09話
「はい、あーん」
「あむ、あ、美味しい」
「でしょ? 暁絵と来たかったんだよねー」
最近は男の子達といることの方が多かったからこれはありがたいことだった。
彼女の方から誘ってきてくれたというのも大きい。
一緒にいたくても真一郎君を優先しようとしているときに邪魔はできないから。
「最近真一郎君といっぱいいるけど、仲が深まっている感じはしないんだよね」
「明里はその先の関係を望んでいるの?」
「それはまあ……どうせなら付き合えた方がいいよ」
「それなら知輝君みたいに大胆にいくしかないんじゃない?」
「知輝君みたいにかあ、それってつまり暁絵みたいに、でもあるよね?」
私がそういうことをできたのは関係が変わってからのことだった。
それまでは私らしく対応させてもらっていただけだから私が同じ扱いをされるのは少し違う気がする。
それにあれからはとにかく積極的すぎて落ち着く暇がないというか……。
「あれだよね、ぐだぐだ言ってないでもっと積極的にいけってことだよね」
「積極的にいかなければならないのは確かね」
「分かった、今日解散したら行ってくるね」
そうしてすぐ行動できるあたりが知輝君によく似ている。
さすが幼馴染と褒めるのは幼馴染でも違う可能性があるからそういうものだと片付けることにした。
私にはないものだから羨ましい。
「でも、まだまだ暁絵といるからね」
「ええ」
「それにほら、あそこに雄吾君もいるし」
「ほんとだ、なにをしているのかしら?」
彼女が店内から思い切り手を振った結果、意外にも気づいてお店に入ってきた。
スムーズに注文も済ませていたから何度か来たことがあったのかもしれない。
ちょっと女性向け的な雰囲気があるから意外だ。
「はぁ、やっと見つけたぜ」
「探してたの?」
「ああ、知輝がうるさくて仕方がなかったからな、もう連絡するから真一郎もここに来るぞ」
「おお、それじゃあみんなで楽しめるね」
数分後、やたらと疲れた顔の真一郎君がやって来た。
その隣にはにこにこ笑顔の知輝君もいたからどんなことがあったのかは少し想像することができる。
「おお、まさか暁絵もいるなんてー」
「演技臭いな」
「まあまあ、今日は明里の隣に座らせてもらうね」
「じゃあ僕は雄吾先輩の横に座らせてもらいます」
言い合いをしないのであればそれでよかった。
ふたりきりより複数人でいられているときの方がいい。
もう前とは違うからそっちに慣れてしまっているというか……。
「やっぱりみんなで集まれるのはいいねー」
「そうだな、俺なんかそうでなくても仲間外れだからな」
「そんなことないですよ」
「相手がいる奴に言われたくねえ」
「ははは、雄吾らしいね」
よかった、やっぱりこのふたりがいてくれると言い争いにならなくて済む。
残りの時間をみんなと楽しんだ。




