!それが全てを物語っております!貴方様こそが我らをお救いになる御使いなのだと!もしもご助力いただけるのであれば、我らエルフ一同しもべにモガモガ⋯⋯!?」
「わー!わー!それ以上喋らないで!」
ステータスを暴露されそうになって遅れてお手々で口を塞ぐ。あー本当にどうしよう⋯⋯。
「アリスさん、さっきから女王陛下は一体何を仰られているのかな?君に関係することみたいだが隠し事でもあるのかい?」
こいつ⋯⋯教えたくないなぁ、隠し事っていうか俺自体がそれなんだもん。エレノアは律儀に約束を守ってくれてこの一ヶ月他の貴族や有力者からの接触は一切無かったけど、他の人達はそうとは限らない。俺の情報を金で売り渡す奴も出てくるだろうし、恩を売ったこの国ならまだしも他国にまで波及したら最悪俺を巡って戦争が起きる可能性まで⋯⋯それは自意識過剰か?
「アリス、後は任せな」
「お姉ちゃん!」
やはり頼れるものは姉よな!自信満々でニカッと笑ってくれて前に出る姉。その背中はあまりにも大きく頼りがいしか無い⋯⋯いったいなんて言ってこの場を収めてくれるんだろう。あ、剣を抜いた。剣を抜いた!?お前何するつもりだ!!
「よし、お前ら全員ここで死ぬか、秘密を抱えて生き延びるか選べ」
「何言ってんのーーー!?」
それを受けて兵士達が抜剣して取り押さえようとこちらに殺到してくる。しかしハインケルがそれを片手で静止してこちらを見てきた。
「どういうことだい?まずは話を聞かなければその判断もできないよ」
「判断するかどうかは聞いてない。ここから出ることも許してない。お前達が取れる選択は二つ、話を聞いた上で誰にも漏らさないか、私に斬られるかだ」
「公爵の私や女王陛下を差し置いても守らなければならないことがある、というんだね?」
「そういうことだ」
とんでもねえ脅し文句だ⋯⋯やはり脳筋に任せたのが間違いだった。つまるところ究極の選択じゃんか、そりゃ誰でも死にたくないし従うだろ。なんせこの姉にはそれを実現するだけの実力があるんだから。
「悪いが公爵様、俺はこっちに着かせてもらうぜ」
ギルドマスターのドーラスさんがいち早くこっちに靡いてくれた。まぁこの人は俺の正体知ってるし、クリスとティナの力も理解してるから賢い選択だろうな。姉が暴れたらギルドどころか立ち塞がる兵士達を全て薙ぎ払っての脱出さえ可能なんだし。
「悪いなドーラスさん、貧乏くじ引かせちまったみたいだ」
「構わん、いずれこうなるだろうとは思っていた。それにお前はこの街を守ってくれただろう?俺の家族を守ったのと同義だからな、借りは必ず返せっていうのがウチのモットーなんだ」
そんな教えが⋯⋯だからガンドルフもあそこで必死に立ち上がってくれたのか。良い後進育成をしてるじゃないか。一人でもこっちに転んだこの状況はありがたい。
「君がそこまで言うとはね。よし、飲もうじゃないか。この場にいる兵達にも徹底しよう。君達の秘密が漏れた場合は私の連座で纏めて処刑してもらっても構わない」
急に命がかかった選択を決めた上司にザワザワし始める兵士さんたち。まぁそうだよなぁ、機密が漏れたら首(物理)なんて悪の組織くらいしかやらんて。
「分かった、アリスもそれでいいかい?」
良いも何もほぼ決定事項じゃんか!
「えー⋯⋯、まぁ、うん。でももうちょっと穏便にできなかったの?」
「それほどの覚悟はいるだろ?お前を守るためなんだ、命の一つや二つ軽いって」
軽くねえって!俺ももう拐われて拷問みたいなことされるのは御免だけどさぁ!
「じゃあまずはこいつを見てくれ、アリスのステータスボードだ。ちょっと古い物だけど何よりの証拠だよ」
そう言って姉は俺の個人情報を机に出した。毎度のことながら恥ずかしい、のど飴Lv5ってなんだよ。
「これは凄いね、今すぐに国賓として扱いたいくらいだ⋯⋯いや、それでも足りないか。新たに神殿を建ててお祀りするのが最低ラインだな」
やめて。これ以上信仰を捧げないで。さっき聞いたけど知らん信仰系の技能増えてるみたいだし。
「おお、これじゃこれじゃ!紛うこと無き神の証!」
既に信仰を始めてるかも知れない女王様もいるしさぁ⋯⋯今からでも入れる保険ってやっぱないよね?
「状況的に契約者はクリスさんってことだよね?確かにこれがバックに付いてると勝ち目はないな」
「そうだ。ここに流入者ってあるだろ?こいつは別世界からやってきた女神の使いなんだよ。その使命はダンジョンを巡ってコアを安定させることだ」
「直接女神様とお言葉を交わせるほどのお立場の方だったのですか!?これは、これは私めの願いなど不躾な事をお話して申し訳なく⋯⋯」
額から血が出んばかりの勢いで再び土下座をし始める女王様。なんかもう必死過ぎてどうでもよくなってきた。良い機会だし姉達にも話してなかった部分も言うか。
「この世界は今、女神ノールジュが居ません。力だけを残して私が居た世界に呼び出され身動きが取れない状況です。そのせいで双子のセレスティアも役割を肩代わりするための休眠状態なのです。ノールジュの本来の役割は魔素と魔物の調整、またイレギュラーの対処です。それが出来なくなった今、魔素によって稼働していたダンジョンが暴走を起こしつつあり、それを解決するため私が遣わされたということです。無事に全てを成した暁にはセレスティアの眠りも覚め、彼女の手でノールジュを逆召喚することによって世界は再び安定するでしょう」
ちょっと本気出して喋ってみる。最近身内とばっか喋ってたから真面目な敬語は久々だな、偉い人もなぁなぁで済ませてくれる人が多いし。
俺の演説を聞いた瞬間ハインケルを初め兵士さんやドーラスさんも膝をついて頭を垂れてしまった。情報開示して冷静になってほしかっただけなのにどうしてぇ⋯⋯?
「御使様、これまでの数々の無礼をお許しください。我々一同、この身命を賭して貴方様にお仕えすることを至上の喜びとし、これをもって返させていただきます」
「私めも神子様にお仕え出来るとなればそれ以上の誉れはありませぬ」
どうしてこうなった⋯⋯俺にお仕えしたところで焼肉のタレくらいしか出せんぞ。女王様なんか俺の話を聞いてダンジョン攻略で力になってくれるのが確定してるからかすっごいキラキラした目で見てきてるしさぁ!マジでどうしてこうなった!?
「お前⋯⋯さっき後光出てたぞ?」
「は?」
おのれ女神め、わけわからん体に作りやがって!やっぱ許さんわ!!




