交錯
「どうした、レイ?お前やけにぼうっとしてるな。これ遊びじゃなくてマジで死ぬんだからな?ちゃんと気を引き締めろよ?」
同じチームのケンに頬を軽く叩かれながらそう言われレイはハッとする。何故だろうか。さっきからぼうっとすることが増えた。
(3回負けたら命もろとも無くなるのに…)
とりあえず集中しなければ。負けたら地上に足は着けられない。天国に足を着くことになってしまう。気を引き締めよう。
しばらく歩くと先程助けた女性が何人か倒していた。見事な銃の使いこなしだ。彼女がさっき慌てていたのはただ武器がなかっただけだろう。
バンッ!
「…っ!」
間一髪で当てられかけた弾を避ける。その時だ。
「うわぁ"ぁ"っ…!」
男性の声だろうか。悲鳴が聞こえた。声が聞こえた方を振り返ると…
「ひっ…!」
男性が血を流していた。しかも吐血している。先程レイが倒した人は吐血していなかった。試しに彼の体に触れてみる。
(…冷たい)
死んだのだろうか。3回負けたから…
(じゃあこの人を倒したのは誰だ…?)
辺りを見回すとレイが助けた女性が冷たい目でこちらを見ている。
「貴方…さっきの。」
「はい。…貴女がこの男性を?」
できるだけ冷静になりながら状況を確認しようとする。
(本当は今すぐにでも叫びたいんだけど…)
「えぇ。何か問題でも?この戦いは…殺し合いなの。」
彼女は冷たく言い放つ。
「そうですけど…それより貴方の銃の使い方は見事でした。何処かで習っているのですか?」
「いいえ。私の父が銃に関連する仕事をしているから見様見真似でやっただけよ。 」
「そうですか…と、名乗ってもいないのにプライベートをお聞きしてすいません。僕はレイ・ウォッチです。」
「そう。私はイェス・カリストよ。覚えなくてもいいわ。」
「そうですか…健闘を祈ります。イェスさん。」
レイはそういうがイェスはお礼もお辞儀も何も無く去っていった。
(冷たい人だけど…あの立ち振る舞い、美しかった。)
先程よりも軽い足取りでレイはチームメイトの所へ戻った。




