その⑥
勇の貰った名刺の住所を頼りに、三人はアルバート・ケレスの家へとやって来た。
門が大きく、鉄の門の隙間から中を覗き込むと広い庭に広い屋敷が建っていた。
敵のアジトに潜入すると言う事もあり、アキトとメイビスの腰には布に入れた剣が取り付けられている。何かあってからでは遅いからだ。
「場違いな感じがする。」
あまりの金持ちっぷりを見せつけられ勇はそう言うなり溜息をついた。
「で・・・・そのケレスを呼ぶにはどうするんだ?」
メイビスは辺りをキョロキョロと見渡し、勇にそう尋ねた。
勇はインターホンに指をさして・・・。
「ここのボタン押して話すの。」
勇は躊躇わずボタンを押した。
ピンポーン!!!
突然の聞き慣れない音に、驚いた表情をするアキト達。
暫く後、男性の声が聞こえて来た。
「どちら様ですか?・・・・・
あれ?昨日の?
確か・・・・・プリティレディ!!」
「勇だよ。」
気合い入れて来たせいもあるのか、緊迫感の無いその口調にちょっぴり脱力するアキト達。
「そうそう。勇ちゃんだね。
そちらの方々は?」
カメラ付のインターホンだという事も気付かず、辺りをキョロキョロしまくる二人。
「わたしの家族みたいな人達だよ。一緒に遊びに来たんだ。」
今だキョロキョロしている二人。
「面白い人達だね。
上がってよ。今、とても美味しい紅茶が手に入ってね。見せたい物もあるし、ゆっくりして行ってよ。」
すると門は勝手に動き出し。そして開いた。
・・・・・凄い!!!・・・・・・・
今度は勇も含め三人共、驚いていた。
「ビックリしたでしょ?
僕の父が動く様に作ったんだよ。
あの人、結構器用だからね。
ささ。上がってよ。」
言われるがままに三人は庭を歩き、ケレスのお出迎えを受けて屋敷の中へと入って行った。
ケレスの案内で洋室のある部屋へと三人は行き、そしてフカフカのソファーの上に腰を下ろした。
辺りにはガラスケースに入れられた人形がズラリと並んでいる。
「綺麗な人形。」
勇は人形に見とれていた。
「この人形達は僕の家族が作った物だよ。結構作るのに時間がかかったらしいよ。
時間がかかった分、それなりの価値もある。
僕が一番好きな部屋なんだよ。」
ケレスは紅茶をカップに入れながら嬉しそうにそう語る。
「そういや・・・・ここの部屋に案内されるまで誰ともすれ違わなかったが、今日はあんた一人なのか?
こんな大きな家に住んでるんだ。使用人とかいてもおかしくは無いだろう?」
アキトの言葉に少々沈黙するケレス。
「使用人は元からいないよ。
今は亡き御祖父様が、『使用人がいたら人形を彫るのに気が散る!』って一点張りだったらしくてね。雇おうとしなかったんだ。
父もそれに賛成してたらしく、そのままずっと家事全般は自分達でこなしてるよ。」
彼は笑いながらそう話すとソファーに腰を下ろした。
「・・・・・・父と母と小さい妹は、僕達の作った人形を世界中に広めようと今、旅に出てるんだ。
僕は腹話術と言う仕事があるし、こっちでお留守番。
もう三年位になるかな・・・・。」
・・・・・・三年って・・・・・・
「三年も家族に会ってないの?」
勇の言葉に頷くケレス。
「たまに手紙やら電話は来るから問題は無いけど、成長期の妹を見れないのはちょっと寂しくて残念かな。
兄としては毎日でも妹の成長をチェックしておきたいものなんだけどね。」
彼は少ししょんぼりしていた。
一瞬、弘樹の顔が浮かび上がり苦笑するアキトとメイビス。
「このクッキー美味しいね。」
出されたお菓子を勇はいつの間にか手にして食べていた。
「ほんとだな。
このお菓子美味しいな。」
メイビスも勇に続いて手に取り食べ出しそう言った。
アキトは手に取る事無く、辺りの人形を観察していた。
「これは昔からいる変なカラクリ人形が作ってくれたんだよ。」
