↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デジャヴな異世界で追憶を  作者: シバザキアツシ
記憶のない奴隷編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/16

確認しよう

何故、私、俺、僕はこんなところに。

落ち着いて考えよう。


ここは外、日の匂いがする。

太陽が高い、昼頃だと思われる。


特に寒くも暖かくもない。


草の匂いがする。そこに大の字で寝ている。

背中に草、その下は土。


立ち上がる。

五体満足(ごたいまんぞく)、四肢(しし)の欠損(けっそん)はない。

一通り身体は動く。


性別は男。


一先ず、一人称を僕と設定する。


髪は短い、顔は鏡がないと分からない。

白いジャケット、薄めの赤色のVネックシャツ、白のボトムス。

黒いブーツに黒い手甲。

背中には大きな剣。


剣…分からない、何故、剣を持っているのか。

腰にはポーチ。

中には、小瓶が5本、硬貨と思われる物が10枚。


「!?」

視界の隅(すみ)に写っていた森の方から、人の叫び声が聞こえた。

「ふむ」

人がいるなら、取り敢えず(とりあえず)行ってみよう。

何か聞けるかも知れない。

因(ちな)みに声は低くも高くもない。


一度空を見上げる。

ここは、本当の世界だ。


走り出す、身体は軽い。

運動神経は悪くないようだ。


木々の隙間(すきま)に滑り込む。

湿度が上がり、土の臭いが濃くなる。


進むに連れ、血の臭いも混ざりだし、不快感は高まる。


悪い予感しかしない。


「いた」

少し遠巻きに、木の陰(かげ)から観察する。


黒い鎧(よろい)を着た、剣を構える騎士風の男性と、その後ろに庇(かば)われている白装束(しろしょうぞく)の女性。


黒鎧(こくがい)の男性の前には、巨大な黒毛の狼。

その脇には地面に倒れている人物が二人、性別、生死は分からない。


割れた盾が一つ、悲しげに地面に転がっている。


黒鎧(こくがい)の男性の持つ片手剣は、今にも折れそうな程刃毀(はこぼ)れが酷(ひど)い。


対して巨狼には、見たところ傷など見当たらない。

それ程、硬(かた)い相手なのだろう。


「自分が時間を稼ぎます!その間に逃げて下さい!」

黒鎧(こくがい)の男性は振り返らず、後ろの女性に向けて叫ぶ。

「こ…腰が抜けてしまって」

女性は尻餅(しりもち)をついたまま動けないようだ。

「いやいや、こんな時に…倒すしかないのか」


巨狼が顎(あぎと)を開ける、牙にはまだ乾(かわ)いていない血が付いている。


濃さを増す悪意に、呑み込まれそうになる。


息を呑む。


これ以上は待てない。

助けなくては。


助けるメリットなどない。

頭では分かっている。

しかし、本能が身体を動かす。

何故だか分からない。


助けたい。


助けなければならないと。


走り出す、背中の大剣を抜いて跳躍(ちょうやく)する。

思ったより高く跳(と)べた。

幅(はば)の広い長剣なのに、重さはさほど感じない。


どうやら僕は力持ちのようだ。

空中で上段に構える。身体が全くぶれない。


周りの動く速度がゆっくり見える。


「え?」

「何!?」

突然の乱入者に混乱する二人。

黒鎧(こくがい)の男性は口を開け、剣を落としてしまう。

刃毀(はこぼ)れの酷(ひど)い剣は、泥濘(ぬかる)んだ地面に刺さった。


振り下ろす、斬撃(ざんげき)の乾(かわ)いた音が鳴る。

それだけで、巨狼は二つに割れ、地は裂(さ)け、余波で草木や服がはためく。


断末魔(だんまつま)を上げる事も叶わず、巨狼は倒れた。

この黒い大剣、物凄(ものすご)い斬れ味だ。気を付けよう手を切ったら大変だ。


「そんな…ネームドが一撃で…?」


大剣を振るい血を飛ばし、流れるように背の鞘(さや)に剣を納(おさ)める。

自分でも驚(おどろ)いている、洗練(せんれん)された動きだった。


「貴方…は?」

白装束(しろしょうぞく)の女性と目が合う。

黒鎧(こくがい)の騎士は、まだ固まっている。


「え…と、お邪魔みたいなので、僕はこれで…」

立ち去ろうとした時、袖(そで)を掴(つか)まれた。

「待ってください」

