第26話 ラピダリー③
Bar「琥珀」に着くころにはもう日は暮れていた。
玉木硬と鈴間翠は今日の戦果を手にお酒を口にしていた。
亮「んで、今度硬君は今日出会った小林という男と翠をかけて戦うという訳か。」
硬「まぁ、そうなります。」
今日の経緯を亮に話した。亮は呆れたように頭を抱えていた。
亮「はぁ、翠はそれでいいのか?」
翠「ん?まぁ別にいいんじゃない?」
それは豆を口に運びながらだった。
亮「おいおい、翠がいなくなったら誰が硬君を守るんだ…」
硬「…」
守る。俺は守られる対象。分かってはいた。でも無性にそれが悔しかった。
翠「まぁ、いいんじゃない?決闘はいつか経験するわけだし、いつまでも『2人でずっと』というわけにもいかないでしょ。」
亮「いや、まぁそうなんだがな。結局上のクラスを目指すとなると避けては通れないが、でもなぁ。」
そうだ。いつかは1人で挑まないといけないんだ。
ラピダリーで上のクラスに昇格する方法はいくつかある。硬は入会後に渡された携帯からアプリを開く。そこにはラピダリー内の細かなルールが記載されていた。
研磨石《Cut》クラスへの昇格条件、いくつかある内の1つに「・原石《Rough》クラスとの決闘で3人に勝利」というものがある。
決闘。ラピダリーにおける1対1でのギャンブルバトルのこと。
翠「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、亮ちゃん。小林に硬ちゃんが負けるわけないもん。ね、硬ちゃん。」
注がれたお酒を一口で全部飲み干す。
強いアルコールで喉が焼けるように熱い。
硬「ええ。俺は負けませんよ。」
*
硬「ぐぅーぐぅー」
疲れていたのか硬はBarのソファで眠っていた。
カウンターには翠と亮の姿があった。
亮「で、どうだったんだ。今日のサーカスは東院連合が関わっていたのか?」
翠はゆっくりと首を横に振った。
翠「残念ながら、奴らの襟元にあったのは見たこともない代紋だったよ。」
亮「そうか…」
亮はゆっくりと腰を下ろし、頭を抱えた。
亮「いつになるんだろうな。」
翠「さぁ、でもいつかきっとたどり着くでしょ。あの日の真相に。」
翠が顔を上げる。お酒が並べられた棚に置かれた写真を見る。そこに映るのは翠と亮を含めた4人の写真だった。
翠「琥珀ちゃんの死の真相に…」
Bar「琥珀」の入り口に掛けられた札は「Close」と書かれていた。
琥珀というキャラがいます。いつか過去編で掘り下げます。
良いと思ったら、感想、ブックマークお願いします。喜びます。