・・・・・・・・カラクリ人形?・・・・・・・
三人は初めて聞く言葉に首を傾げた。
「とは言ってもカラクリには見えないけどね。」
キィィ・・・・・。
突然部屋が開き、四人は入口に視線を送った。
だが、そこには誰もいなかった。
「噂をすれば生意気なカラクリのお出ましだよ。」
ケレスは笑いながら扉のノブにブラ~ンとぶら下がっている人形に指を差した。
それを見て沈黙する三人。
「ケレス・・・・。あの人形さんがお菓子作りの上手なカラクリさん??」
勇はちょっと恐がりながら横にいるケレスに聞いた。
「アキト。あいつだ。」
メイビスは隣に座るアキトの耳に小声でそう呟く。
・・・・・・・こいつか・・・・・何だって人形のままで話せる?・・・・・・・
アキトはその動く人形をマジマジと見ていた。
「誰がカラクリだ。オレはアルバート・二コル。お前の先祖の兄だっていつも言ってるだろ?」
言いながら地面に着地してソファーに這い上がる二コル。
ケレスは溜息をつくと・・・・。
「可笑しな人形だよね?まるで人間と話している様だから・・・・。
御先祖様も変な物を作ったと思うよ。」
・・・・・・・こいつ本気でコレを人形と思ってやがる・・・・・・・・
呆れ顔のアキト。
「久しぶりだな。」
アキトは二コルにそう挨拶をした。
二コルは突然声かけて来た客人のアキトを見て一瞬沈黙し考え・・・・・。
「貴様は軍の?
そうか・・・・・弟の術式でこの世界に引きづり込まれたか・・・・・・。」
どうやら理解したらしく突然勢いよく走り出し、そのままアキトに向けて飛び蹴りを食らわそうとしていた。
だが、あっさりと交されそのままアキトに首根っこを掴まれてしまった。
「てめぇ!!!いきなり何しやがるんだ?」
アキトはそう言うと二コルを睨みつけた。
「貴様こそ何しやがる!!!
貴様が余計な事をしなければオレは何の問題も無くこの世界に来れたものを!お前の妨害のせいでこんな哀れな姿になっちまったんだ!」
二人の会話を意味分からんと言った感じで見ているケレスに、ただおろおろしているだけの勇。
「はぁ?自分で放った術位自分で解除しろよ。仮にも神聖術取得者だろ?」
二人の口喧嘩を止める者はいなかった。
「神聖術を使えるのはオレじゃねぇよ。弟の方だ!!
それに弟にもこの術を解け無かったんだよ。なのに何故お前は解けている?」
するとアキトは馬鹿にした表情で・・・・・。
「自分の術もろくに解けねぇって、お前馬鹿だろ?
オレはそんな事より何故あんたが人形のままで喋れるのかが知りたいね。」
二コルはアキトの腕に勢いで蹴りを入れそのままケレスの肩の上に着地した。
「あの術はオレ達アルバート家に、人形使いとして代々受け継がれている術だ。
免疫の一つや二つ持ってても可笑しくはあるまい?
これでも動ける様になるのに五年は掛ったがな。」
自慢気にケレスの肩の上で彼は語った。
それを見てアキトは更に呆れた顔で・・・・。
「胸を張って言える事かよ。
どうせなら元に戻れる様な免疫があったら良かったのにな。はははっ。」
積年の恨みとばかりに嫌みを連発させるアキト。
「動ける様になったんだ。いつかは戻れるんだよ。」
すでに蚊帳の外になっている勇達はクッキーを食べまくっていた。
「もう、訳の分からない事言わないでくれよ。二コル・・・・・。
はははっ。ごめんね。この変てこ人形の冗談話しに付き合わせてしまって・・・・・・。
勝手に喋り出すは動き出すは、全くどうなってるんだろうねぇ。
一度分解してみようか?そしたら仕掛けが分かると思うんだけど・・・・・。」
いつの間にか頭の上に移動していた二コルの体を鷲掴みにしてニコニコニコっと微笑むケレス。
それを聞き真っ青になる二コル。
・・・・・・・ここまで普通に会話してるってーのにまだただのカラクリ人形だと思ってんのか?