白装束(しろしょうぞく)の女性は、袖(そで)を離さないまま立ち上がり、土埃(つちぼこり)をもう片方の手で叩き落とす。

もう一度、目が合ってしまう。

僕より、頭一つ背が低い女性。

僕を見上げるように見つめて動かない。

何故か気まずい。


「助かりました。まさかネームドを一刀両断(いっとうりょうだん)とは、さぞ高名な…」

黒鎧(こくがい)の騎士は、無事再起動したようだ。

「そうですよね…僕は誰なんでしょう?」

かぶせ気味に喋(しゃべ)ってしまう。

「は?」

黒鎧(こくがい)の騎士は僕と同じ位の身長だが、幅はかなりある。

角張(かくば)った輪郭(りんかく)、眉間(みけん)には、深い皺(しわ)が刻まれている。


「詳しく話を…」

そこまで言った所で、白装束(しろしょうぞく)の女性は口を噤(つぐ)む。

視線の先を追って、直ぐに理解出来た、弔(とむら)ってやりたいのだと。


地に伏した二人を。


彼女はそっと、袖(そで)から手を離した。


「そうですね、僕も手伝いますよ」

腕を捲(まく)り、手伝う意思を示す。

「いえ、恩人にそこまでしてもらうわけにはいきません」

強い意志のこもった言葉だった。

振り返り、遺体へ向かう女性。


首元の蒼(あお)いペンダントが、木漏れ日(こもれび)を反射する。


「それに、この二人は自分達の仲間ですからな」

そこまで言われてしまっては、手伝う訳にはいかなくなった。

「分かりました。その辺で待ってますね」

所在なく、近場の岩に腰を下ろす。


さて、自身の考察(こうさつ)をしよう。

名前は思い出せた。確か、カード。

カードと言う名前だ。はて、姓なのか名なのか分からない。

今はどちらでも構わない。


そんな考察(こうさつ)が途中で中断される。


目の前で、不思議な光景が見られたからだ。

「手が光ってる…」

白装束(しろしょうぞく)の女性の組んだ両手が、淡い黄色に光っている。


目が離せない。


「珍しいですかな?アレは浄化の魔法ですな」

いつの間にか、埋葬(まいそう)の終わった黒鎧(こくがい)の男性が、僕の横に立っていた。

「魔法…」

カードは呆(ほう)けた顔で、それを見続ける。


「見たことはありませんか?」

「えぇ、初めてです。記憶が無いからかも知れませんけど」

「記憶がないのですか!?」

「気付いたらそこの平原に、大の字で寝てました」

人差し指を、その平原の方向に向ける。


本当の話だ。僕にはそれ以前の記憶が無い。


「いやいや、それは大変ですね。詳しく話を聞かせて下さい」

全く疑う素振(そぶ)りもない。記憶を失くす事は良くある話なのか。


「さぁ、向こうに馬車がありますので」

浄化の終わった女性が、先導してくれるらしい。


白装束の膝(ひざ)が土で汚れていた。


白い馬車に、白い馬。

なんか、目立つな。


「さて、どこから話したらいいか…」

「慌てなくて結構ですよ。時間はありますから」

「先ずは、自己紹介から…」

「あれ?」

「どうしましたか?」

「いや、ちょっとしたデジャヴです。話の腰を折ってすみません」

「デジャヴ?とは?」

白装束(しろしょうぞく)の女性は、緑髪を揺らして首を傾げる。

「既視感(きしかん)の事です。体験や経験した事がないのに、以前同じ事をしたような、見たような感覚になる事です」

「なる程、興味深い」

「………」

「どうしました?」


何だこれは。

「ぁ…この光景って」


頭が重い、痛い、目が回る。

身体に力が入らない。

倒れる音。

「いけない、頭を打ってる!」

女性と男性の声が遠ざかる。


※追憶(ついおく)発動条件、三人で車に乗る。


◆


低く唸(うな)るエンジン音が聞こえる。

車内には三人、一人は運転をしている。


黒光りするステアリング。


ゴツゴツ突き上げるような、乗り心地の悪いサスペンション。


ビニールの掛かったままのシート。


薬品臭い車内。


夜。


片道四車線の大通り。

雨で濡(ぬ)れた道路は、ヘッドライトを反射して怪しく揺らめく。


車の窓から見える空は、また狭(せま)くなったように感じる。


行き交う大量の自動車。

乱立するビル、タワーマンション。


「説明は以上だ」

大男は話を締(し)めくくった。

「………」

