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~愛知編~

蜘蛛八人衆に対抗するための人材を集めるために愛知へと向かった神崎。しかし、そこに蜘蛛第4支部が神崎を狙って襲ってきた。

神崎は仲間を探しつつ、第4支部支部長の鳥野を倒すため動き出したのだった。

前回までのあらすじ

東京のヤンキーはほぼ壊滅

ヤンキー撲滅部隊『蜘蛛』は東京を拠点とし、日本中へ飛び立った。



「ようやく着いたか……長かったなぁ」

俺は神崎竜馬。元ヤンキーという理由で蜘蛛に追われ、東京で第2支部長の坂部りんを倒し、『蜘蛛』と戦うための戦力を集めにここ愛知に来た。

「だが、まだここは襲われていなさそうだな。ヤンキーがそこら中にいやがる」

目に付くだけでも数十人のヤンキー達がいる。

「とりあえず話をしてみるか。おい」

俺は近くのヤンキーに話しかけた。

「あぁ?なんだお前?なんか用かよ」

「実は今政府が『ヤンキー撲滅計画』を発令し、日本中のヤンキーを消そうとしているんだ。だから俺たちはヤンキー撲滅部隊『蜘蛛』を倒さなければならない。力を貸してくれないか?」

するとヤンキーは馬鹿にしたように言ってきた。

「はぁ?何言ってんすか?ヤンキー撲滅計画?蜘蛛?何すか、それ。漫画の見過ぎですよ」

笑いながら仲間のところへ行くヤンキー。

(どういうことだ?この計画は表沙汰になっていないのか?)