ケレスの奴、結構な多物だな・・・・・・・・
「でも美味しいね。これ?
二コルが作ったんだよね?」
勇はそう言うと、ニコニコしながらクッキーをかじって見せた。
二コルはケレスの腕からスルリと抜けて勇の前へと近づくと。
「良い事を言うじゃないか。娘さん。
お菓子作りと手芸ならオレにまかせな。特にお菓子作りは、長年リハビリと称して鍛えぬいた技があるからそんじょそこらの職人の味とは一味も二味も違うぜ。」
胸を反りかえして自慢げに言う二コル。
頭を抱えるアキトとメイビス。
「お前・・・・・
何の為に、あんだけの人を犠牲にしてここの世界にやって来たんだ?
菓子作りの為にか?」
アキトは溜まりかねて卒直に尋ねた。
すると二コルは沈黙し・・・・・。
「何で貴様に言わなきゃならない?」
そう言うと、一瞬二コルはアキトを睨むが溜息をつき・・・・・。
「でもまぁ・・・・・。だいぶ月日も経ち、オレもこれでも丸くなった方だ。
・・・・・・話してやっても良いか・・・・・。」
そう言うと彼は天井を見上げて再び口を開いた。。
「オレ達兄弟は昔、ベネルグ地方で人形使いとして生まれそして育てられて来た。」
・・・・・・ベネルグ地方?確かあそこは・・・・・・・
アキトはそう感じ、メイビスの顔を見た。
「あぁ。
独裁主義者が国を統治しているせいで、貧困、暴動、病気で蔓延しているとされていて世界で一番治安が悪い場所で有名な所だ。」
二コルはメイビスを見て首を傾げた。
「お前はもしかして、こいつと戦っていた時に、逃げれば良いのに近くでウロチョロしていた馬鹿女か?」
眉間にシワを寄せ二コルに向けて指を差すメイビス。
「お前!誰が馬鹿だ!?
自分の術もろくに解けない馬鹿に馬鹿とは言われたくは無い!」
パチパチパチっ!
「ごもっとも!」
横でアキトが楽しそうに手を叩いた。
アキトの様子を見て、ややムッっとした顔をする二コルだが怒れば話しが進まない事を理解しているので何とか抑え・・・。
「貴様も生きているとは弟に聞いていたが・・・・・・
まさか偶然にもこの世界で目覚めているとはな・・・・・。」
考え込む二コル。
「話しはもう終わりなの?二コル。」
目の前にいる二コルに聞きたそうな顔をして急かす勇。
すると二コルは勇の方を見て語り出し始めた。
「オレ達家族は貧しいながらも、代々からの伝統を守るべく人形を作って生計を立てていた。
ああ・・・別に人間をどうこう・・・・とかじゃなく普通に作ってた訳だ。
だが、ある時、オレのいる街に賊が攻めて来た。
オレは何とか助かったが弟以外の家族を皆亡くし、唯一残った弟は重傷で生と死を彷徨っていた。
しかし・・・・・・偶然にも夢の中で、弟は神聖術の知識の扉を開いたらしく、そこで一つの術を会得し、奇跡的にも弟はみるみる内に回復した。
そこで知ったのが、世界を渡る術だ。
平和な世界に住みたい。弟はそう思い、そしてそれに繋がる知識をそこで手に入れたと言う訳だ。
後は大体知ってるだろ?」
頷くアキトとメイビス。
・・・・・・・人間を人形に変え、それ等をその世界を渡る術の源・・・・即ちエネルギーとして使用し、こっちの世界へと渡って来た・・・・・・・・
「だからと言って許される事じゃないだろ!?
オレ達にも守らなければいけない部下が沢山いた。なのに・・・・・・」
仲間を失った悔しさからか、奥歯を噛み締めるアキト。
「自分達の夢を叶える・・・・ただそれだけの為に・・・・・多くの人間を犠牲にしたって言うのか?あんたは!!?」
アキトの怒りの声は部屋に響き渡る。
肩を落としションボリとする二コル。
「貴様に何が分かる!
全てを失い絶望を覚え世界が嫌になったオレ達の何が分かる!?