黒いローブを纏(まと)った男は返事をしない。

フードを目深(まぶか)に被(かぶ)っていて、顔色は窺(うかが)えない。

「お前は公爵の暗殺だけを考えろ」


◇


一番背の高いタワーマンションの、最上階に忍び込む黒尽くめの男。


手早く解錠して、部屋に侵入する。

後ろ手に音を立てず、扉を締める。


正面には豪奢(ごうしゃ)な椅子に深く座る、小太りの男が見える。

「さっさとしろ。俺の死は必然だからな」

小太りの男は、目の前の暗殺者に、全てを諦めているように事務的に告げた。

「………」


閃く銀閃。


倒れる男。


血濡れた手。

小太りの男の懐から何かを抜き取る。


大きな音を立てて開けられる扉。


叫ぶ女。

「パパ!?」


躊躇(ちゅうちょ)なく、最上階の窓ガラスを破り飛び降りる暗殺者。


回る景色。


揺れる地面。


揺れる地面。


『暗殺者の記憶を一部取り戻しました』

機械的な声がカードの頭に直接響く。

『記憶レベル2/1000、スキルを一つ解放します』


スキル∶速さアップ《極》


※暗殺者のスキンを獲得しました


◆


「………?」

「気が付きましたか」

「アレ?今のは?」

揺れていたのは、地面ではなく馬車。

移動しているようだ。


「無理はしないでくださいね。回復はしましたが、頭を打っていたので」

僕は頭を振り、揺れる視線を元に戻す。

「ありがとうございます。大丈夫です」


何だったのだろう。ここではない場所。

誰かの記憶。

誰が何を見せたいのか。何をさせたいのか、さっぱり分からない。


ただ、誰かに見させられたのだと、直感的に感じている。


馬車の幌車の窓から外を見ると、牧歌的(ぼっかてき)な風景。

やはり、先程の世界ではない。


二人は僕が倒れた理由を、聞こうとはしなかった。

ただ、具合が悪くなった位に考えているのだろう。


通常のデジャヴではない。

デジャヴでは、気を失うことも、追体験する事もない。

スキルを得る事もないだろう。


「自己紹介の続きからしましょうか?」


僕の頭の中のぐるぐるは、女性の声によって霧散(むさん)させられた。


一度馬車を停めて、黒鎧(こくがい)の男性が、二人の待つ後ろの幌車に乗り込む。


「では、自己紹介をしますかな」

腹に響く、低音の声で切り出す黒鎧(こくがい)の騎士。

「私は聖塔教会(せいとうきょうかい)の司祭をしている、セレンと申します」

片手を胸に当て、ゆっくりと喋(しゃべ)る。


聖塔教会は分からない。司祭は何となく分かる。


「自分は黒騎士(くろきし)でグレイと申します。セレン様の護衛をしております。貴方の…ご自身の名前は思い出せませたかな?」


黒騎士は分からないが、騎士は分かる。


「名前は思い出せました。カード…確かカードだったような気がします」

「珍しい名ですな。カード殿、ですね」

グレイは目を丸くする。

「後で調べて見ましょう」

セレンは難しい顔をして、そう言った。

「ありがとうございます」

二人の表情の意味は分からないが、僕は頭を下げた。


突然、頭に浮かんだ。

ここはゲームのような世界なのか。

そう言えば、先程、スキルを獲得している。


ゲームとは。


RPG、ロールプレイングゲーム。


僕は何を知っている。

何を言っている。


僕はどこから来たのか。


ゲームの中の世界だとすると、もしかして、ステータスがあるのか。


「すみません、この世界にはステータスがあるのですか?」

抑えきれず、唐突(とうとつ)に口をついてしまった。

「いやいや、なる程、そこまで記憶がないとは…」

グレイは首を振る。

「ステータスは存在します。ですが、自分では確認出来ません」

話をグレイから引き取ったセレンは、銀眼でカードの目を覗(のぞ)き込む。


ステータスは存在する。やはり、ゲームの世界なのか。


「確認するには看破(かんぱ)スキルを持っている人に聞くしかありません」

「そうですか、ありがとうございます…」

試しに、自分のステータスを確認しようとしてみる。

「………」

見える、アホみたいにスキルがある。

どうやら僕は、看破(かんぱ)スキルを持っているようだ。


白色と灰色のものがある。

恐らく、白色のスキルしか使えない。


ご丁寧に、NEWのマークが付いているスキルがある。

