表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疑似餌  作者: 天川ひつじ
3/3

第三話

団体客が来た。

騎士、戦士、戦士、魔術師、治療師、召喚士・・・16名。


「良いか、気を付けろ。導き手に会うまで、侵入に悟られてはならない」

「分かっている。・・・まずは赤黒い壁の場所へ転移せねば」

「まずこの道を進みます。大きな物音と、できる限り、周辺への攻撃を控えて」

「大丈夫、絶対、俺たちなら・・・!」

「自動記載地図、機能しません!」

「問題ない、古地図を辿れば良い。彼女は最深部の二層上のはず」


どうぞ、奥へ。そのまま、どうぞ。


***


「っ、彼女、か?」

「・・・違います、戦闘態勢整えて! 来ます!」

「食人鬼が三体! 雑魚!」

「気を抜かないでくださいね」

「攻撃魔法が来ます! 結界展開!」

「面倒くせぇ、行くぞ!」


***


おいで。


おいで。


大きくなって、戻っておいで。


力をつけて、背を伸ばして、技をつけて、感情を豊かにして。


あぁ、見違えるようだ。





・・・なんて、オイシソウ



***


「転移ポイントです、皆さん手を繋いで」

「気を引き締めろ」

「分かってる、一気に最下層付近だろ」

「導き手の彼女に会える可能性が一番高い」

「手筈、間違えんなよ」

「分かってる。今更ミスなんてしない」

「良いわね、ここにいる皆の恩人なのよ、ファイトッ!」


***


こんなに嬉しい事はない。


たった少し、ほんの少し待つだけで。



骨と皮だけだった存在が、丸丸とした旨みをまとって戻ってくる。


おいで。


待っていた。戻ってくるのを、楽しみにしていた。


***


昔。大昔。

一人の戦士を喰った。

喰った仲間を追って、奥まで来た強者だった。

奥まで来れるからにはさぞ有名で有力な者だろう。姿かたちを保って疑似餌とした。


疑似餌は動いた。勝手に動いた。

子どもに会っては、表層部へと、地上へと返す。


喰らう前の個体の意識が残っていたから。


***


ありのままを知るが良い。


この住まいのどこにも、お前たちの仲間など、生きてはいないよ。



あれは、ただの疑似餌。


お前たちを呼び戻すための、意識を残したままの、私の手足。



***





それでは、いただきます。





***




ごちそうさま。おいしかったよ。






おわり

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