自然と、ここから出たいと思うのが普通だろ?
神が出る方法を教えてくれたと言うのなら利用するのが道理ってもの。
人間を犠牲にしたのは、オレ達兄弟を不幸にした人間への最大の仕返しだ。」
二コル勢いでそう言いきるとアキトに背を向けた。
「二コルは悪い人?」
勇に突然質問され沈黙する二コル。
「勇!
今の話し聞いてただろ?
こいつは事情があったにしろ、人の命を自分の夢と引き換えに犠牲にした極悪人だ。」
向かいのソファーに座っているアキトがそう言い放つ。
「隊長は黙ってて。」
何故か怒られ、よく分からず困惑するアキト。
「二コルは本当に悪い人?
犠牲になった人の中には家族もいたはず。残された家族は平和だと思う?
もしかしたら孤児になっちゃった子もいるかも知れないね。
二コルはどう思う?良い気味!って思う?」
勇の真剣な表情に二コルは目を泳がせよろついた。
「あぁ・・・・
オレは悪い奴だ。今、思うとオレは恐ろしい事をしたと心から思う。」
・・・・・・何だこれは?
二コルが自分の非を認めただと?・・・・・・・
アキトとメイビスは意味が分からず沈黙していた。
すると勇は二コルに笑みを浮かべ。
「やった事は取り返しのつかない事だけど、二コルは良い人だよ。
わたしは許すけど・・・・・隊長達は?」
勇に聞かれ動揺するアキト達。
「お前なぁ・・・・・部外者だからそう簡単に言うがな。そんなに簡単に許せる物じゃないだろ?
こいつのせいで部下を失うは、人形にされるは、こっちの世界に来ちまうはでエライ迷惑被ってるんだぞ?」
呆れた顔をするアキト。
「じゃあ・・・・・隊長は二コルをどうしたいの?
殺すの?悪い事は永遠と連鎖反応の様に続くんだよ。
それを断ち切るキッカケは必要だと思う。」
ニッコリと勇はそう話すとアキト達は沈黙して考えた。
「・・・・・・・・・・・・・・
お前・・・・・たまに凄い事言うよな・・・・・」
アキトはそう言うと再び考え出し、諦めたかの様に溜息をついた。
「まいったよ・・・・・・勇には・・・・・。」
アキトはそう言うとメイビスを見た。
「そうだな。今は大人しくクッキー焼いてる様だし、わたし達にとっては最近の出来事だが、実質は百年以上は経っている話しだ。
わざわざ昔の話しを持ち出しても今更どうしようも無いだろうからな・・・・・」
メイビスも溜息をついてそう語る。
「それにここは管轄外。お前を捕まえても、連れて行く所が無ければ罰する所も無く、意味も無い。」
今まで凍りついていた空気が勇の言葉をキッカケにして、ようやく解け出し一気に周りは和やかな空気に包まれた。
嬉しそうに笑みを浮かべる勇は二コルに手を伸ばした。
「二コル。今度はケーキ焼いてね?苺、沢山乗ってるやつ。」
すると二コルも嬉しそうに勇に手を伸ばし握手をしようとしたその瞬間突然、辺り全体が光りに包まれた。
『!?』
眩しさの余り目を押さえるその場の皆。
次第に光が治まり目を開けるとテーブルの上に見知らぬ男性が座っていた。
「あれ?