先程のデジャヴからの追憶で獲得したものだ。

《速さアップ∶極》

なんか使えそう、極だし。


ステータス総括(そうかつ)。


名前、年齢。

性別、身長、体重。

属性。

種族。

特徴。

ジョブ、HPMP。

固有スキル。

アクティブスキル。

パッシブスキル。

装備。

称号。


そして、レベルは存在しない。


その他、細かい能力値の表示もない。


力とか速さとかの表示が無いのは、自身で理解しろと言う事。

つまりは、努力が報われる世界なのだろう。

筋トレなどのトレーニング次第と言ったところか。


逆に厳しい世界のようだ、レベルでどうにかなるものではないのだから。


「あの?カード殿?」

「あぁ、すみません、ボーッとしてました」

「大丈夫ですか?」

「えぇ、問題ありません」


僕は二人のステータスは確認しない事にした。

なんか、勝手に見たらいけない気がする。

それより、自分のステータスが気になる。


なんだ、ジョブ、《奴隷LG》って。

僕に奴隷感はない。

どの辺が奴隷なのだろうか。では、主人は何処にいるのか。

考えても分からない。

分からないものは、放っておこう。


次。


固有スキル∶解放(リリース)、これも良く分からない。

後回しだ。

ジョブについても、聞かない方がいいだろう。

突っ込まれると、僕は嘘を吐(つ)ける気がしない。

嘘を吐(つ)かなくても良いのかも知れないが、何となく、ジョブが奴隷(どれい)だとは知られたくない。


恐らく、この身体に転生したであろう僕。

記憶のない僕。


今は騎士のグレイと、司祭のセレンと行動を共にしている。

ステータスが見える事は確認出来た。


次は、記憶だ。


「あの記憶を戻せる魔法とかって存在しますか?」

先程、セレンの魔法を見て、何かあるのではないか思い聞いてみた。


「記憶にまつわる魔法を扱っている魔導師はいるのですが…」

歯切れの悪いセレン、整った顔を歪(ゆが)ませる、一体どうしたのだろう。


「その魔導師というのが、少々…変わり者でしてね」

壮年の、厳(いか)つい顔をしかめて言うグレイ。


二人が難しい顔をしてしまったので、話題を変える。

「まぁ、それは一旦置いといて、色々確認させてもらってもいいですか?」


ステータスを確認する事を後回しにして、聞いておきたい事がある。

「構いませんよ」

先ずは、自身の持ち物の事だ。


「お言葉に甘えて…では、コレは何でしょうか?」

持っているアイテムの確認がしたい。

看破でアイテム名は分かったが、使い方が分からない。


僕は腰のポーチから、コインを一枚出した。

「これは、大金貨ですね…」

「ほほう、これはこれは、盗賊に襲われないで良かったですな」

怖い事を言うグレイ。


「えと…大金貨というのは?」

「失礼、それは通貨の中でも、最も価値の高いものです」


この世界の通貨は全て硬貨らしい。下から、銅貨、銀貨、金貨、大金貨の順に存在する。


「説明が難しいのですが…それ一枚で、要塞都市(ようさいとし)の一等地に平屋の一軒家が建てられます」

グレイが例えたものが大き過ぎる。

正直、想像し辛い。

一先(ひとま)ずスルーしておく。


「………」

僕はもう一度ポーチを覗(のぞ)く。

「…同じのが5枚あります…ね」

「…ふむ、そこまでの資産をお持ちなら、探せるかも知れませんね」


探せるとは、恐らく僕の家に関する事だろう。


「確かにそうね、どこかの貴族出身かも知れないですしね。他に聞きたい事はありますか?」

貴族は知っている、身分の高い人達だ。

「えと…この瓶(びん)は何用でしょうか?」

透き通るような、セレンの銀眼が僕に向けられる。

美少女に見つめられると、少し緊張する。


「これは…ポーションですね」

「ポーション?」

「回復薬の事です、これは上位のハイポーションです」

もう一度ポーチを覗く。


五本ある、今見せたのが青色の液体、残り二本は色が違う。

「こちらの瓶は?」

「!!」

「これは…セレン様、もしや?」

慌てだす二人、何事だろう。


薄紅色(うすべにいろ)の液体が入っている。

瓶(びん)自体は先程の物と同一だ。

「えぇ…この色のポーションは、伝説級のアイテム…エリクサーです」

少し顔が青褪(あおざ)めているセレン。