俺は他のヤンキーにも聞いてみたが、結果は同じだった。

「くそっ!誰も信じてくれない!……まぁこんな話信じろってほうが無理だよな」

俺は諦め、疲れている身体を休めるべく、ホテルへ向かった。



俺はホテルで飯を食べ、露天風呂に入り、ゆっくり身体を休めて、寝た。ちなみに金は第2支部長の坂部りんから貰った財布から出した。

そして翌日、唐突なアナウンスに起こされた。

『ヤンキー撲滅部隊が愛知県へ到達しました。ヤンキー撲滅部隊が愛知県へ到達しました。ヤンキー撲滅部隊が』

俺はそのアナウンスを聞いて飛び起きた。そして窓をみると

「うわぁ、なんだこいつら!」

「逃げろ!逃げろ!」

「全部隊一人残らず捕まえろ!」

「「「ラジャー」」」

昨日沢山いたヤンキー達はあっという間にいなくなってしまった。

「蜘蛛の部隊がとうとう愛知にまで来たか。ここも危険だな。逃げるとするか」

俺は蜘蛛の脅威から逃れるため西にあるデパートへ行くことにした。



「まさかまたマンホールの中を行くとはな」

俺はデパートへ向かうためマンホールの中から下水道を進んでいた。

「えっと、地図によるとここらがデパートの近くか。よし、行くか」

そうして俺は外へ出たのだった。



「もう慣れたなぁ」

案の定奴らに見つかった。

「居たぞ!逃がすなよ!」

後ろからもう聞き飽きた怒号が聞こえてくる。

「あいつらって確かロボットだろ。相変わらず人間っぽいロボットだこと」

俺は一人で愚痴をこぼしながら逃げていた。このまま逃げつづけても仕方ないので、逃げながらデパートへ向かうことにした。

「あいつはデパートへ向かうつもりだ」

「デパートには第4-11の部隊と第4-13の部隊がいます。ので、挟み撃ちに出来ます!」

裏からはそんな物騒な会話が聞こえてくる。が、俺はよく聞き取れなかったためそのままデパートへ向かってしまった。

「もうすぐデパートだ!………ん?入り口に蜘蛛の奴らが機能停止になっている?」

俺が不思議に思っていると屋上から何かが俺の後ろの蜘蛛の部隊にめがけて飛んでいった。

それが蜘蛛の奴らに当たったかと思うと次の瞬間奴らが爆発した。

「おい!そこのお前!お前ヤンキーだろ!早くデパートへ入れ!」

屋上からそんな声が俺に投げかけられた。俺はそのままデパートへ逃げ込むことにした。


デパートの中はかなりの数のヤンキーがいた。中には昨日駅周辺で見かけた奴もちらほらいる。

「おい」

と、突然後ろから声を掛けられた。

さっき屋上からの狙撃で奴らを倒した男だった。

「今いったい何が起こっていやがる。お前知らないか?」

「あぁ、俺はある程度知っている」

「ッ!マジか!教えてくれよ」 

俺は東京で起こったこと、ヤンキー撲滅部隊蜘蛛のこと、何故愛知に来たかを話した。

「………なるほど、お前はその蜘蛛とかいう組織を潰すための戦力を集めるため東京から来たと」

「まぁ、そういうことだ」

「なら、俺が力を貸そう。俺の名前は岩津真だ」

「俺は神崎竜馬だ。そういえば、さっき奴らに打っていたのはなんなんだ?」

「私が作った特製時限式野球ボールよ」

会話に白衣で眼鏡を掛けた女子が割り込んできた。

「さっきの話、聞いてたわ。私も力を貸すわ。私の名前は干柿千春。以後よろしく」

「あぁ、よろしくな」

とりあえず一端全員を集めてこの話を聞かせようと岩津は他のヤンキーたちを呼びに行った。

私は新たな武器を作りにいくと言い行ってしまった。

これで俺の目的は達成出来たと俺は喜んだ。


「………と、いう訳なんだ」

岩津は俺から聞いた話をデパートにいた全ヤンキーに話した。

「つまりそのトップの8人を潰せばいいんだな」

「奴らに復讐を!!」

「奴らに報いを!!」

「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」

ヤンキー達は全員やる気に満ちていた。

俺は全ヤンキーに言った。

「全員静粛!今からこれからの作戦を説明する!敵のトップはここから数百メートルのところにある中臣城だ!」

俺は先ほど干柿が街中に配置している監視カメラの映像を見た時に中臣城に入城する蜘蛛八人衆の一人らしき奴を発見した。

「中臣城の周りは恐らく敵の数も多い。そこでだ!先ほど干柿が開発した対ロボット用手榴弾を岩津を筆頭としたAチームと俺を筆頭としたBチームに配布する。あまり喧嘩が強くない奴は干柿を筆頭とした開発部隊Cチームとして活躍してもらう!」

