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聖女に救われた少年は誓いを立てる  作者: たてみん
第1章 幼い少年は一人
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第8話 門番は子供たちを送り出す

朝の6時。

俺は夜番の同僚と挨拶を交わして、交代を済ませると門を開錠した。

昨夜は戻り遅れて門の外に泊った奴らもいないからあと1時間は暇だな。

そう思いながら欠伸をしていたところに声を掛けられた。


「おはようございます」

「ん?おお。お前さんは昨日の」


他所の村から一人でやってきたという少年。

この街の西側は境界山も近いことから魔物も強く多い。

街道沿いは魔物が出にくいとはいえ、よく無事で済んだなと感心したものだ。

確か冒険者になると言っていたはずだが、年齢制限に引っかかったか。

まぁ仕方ないな。

それでも腐らずにこんな朝早くから出るってのは良い心がけだ。

昼前まで寝こけてる馬鹿どもに見習わせてやりてえな。

そう思ってる間にバッと俺の手を逃れて走って行っちまった。

大丈夫か?

ま、朝食を採りに行くとか言ってたからすぐに戻ってくるだろう。

1時間して戻ってこなかったら、そん時考えるか。

ただ、街の周囲は新人のEランク冒険者が薬草採集でよく歩き回ってるから、碌なのは残ってないんじゃないだろうか。

うーん、まぁダメだったら慰めてやるか。



お、帰ってきたか。

えっと、怪我はしてないみたいだな。

よしよし。


「おう、お帰り。無事に採集は出来たか?」

「うん!やっぱりこの辺りは薬草が豊富でいいね」


うん?っかしいな。

新人どもは全然薬草が見つからないってよくボヤいてた筈なんだが。


「それにほら。丁度良くウサギも1匹捕まえられたしね」

「ちょっ、おまっ」


うさぎはうさぎでも角ウサギじゃねぇか。

採集に夢中になったド新人が1度はケツを刺されて泣きを見る魔物だ。

10歳の子供が採取用ナイフ1本で狩れる相手じゃないんだが。

だがこの何でもない様子からして、こいつの村では当たり前だったのか?

どんな村だよ一体。


「じゃあね、ガルダさん。女将さんが待ってるから僕もう行くね」

「おう、気をつけてな」


そうして元気よく手を振って走り去る少年、カイを見送った。

ありゃあ、将来大物になるかもしれないな。



それから2時間ほどして、新人冒険者のカウラとララコンビが来た。

昨日の1件で懲りたのか、もう変な連れは居ないみたいだな。

あと持ち物からして今回は採集メインといったところか。


「おう、おはよう。二人とも。その様子からすると魔物の討伐はやめたのか?」

「おはようございまーす。あー、はは。はい。やっぱり身の丈に合った依頼をこなした方が良いねって事になりまして」

「無理して上位ランクの人に付いて行っても危険なだけだって身に染みて分かりました」

「そりゃそうだ」


昨日は札付きのDランク3人組と一緒だったから、見てたこっちはひやひやしてたが、あれも良い経験になったみたいだな。

そんな俺たちの心配をよそにお気楽な顔をしているカウラ。


「当分の間は街の近くで薬草採集から始めようって事になったんです」

「それが良いだろうな。だけど気を付けろよ。街の近くだってゴブリンや角ウサギは出るんだからよ。

採集に夢中のあまり、ケツをぶっ刺されたりしないようにな」

「っ、もう。ガルダさんセクハラだよ!」

「はっはっは。そういうのはもうちょっと色気を覚えてから言うんだな」


バシッとカウラの背中を叩いて送り出してやる。

……ちゃんと無事に帰ってくるんだぞ。



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