「エリクサー…?」

「このエリクサーを服用すれば、どんな致命的な傷も、状態異常も一瞬で回復されます」

なる程、チートアイテムと言ったところか。


「これ一本で、小国が買えます…」

そりゃ青褪(あおざ)めるわ。


「は?なんでそんなものを…僕は、ホントに誰なんだ…」

「人前では絶対に見せない事をお勧めします」

厳つい顔を、更に厳つくしてグレイが釘を差す。

絶対に襲われる。何だか持っているのが怖くなる。


「…お二人へのお礼に、とかは?」

と、提案してみる。

「とんでもない!高価過ぎます!」


即座の拒否、この二人は良い人で決定。

ともあれ、お金の心配はしなくて済みそうだ。


後は、今後の身の振り方だな。


「二人の世話になりっぱなしと言うのは気が引けると言うか…なんか仕事みたいのって?一先(ひとま)ず記憶が戻るまで…」


纏(まと)まらない僕の言葉。理解できただろうか。

二人は目を見合わせる。


「それでしたら、冒険者なんてものはどうでしょう?」

どうでしょうと言われても、良く分からない。

それを察して、説明してくれるグレイ。

「失礼、冒険者と言うのは、依頼をこなして対価を貰う仕事です」

「危険なものから、採取など危険のないものまで色々ありますよ」


「なる程…どうすれば冒険者になれますかね?」

「これから向かう、要塞都市(ようさいとし)サンゲイルのギルドでなれますよ」

先程の会話でも出た要塞都市(ようさいとし)、字面(じづら)だけで何かゴツいんだろうなと、安易な想像をする。


「カード殿の腕前なら、すぐに昇級できましょう」

「昇級?」

「えぇ、冒険者にはランクがあって、下はF級から最上級のS級まであります」


「試験とかは?」

「私が推薦状(すいせんじょう)を書きましょう。それですぐにD級から登録できるので」

「F級からなのでは?」

「通常はそうですが、命を助けて貰ったお礼だと思って受け取って下さい」


この二人は本当になんて親切なんだろうか、有り難(ありがた)くて泣けてくる。

涙は出ないけれども。


「何から何まで、ホントにありがとうございます」

「こちらこそです。今、命があるのはカード殿のおかげですからな」

がははと笑うグレイ。隣で微笑(ほほえ)むセレン。


流石は(さすが)要塞都市(ようさいとし)、町全体が巨大な壁で囲まれていた。

馬車で町へ入る時、緊張で正面しか見られなかった。


二人とは町の入口で別れ、今はギルドの前。

一人にするのは心配だからと、残ってくれようとしたが、丁重(ていちょう)にお断りをした。


二人にも仕事があるだろうからと。

邪魔はしたくない。


二人は僕の事を調べてくれるらしい。用がある時は、この町の一番高い建物の受付で、自分の名前とグレイさんの名前を出せば分かるようにしてくれるらしい。

宿も手配してくれた。


親切過ぎる、目覚めて始めに出会ったのが、あの二人で本当に良かった。


二人が何故、森に居たのか聞きそびれてしまったが。


◇


「意外とデカいなぁ」

見上げるその建物は、無骨(ぶこつ)な五階建てだった。

「ちょっと緊張…」

ギルド入り口のスイングドアを、慎重(しんちょう)に開け中に入った。


セレンとグレイの気持ちと、推薦状(すいせんじょう)を胸に要塞都市(ようさいとし)の冒険者ギルドへと踏み込む。


記憶喪失、デジャヴ、追憶など、爆弾を抱えたまま、カードの新生活が始まった。

ステータス一部公開。

グレイ・ランス

ヒト・男・39歳

190cm・102kg

赤髪・黒眼


ジョブ:ブレイブナイト[ユニーク職]


HP16720・MP6880


固有スキル:黒盾(ナイトシールド)

全ての攻撃・デバフ防ぐ(戦闘中一回)

消費MP1000


装備

・ブラッククレイモア

・ブラックシールド

・ブラックメイル


アイテム

・ポーション×3

・マナポーション×2


アクティブスキル

・十字斬り

・重刃

・???


パッシブスキル

・黒騎士の誇り(防御アップ特大)

・???


闇魔法

・ダークエッヂ

・???


称号:超凡人


特徴:短髪・細目・低い声

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。