俺は息を吸って大声で叫んだ。

「必ず勝つぞ!全員ついて来い!!」

「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」


一方中臣城………

「鳥野様、デパートのヤンキーたちがこちらに向かって来ております」

「ほぅ、ようやく動き出したか」

「鳥野様どうします?」

「全部隊に伝えよ!この城からデパートへの道には一切近づくな。そしてこの城を中心とし、半径1キロの場所で待機せよと!城にいる奴らも全員だ!」

「はっ」

俺は座り、ヤンキー共が来るのを待っていた。

「くっくっくっ、お前らが悔しがる顔が楽しみだ」



俺たちヤンキー部隊は中臣城への道を走っていた。しかし、未だに奴らと出会っていない。俺は不安を感じ始めていた。

「おい、何故本拠地へ向かっているというのに蜘蛛の奴らが一体もいないんだ?おかしくないか?」

「何を言ってやがる。今は他の地域のヤンキーを潰すのに忙しいんじゃないのか?何にせよこの好機は逃しちゃいかんだろ」

岩津が俺に言ってくる。

その時一人のヤンキーが言ってきた。

「城の周りにも奴らはいません。どうします?」

「城の周りにもいない?そんなハズは……」

「まさかバレるとは思っていなかったんだろ。よし、全員突撃だ!」

こうして俺は不安を拭えないまま城へ突入したのだった。


「一階奴らの姿は見えず」

「二階、三階ともに同じく」

「ならば残るは最上階だな。全員最上階へ向かえ!」

ドタドタと岩津率いるAチームは最上階へ上がっていった。

「さぁ、我々も」

「待て」

俺はメンバーに言った。

「待てとは?もう敵は目の前ですよ!」

「だからだ。何故城の中にも奴らはいないんだ?おかしいだろ」

「………確かに。いくら散らばっているとしても一体や二体ぐらい居てもいいのに」

「何か嫌な予感がする」

その時城の周りから怒号が鳴り響いた。

「ヤンキー共が罠にかかったぞ!全軍突撃!」

それは城の最上階にいるはずの八人衆の一人が発した言葉だった。


~数分前Aチーム~

「お前が八人衆とかいう奴か」

「いかにも。私は八人衆第四支部支部長の鳥野陰丸。以後お見知りおきを」

岩津と鳥野が対立する。

次の瞬間岩津が野球ボールを思いっきり壁に向かって打ち続けた。

「なんのつもりだ?」

「なんのつもりだって?お前を倒すための策よ!」

壁や床、天井で跳ね返ったボールはすべて鳥野の元へいく。

鳥野はそれを避けた………が

「お前の逃げ道は分かっているんでな!お前の負けだ」

逃げた軌道に岩津がボールを打ち込む!ボールは鳥野に当たった瞬間爆発した。

「かはっ、む、無念………まさかこんな所で………」

「ふんっ、俺を相手にしたことが間違いだったんだぜ」

「こんなところで我が分身を失うとは!!」

そう言って鳥野の分身は煙と共に消えた。と、同時に外から怒号が聞こえた。

「くそっ!罠だったか!」


神崎率いるBチームは城の周りから攻めてくる蜘蛛の部隊と戦っていた。しかし、多勢に無勢。次々にヤンキー達は奴らに捕まっていった。

「どうします神崎さん!あと残ったのは神崎さんと俺しかいません!」

「………仕方ない。撤退だ!Cチームのいるデパートまで逃げるぞ」

「Aチームを見捨てるんですか!」

「これ以上Aチームを待っていては俺たちも全滅してしまうぞ!」

俺は必死に残ったヤンキーを説得していた。

「………分かりました。撤退しましょう」

「よし、全力で走れよ!」

こうして多大な犠牲を払い、八人衆討伐は失敗に終わったのだった。


