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第2章 泥沼の現実 2 響の覚悟
響は立ち上がると、ポケットから小さなメモリーチップを取り出した。それは、彼が夜通し解析を重ねてきた「デーモンの通信プロトコル」の脆弱性だった。
「瑞希、君は一人で抱え込みすぎだ。女子一人で、組織の深淵を覗くにはあまりに危険すぎる」
「……響くん?」
「今日から、役割を変える。君は前線で復讐の旗を振り続けろ。僕が、その影から全てのハードルを取り除いてやる。あの日、僕は自分の身を守るためにハードルから逃げた。でも、今は違う。守りたい日常のために、自分からその障害を蹴り飛ばす」
響の瞳には、かつてハードルを跳び越えようとした時にあった「強烈な熱」と、今の彼が培った「冷静な知性」が完璧なバランスで共存していた。
「僕が瑞希の盾になる。君はただ、自分の中の『本当の目的』だけを見失うな」
瑞希は、驚いたように響を見上げた。眼鏡の奥にある、確固たる決意。彼女を凌駕するほどの「覚悟」が、そこにはあった。
「……わかった。響くんのその『正義』、信じてみるわ。でも、無理だけはしないでね」
「無理じゃないさ。これは、僕が自分を取り戻すための、最初で最後のハードル走なんだから」




