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異世界で必要なものは運だけでした。  作者: 白昼夢
二章 新たな種族とメグルの夢
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あ、絶体絶命………。


でも、いつまでたっても僕の目が針の感触を感じ取ることはなかった。


「あれ…?」


恐る恐る、目を開ける。

するとそこに映っていたのは、遮るもののない、空。


「……?」


不思議に思って下を見る。

するとそこには、奈落。


今まであったはずの岩舞台が崩れ、ミャフェイトンさんは空中に投げ出されていた。

崖の上に張り出していたはずの岩場はなく、はるか下のうっそうとした原生林が、今の足場(仮)だ。

僕は、彼にかけてもらった魔法でもともと浮いていたため、大丈夫だったらしい。



なんとも、幸運なこと…いやまてよ、術者が死んだり気絶したら魔法ってどうなるんだ?



考えてから、それが盛大なフラグだと気づく。いるかどうかも分からない神に祈る僕。


――フラグ建設撤回をよろしくお願いします。

  別に知りたいとも思ってませんから。

  どうなるかを、身をもって実体験などしたくもないっす。


…なんかキャラが変わった気がする。

まぁ、…こんな状況じゃしかたないよねー。


一周回って落ち着いた、そう思い込みながら、思う。


ミャフェイトン殿、ご愁傷様でございます。


「…ん?」


その瞬間、僕の体はすさまじい浮遊感に襲われた。

これはまさか、と思いながら、回転しながら自由落下する自分の体を顧みる。


「あ゛あ゛あぁぁぁぁぁああぁ!!!!」


悲鳴を上げつつ落ちていく僕。

そんな中僕の目が、空中に浮かぶ何かを捉える。

…ちょっとまって、あれミャフェイトンさんだ!!

自分は安全圏に浮かんで、余裕ができたからって僕の魔法を解除しやがった。


何と腹黒、そして最悪の性格してやがる…。

後で生きて帰ったら、三十回くらいこの崖から突き落として、ってあの人どうせ平然として浮いたまま戻ってくるんだろうな。

僕も魔法が使えたらよかったぁ…(泣)


そんなことを考えているうちに、どんどんと森が迫ってくる。

どうやったら助かるだろうか。そんな考えも、恐怖心すらも、落ちていくスピードについてこれずどっかに吹き飛んでしまった。

もう何も怖くない。今ならソウレンの鬼のトレーニングも…いやあれは勘弁してほしいわ。

やっぱあれだけはだめ。


…ってそうじゃない!!

考えてる間に、もうこんなに森が迫ってきている!


うだうだ考えていても仕方ない、漫画みたいに木の枝でスピードを殺しつつ…

着地!!


すっどーん、とものすごい音を立てて木の枝がへし折れ、バキバキっという音に包まれながらもなんとか地面に叩きつけられる僕。

…どこも怪我して…ない!? そんなアホな…!!


こんな時は、ステータスを見るに限る。

HPの欄を見れば何かわかるでしょ。


「ステータスオープン」





      《ステータス》


 【 名 前 】 メグル アイバ

 【 年 齢 】 17

 【 職 業 】 迷い人

 【 レベル 】 1

 【 体 力 】 250/250

 【 魔 力 】 0/0

 【 攻撃力 】 95

 【 防御力 】 56

 【 筋 力 】 62

 【 俊敏性 】 70

 【  運  】 ∞

 【 スキル 】 言語理解

 【 称 号 】 剣聖の弟子・魔族の敵対者







最早大分見慣れてきたまであるステータスくん。でも君…おかしくないですか?


はっ、つい丁寧につっこんでしまった!


あんたさ、いつ見てもレベル1から進化させてくれないよね。魔物とか倒してないのが悪いのかな? だとしてもさ、さすがにこんなに頑張って1ってことはないでしょ。ほかの数値に変動があるんだったらさぁ、もう少し上がっててもいいんじゃないかと思うんだけどなぁ。

あと、まったく体力が削れていないのはどうかしてるよ。何かバグか誤作動でも起こったんじゃないの? まぁ都合のいいバグでしかないから今回は見逃しとくけどさ、もしこれがまともな戦闘中にミャフェイトンさんに起こっていたらと思うと恐ろしくて恐ろしくてもう鳥肌が止まらないよバカヤロー。

そして称号、魔族の敵対者ってなんじゃそりゃ、敵対する気なんざ全くないのに向こうがケンカ売ってきたんだよ? 確かに懐は少しだけ潤ってるけどさ、だからと言って買う余裕なんてないはずなのに押し売りされたんだよ? 僕は何も悪くないはずなんだけどなぁ。



…それにしても、なんで僕は無事なんだ?

そう思ったのもつかの間、しりもちをついたままの体勢から起き上がろうと思った僕は、その理由を察した。



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