「おかえり」

帰ると干柿が迎え入れてくれた。

「監視カメラから見てたわ。そして先ほどAチームは全滅したわ」

「そうか……」

俺は何故あの時もっと真剣に止めなかったのだと後悔した。

「これからどうするの?」

「奇襲が失敗した今、このデパートも危ないだろう。拠点を移す」

「なら、ここから北に1キロの場所に都立鋼鉄高校があるわ。そこに行きましょう」

「あぁ、そうだな」

その時一人のヤンキーが、息を切らしてやってきた。

「はぁはぁはぁ」

「おい、一体どうしたんだ?」

「このデパートが蜘蛛の部隊に囲まれています!」

俺は急いで窓ガラスに近づき、下を見た。そこには鳥野と無数の蜘蛛の部隊がいた。

「なんてこった!既に遅かったか」

その時、干柿がスマフォのようなものを取り出した。

「私に任せて。このデパートにはこういうときの為に私が用意した防衛機能があるから」

そう言ってスマフォのようなものをポチポチッと操作した。

すると、デパートからアナウンスが流れ出した。

『迎撃システム作動、迎撃システム作動、味方の方は巻き込まれないよう注意してください』

次の瞬間デパートの屋上辺りからデパート周りに向けて大量の爆弾が投下された。デパートの周りを囲んでいた鳥野率いる蜘蛛の部隊は一体残らず、消失した。

「うわぁ、すげぇ威力だな。これならここに留まっていた方が安全なんじゃないか?」

「それは無料。さっきの迎撃システムを作動させると反動でこのデパートが崩れるのよ」

その言葉通りにデパートが段々音をたてて崩れ始めた。

「マジかよ、おい!全員脱出しろ!」

俺たちは全員無事にデパートを脱出して鋼鉄高校へ向かった。


俺たちは鋼鉄高校へ向かう途中は運よく蜘蛛の部隊と会わずにすんだ。

「全員無事だな」

「えぇ、無事よ。なんとか鋼鉄高校に着けたわね」

「よし、じゃあ奴らが来ないうちに入るぞ」

俺が一歩踏み出した途端、上から岩が飛んできた。

「っ!?全員伏せてろ!」

俺は右手を振りかぶり、その岩目掛けて思いっきり突き出し、粉砕させた。

普通の人間ではこんなデカい岩を投げられないし、蜘蛛はそもそもこんな攻撃はしてこない。

しかし、俺はこの岩を投げられる奴を知っている。

「おい!お前だろ、新庄。出てこいよ」

「ん?おぉ、神やんじゃないか。久しいのぅ」

そこには昔のダチの新庄が立っていた。


「そうかそうか、その八人衆を倒す為にこの愛知まで神やんは来たってことやな?」

「まあ、そういうことだ。あと神やんは止めてくれって言っただろ」

「そうだったか?」

そう言って新庄はガハハと笑った。

「あの、この方は?」

干柿が俺に聞いてきた。

「あぁ、俺がヤンキーの時に一緒に暴れていた仲間だ」

「あの頃は神やんと暴れまわったなぁ。そう、あれは確か………」



~2024年夏

「おい新庄!お前が壊滅担当の『smile』がまだいるんだが、どういう事だ!」

俺は新庄を怒鳴りつけていた。

「あっれ~。おかしいのぅ。確かに壊滅させたはずやで」

「そのかわり何故か『slime』ってチームが壊滅してるぞ!お前また間違えたな!」

「あぁ~、そういやそんな名前だったのぅ。失敬失敬」

「とにかく一緒に来い!壊滅させに行くぞ」

「了解やで、神やん♪」

「神やん言うな!」

こうして俺たちは各地で名のあるチームを潰し、俺たちのチームは伝説のチームと呼ばれるようになった。俺が引退したと同時にそのチームは解散となり、元メンバーたちは各地へ散らばっていったのだった。



