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鎮魂歌は世界の端まで響き渡る   作者: 綾織 茅


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第一章~ 村のしきたり 4

 





 東雲村のしきたりは全部で五つあるらしい。しきたりというよりも掟というほうが正しい気がするそれらはこの村が出来た頃からある古いものなのだそう。



 一つ、村祭りの日を除いて子供は日が落ちた後は一人で出歩かぬこと。


 二つ、何か異変が起きた時は久遠家へ相談すること。


 三つ、昼と夕の二回、必ず何かしらの音で時間を知らせること。


 四つ、十五から十七までの子供は毎月一日に医者にかかること。


 五つ、林向こうにある神社に一定の日を除いて近寄らぬこと。



 当然過去にはこのしきたりに従わない人もいたらしい。特に一つ目と四つ目。


 一つ目は夜の子供の一人歩きは確かに危ないからそれを諌めるためだろう。それにしたってもう少し遅くてもいいんじゃないかとは思うけど。四つ目に至ってはよく分からない。なぜその年の間の子は医者にかからなければいけないのだろう?


 それに、そのしきたりに従わなかった人達は結局どうなったんだろう? 二人共そこは言葉を濁してしまって知れずじまいだ。


 しきたりの中に久遠家に相談することとあるように、このしきたりが作られた時にも私の家は関わってるはず。おばあちゃんや拓真さんに聞けば何か分かるだろうか。



「あ、ほら、あそこ!」



 美花が指差す方を見ると、林の向こう側に長い階段が見えて来た。小高い山の頂にその神社はあるらしい。


 確かに、これだとこの階段を上らない限り神社に近寄ったことにはならない、の、かな?



「上る?」

「えっ! ううん! 大丈夫!」

「遠慮しないで、さ」

「あっ、ちょ、ちょっと!」

「美花、やめな。嫌がってるでしょ」

「えー」



 美花に勢いよく腕を引かれ、石段を数段上がったところで志織が止めてくれた。ブーブーと口を鳴らしながらも美花は手を離し、下に降りた。



『あさひ』



 完全に地に足をつけようとした瞬間、どこからか声が聞こえて来た。


 その声は地を這うように低く、何かを切望するかのような必死さをはらんでいた。



「今、声聞こえなかった?」

「え?」

「ううん。なんにも。……何て聞こえたの?」

「え? えっと……私の名前、かな? あ、でも、太陽が昇る時の朝日の方かも」



 美花達は二人揃って顔を見合わせた。



「……次、行こっか」

「そうだね。ここはもう終わり」

「あっ! 待って! わわっ!」



 なんだか分からないまま背を二人に押され、村の方へ足を向けた。


 背後からジッと見られている気がしたけど、それは二人からなんだと思うことにした。でなければ、人っ子一人いないはずの背後に、もう一人。見えないナニカがいると思わざるを得なくなるから。






「じゃあ、私こっちだから」

「うん。色々とありがとう。またね」

「うん! バイバーイ!」



 あれからあちこち二人に連れて行ってもらって、すっかり夕暮れ時になってしまった。


 志織の家は学校を挟んで反対側らしく、校門前で別れた。途中まで一緒だった美花とも別れ、後は一人で五分ほど歩けば家につく。



 L○NEも交換してもらったし、片付けを切り上げて学校に行ってみて良かった。二人も私がこの村に馴染めるか心配してるだろうし、早速友達ができたこと教えてあげなきゃ。



 気持ち急ぎ足になるのを止められず、もう少しで家に着くという時。



「……あれ? お守りがない。どこで落としちゃったんだろう?」



 学校から出る時は……あった。確かにあった。間違いない。それから落とすようなことはしてないから、あるとすれば……あの時、かな。



 腕を勢いよく引っ張られたり、背を押されたりしたからその拍子でポケットから落ちてしまったのかもしれない。


 他の物だったら諦めたりまた明日二人を誘って一緒に取りに行ってもらうことも考えるけど、あれだけはダメだ。あれはお父さんとお母さんが最後に買ってくれたもの。それに、絶対に肌身離さず持っていなさいって言われてたやつだから。


 太陽が落ちていく方を見ると、日が完全に落ちてしまうまでまだもう少しある。



 ……さっと行ってお守りだけ探してすぐに戻ってくればいいよね? それで見つからなかったら拓真さん達に言って一緒に探してもらおう。



 神社のある林の方まで急ぐべく、小走りで家の前を通りすぎた。










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