御祖父様の若い頃に少し似てるけど・・・・・・誰?」
今まで黙っていたケレスがようやく口を開いた。
「アルバート・二コル・・・・・」
アキトの言葉にケレスは言葉を失った。
「またまた・・・冗談を?二コルが人間なはず無いよ。何て言ったって昔からここにいるカラクリだからね。」
言ってケレスは人形を探すが何処にもいなかった。それを見て彼は嫌な汗を流していた。
どうやらようやくカラクリじゃない事に気付いた様だ。
「じゃあ・・・・・何?さっきの魔法があるって感じの話しは本当の話で、君は僕の実の御先祖様の兄だったのかぃ?」
やや要点がずれてる様な気もするが取りあえず頷く二コル。
二コルに頷かれ、頭を押さえ意味が分からないと言った感じてブツブツと一人で呟き出した。
「勇・・・・お前また・・・・・」
そう言うとアキトは嫌な顔をした。
不思議そうに二コルを見る勇。
「それがあなたの本当の姿?」
テーブルに座ったままの二コルも意味が分からないと言った顔で自分の姿を見ていた。
「良かったね。元に戻れて。」
笑みを浮かべ再び二コルの手を取って・・・・・。
「モンブランも良いなぁ。
大きいサイズになったら不便な事も無いよね。沢山お菓子作れるね。」
二コルはその言葉に沈黙するが、次第に笑みを浮かべ彼女と握手を交わした。
アキトの服の裾を引っ張るメイビス。
「おぃ!わたしは専門外でよく分からんが、あの子の純粋な心が人形と言う呪縛を解くきっかけになってる・・・・とは考えれないだろうか?
昔、お前はわたしに教えてくれた事があるだろ?聖女の話し・・・・。」
メイビスの言葉に考えるアキト。
・・・・・・・・聖女は清き者で、呪いの類を消す力がある・・・・・・・
彼は頭でそう思う。
「確かに人形にする術も呪法の一つだが、この魔法を使う人がいない世界にそんな人間がいるって言うのか?」
アキトに言われ考えるメイビス。
「魔法を使えるか使えないかの問題では無く、勇の子供の様な純粋さからして、そう考えてもおかしくは無いとわたしは思うんだが?」
言われ考え込むアキト。
「勇と言ったか・・・・・何がどうなったかよく分からんが、お前はオレの命の恩人に等しい。
恩人には礼をせねばならないが、オレにしてくれた事に対してのそれ相応の礼が思いつかない。
だからオレはお前に一生ついて行く。」
二コルは笑みを浮かべてそう語る。
それを聞き口元を引きつらせた、アキトとメイビスは立ち上がり勇の腕を取り・・・・。
「何勝手に言ってやがる!
こいつは既にオレ達の家族みたなもんだ。お前なんか入る余地はねぇよ。」
「そうだ!
お前について来られたら勇が馬鹿になるだけだ。」
二人がそう言うとそのまま入口へと勇を引きずって行った。
「え~?
隊長・・・・・帰るの?
ケレスがまだ混乱してる様に見えるけど・・・・・。何かフォローしてあげないと。」
引きずられたまま、勇はアキトに尋ねた。
「あいつはほっとけ!その内現実に戻って来るだろ。」
頭を抱えたままのケレスと、こっちを見て沈黙している二コルの二人に、勇は軽く手を振った。
「勇!この恩は絶対返す。
だからまた遊びに来な。ケーキでもモンブランでも焼いてやるから・・・・・。」
二コルは咄嗟にそう言うと勇はニコッと笑みを浮かべそして部屋から出ていった。
三人は屋敷を出た後、家に帰る最中様々な事を考えていた。
「終わったな・・・・。」
「ああ。」
アキトの言葉に頷くメイビス。
二コルをどうこうした訳でも無いが、二人の心はやけに穏やかだった。
「くっくっくっ・・・・あの二コルがなぁ。」
アキトの笑いに反応してメイビスも笑いだした。
「あぁ。
まさかお菓子作りと手芸が趣味だったとはな。冷酷非道の人形使いと恐れられてたあいつが・・・・・・くっくっくっ・・・・」
二人は道端で腹を抱えて笑い出し、しまいには道路にしゃがみ込み道を手でバンバン叩いていた。
「まぁ。あいつは本来、そー言う生き方をしようとしていたんじゃねぇか?」
「根から悪い人はいないからね。」
勇はアキト達の会話に口を挟むと笑みを浮かべて見せた。
「アキト隊長。メイビス!
今から家まで駆けっこね。」
言うと突然彼女は走り出した。
彼女の様子を見て二人は顔を見合せ・・・・。
「しゃあねぇな。
勇!オレ達にかなうと思うなよ!」
「何せわたし達は・・・・」
『国軍魔道士部隊の人間なんだからなぁっ!』
アキトとメイビスは同時にそう言うと勇を追いかけて走り出した。