「まさかまた会うことになるとは」

「せやな、しかも神やんとなんか驚きやで」

「……それでこれからどうするの?」

ずっと近くにいた干柿が聞いてきた。確かにこのまま学校に留まっても奴らを倒すことは出来ない。

だが、八人衆がどこにいるか分からない今、動くのも危険だ。

「なんや、八人衆を倒すんやろ?ならとっとと行こうや」

「さっきそれやって失敗したんだが」

俺たちが言い合っていると、干柿が何かを操作しながら言った。

「八人衆の鳥野はどうやら分身使いね。自分以外に5体の分身を出せるらしいわ」

「なにっ!?そんな情報どこから手に入れたんだ?」

「これよ」

そう言って干柿はあるブログを見せてきた。そこにある名前は鳥野陰丸

。どうやら本人の名前だ。しかもそこには自分の技の説明や私生活、その他もろもろ載っていた。

「………あいつ、もしかして馬鹿なんじゃ」

「ん?この顔は」

新庄がブログを覗きながら言った。

「わいがここに来るときこいつに襲われのぅ。返り討ちにしてやったら煙のように消えたんや」

「なら、あと本人を含めて3人ね。ちょっと聞いてちょうだい」

干柿が次の作戦について説明した。

「私と神崎、そして新庄がそれぞれ部隊を率いてもらう。残り3人なら一部隊一人撃破が目標ね」

「あの、さっき部隊が壊滅して俺一人なんだが」

「あなた伝説のヤンキーなんでしょ?なら一人でいいじゃない」

「あ、はい」

「で、鳥野の居場所はだいたい分かっているわ。ここから東に500メートルの河原、北へ300メートルの工場、そして恐らく本人がいるのはここ」

干柿が地図を指差した。そこは前回作戦が失敗した中臣城だった。

「なら全員で中臣城を攻めれば」

「恐らくと言ったでしょ!確定は出来てないの!また同じ過ちを繰り返す気!?」

めちゃくちゃ怒られた。

「なら、わいは河原に行くわ」

「私は工場に向かうわ」

「じゃあ俺は鳥野をぶっ倒しに行くわ」

こうして新庄は河原へ、干柿は工場へ、俺は中臣城へと向かうのだった。



~中臣城最上階~

「鳥野様、どうやら残ったヤンキーたちが動き始めた模様です」

「ふん、また同じ過ちを繰り返すとは………やはりヤンキーだな」

「いえ、それが」

「なんだ?どうしたんだ?」

「ヤンキーの部隊は河原、工場、そしてこの中臣城へと三つの部隊に分かれて向かっております!」

俺は手にしていたワイングラスを落とした。

「まさか、俺の能力の秘密がバレたのか!何故だ!?」

「それはあなたがブログなんかに載せているからでしょ?」

突然窓の方から声が聞こえた。

「何のようだ?若葉」

「あら?能力がバレた今、あなたに援軍を出そうと思ってきたのだけれど」

俺は手もとにあったものを若葉に向かって投げつけた。若葉はそれをひょいとよけた。

「この俺がお前ら第8支部の力を借りるだと?寝言は寝てから言えよ」

「あらそう、残念。結果を期待しているわ」

そう言って若葉は俺の前から消えた。

「まだ俺には奥の手がある。能力を見破っただけで調子に乗るなよカスどもが!!!」



~河原~

「新庄さん、どうやらここが河原らしいでっせ」

ヤンキーの一人が言ってくる。

「ん、そのようやなぁ。で、その八人衆とやらはどこや?」

その時川や土の中、土手から大量の蜘蛛の部隊が現れた。もちろんそこには鳥野の姿もあった。

「貴様らが能力を見破ろうとこの数相手ではどうにもならないだろう。さぁ、全部隊出撃せよ」

一斉に怒号を発しながら、こちらへ突っ込んでくる蜘蛛の部隊。普通なら結果はもう分かっている戦い。そう、普通ならば

「さて、お前ら避けろよ!」

新庄が河原の小石を拾うと次の瞬間、巨大な岩と化した。

「ぶっ潰れな~」

岩を蜘蛛の部隊に投げるとまるでボーリングのピンのように吹っ飛んでいく。

「な、なんだ!貴様は!!」

「わいか?わいは新庄慎太郎や。能力は触ったものを巨大化させるもんや」

「クソッ!!だが、相手は少数だ!周りから一気に攻めよ!」

全方位から蜘蛛が一斉に攻めてくるが

「いつわいが一つしか巨大化出来へんって言った?」

いくつもの巨大な岩を作り、それを蜘蛛の部隊目掛けて投げつける新庄の前に蜘蛛の部隊は全滅していった。

「さてと。あとはあんただけやで、鳥野」



~工場~

「ふぅ、意外に遠かったわね」

私たちは工場へ到着した。だが、中には誰の姿も見当たらない。

「干柿さん、誰もいないんですが?」

「何を言ってるの?いるじゃない」

突然工場の地下へ繋がる階段から大量の蜘蛛の部隊がこちらへ押し寄せてきた。

「!?ちょっと、干柿さん!この数は無理です。逃げましょうって」

「落ち着きなさい。もう少しだから」

「もう少し?」

「………………今ね!」

私はあらかじめ持っていたリモコンを操作した。すると、突然工場の床に穴が開き、大半の蜘蛛の部隊はそこから落ちていった。

「………え?今何が?」

「実はね、ここの工場は元々私たち干柿グループの所有物だったの」

「え!干柿グループってかつて数々の最強と呼ばれる武器やトラップを作製する世界有数の会社じゃないですか!もしかして干柿さん」

「そうよ、私はそこの一人娘の干柿千春。そしてこの工場には数々のトラップが仕掛けられているわ」

私はさらにリモコンを操作した。

上から岩が降ってきたり、壁から火が吹いたり、砲弾が発射されたり、そこには地獄絵図が広がっていた。

「うわぁ、あれだけいた蜘蛛の部隊が全滅してる」

「鳥野はいたかしら?」

すると、瓦礫の奥から一人の男が出てきた。

「………まさか、あの干柿グループの奴がまだ居たとは。干柿グループは3年前に解散したんだがな」

「そうね。確かに解散したわ。でも、まだある程度のトラップと武器がある。そして武器、トラップ製造をマスターした私が居る限り蜘蛛の部隊には負けないわ」

私は鳥野に向かって宣言した。

「さぁ、あとはあなただけよ。鳥野陰丸」



~中臣城~

「あいつら、大丈夫だろうか」

俺は一人中臣城の入り口まで来ていた。ここに来る途中、いくつかの蜘蛛の部隊との戦闘があったが、すべて返り討ちにした。

「心配してても仕方ないか」

俺は城への扉を開けた。


城の中は案の定蜘蛛の部隊がいた。

が、ここは城の中。外に比べて蜘蛛の部隊はそんなに多くない。

俺は立ちふさがる蜘蛛の奴らをなぎ倒し、城の最上階へと向かった。

最上階の扉を開けると、干柿の読み通り中に鳥野がいた。

「まさか…………本当にここまでたどり着くとは。しかも私の能力までも見破るとは、流石伝説のヤンキーと呼ばれるだけはある」

「お前は俺たちヤンキーを舐めすぎていた。ただそれだけだ」

しかし、鳥野はまだ余裕のある表情をみせていた。

何故奴は焦らない。まだ何かを隠しているのか?

その時、最上階のドアが開けられた。

「お前らは確かに俺の能力を破った。それは誉めよう。だが、奥の手だけは見破れなかったようだな」

そこには、ボロボロになった干柿と新庄がいた。



「お、おいお前ら……どうしたんだ?」

俺が問い掛けても返事はない。

「無駄だ。そいつ等は俺の奥の手【分身大爆発】を間近で受けたんだ。半径10メートルを爆発させる奥義だ。そして」

鳥野の身体を謎の煙が包み込んだ。

煙が晴れるとそこには筋肉がムキムキになった鳥野がいた。

「これが私の特殊能力【筋力超増強】。これは分身をすべて消された場合のみ発動できる。そしてこの姿になった私は、もう先ほどとは違うぞ!」

瞬間、目の前に鳥野の拳が近づいていた。俺はとっさにガードしたが、後ろに吹っ飛ばされた。

「フハハハハハハ!久しぶりにこの姿になったが、実にすがすがしい気分だ!」

鳥野が高笑いしながら、俺へと近づいてくる。俺はフラフラしながらも立ち上がったが、すぐに鳥野が殴りかかってくる。

「吹っ飛べ!」

俺は鳥野に殴り飛ばされ、城の最上階から外へと吹っ飛ばされた。鳥野も俺を追って、外へ飛び出してきた。

「貴様が地面に叩きつけられる前に決着をつける!必殺【ジャイアントストレート】!!」

鳥野の拳が俺に当たろうとした瞬間、鳥野の動きが止まった。

「……………ふぅ」

俺は地面に降り、上から落ちてくる鳥野をひょいと避けた。鳥野は動かないまま地面へと衝突した。

次の瞬間、鳥野が落ちた場所の半径数メートルの地面がひび割れた。おそらく鳥野の【ジャイアントストレート】が発動したのだろう。

「……何故だ。何故貴様に当たらなかった!」

「俺も奥の手を使っただけだ」

「奥の手!?奥の手だと!ふざけるな!何故貴様が使える!奥の手は我々蜘蛛の八人衆だけが使えるものだ!」

「俺は元々伝説のヤンキーと呼ばれていたんだ。別に使えてもおかしくないだろう」

「………まぁ、いい。次で決めてやる!」

そう言ってまた殴りかかろうとしている鳥野。だが、

「無駄だ。もう決着はついている」

「はぁ?無駄だと?何を言うと思えば………」

鳥野が突然数十メートル後ろに吹っ飛んだ。

「がはっ…………き、貴様………いったい何をした………」

「俺の奥の手は10秒間だけ時を止める能力。だが、一日一回しか使えないし、時を止めている間にした攻撃は対象が動き始めて10秒後に遅れてやってくる。……ん?なんだ、もう気絶してたか」

鳥野を破った俺はフラフラの身体を休めるため、来たときに泊まったホテルへと向かったのだった。



~蜘蛛本部最上階~

「どうやら鳥野の奴が敗れたらしい」

儂は揃っている幹部たちにそう告げた。

「そりゃあ、あいつはブログに自分の能力のことを書いていたしなぁ。負けるのは必然的だったでしょ」

「おい、若葉。お前なんで援軍を出さなかったんだ?」

「鳥野が必要ないって言うからよ。わざわざそんな奴に援軍を送りたくないわ」

「ハハッ、確かにな」

「お主らちょっと落ち着いて聞いてもらおうか」

儂の声で静かになる幹部たち。

「今八人衆の二人がやられた。しかも、両方あの神崎が関わっている。奴をこれ以上野放しには出来ない。誰か奴を討ちとれる者はいるか」

幹部たちがいろいろ意見を言ってくる。

「俺んとこの第一部隊は東北の制圧へ向かっている。無理だ」

「我の第三部隊は九州の方へ制圧に行っている。悪いが、無理だ」

「なら、私が行きましょう」

立ち上がったのは、鳥野に援軍を出そうとしていた若葉だった。

「私の部隊は今三重県に待機させています。私の部隊が一番奴に近いかと」

「うむ、ならばこの件は第8支部に任せるとしよう。吉報を待っておる」

「お任せを。牙城様」

そう言って若葉は外へと出て行った。

「……………第5並びに第6支部支部長よ」

「「はっ!」」

「万一第8支部長が敗れた瞬間、追撃出来るよう近くに陣を構えておけ」

「「了解です!」」

儂は指示を出し、その場を後にした。



「さてと、また一人になってしまった」

俺はホテルへと戻り、次なる作戦を練っていた。この前は明確な目的があったからこの愛知県へと来たのだが、今はそれがない。

「おそらく蜘蛛の部隊はもう日本全国へと進行しているだろうし、もう安全な場所は無いと考えるのが妥当だろうな。まあ、とにかく今日は疲れた。このままここに泊まるとするか」

俺はそのまま眠りについたのだった……………




To be continue………


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