10話
「はは」
「え?」
「ははは」
少しおかしくなったのかもしれない。
口にしてからおでこに触れてみたら大して熱くはなくて風邪を引いているようではないみたいだった。
「昨日、楽しそうでした、ね」
「凄く楽しかったわ、雄吾君だけではなく明里や真一郎君もいてくれたもの」
最近で言えば、いえ、急にあまりにも変わりすぎて最近とひとまとめにしてしまうのは合っていないけど、また全員で集まれてよかった。
それぞれ、それぞれのことに意識を向けていたらできないことだから。
特に明里がこちらを優先してくれたことが嬉しかった。
「俺はあの後、ふたりきりでいられると思ったんだ。でも、実際はそうではなくあっという間に解散になってしまった」
「そうね、もうお店を出たときには暗かったから」
「一番暁絵が帰ろうとしていたよね」
「分かったわ、ほら、いまから相手をさせてもらうから」
あまりに急がれるとすぐに飽きられそうで嫌だ。
特に理由が理由だからその可能性の方が高いわけだし。
見た目が好きだと言われても……。
「飽きられたくないのよ」
「え、それって寧ろ俺がそう思っているんだけど」
「違うわ、だって理由が曖昧だもの」
「あ」
「だからこそよ、だから長続きするためにゆっくりやっていきたいの」
別にそういうことを避けているというわけでもない。
ゆっくりであれば少しずつ恋人らしいこともしていきたい。
こんなこと今後あるかどうかも分からないというのもある。
「見た目が好きだと言われても不安になっちゃうか」
「見た目を好きだと言ってくれたのは嬉しいわ、でも、見た目がよければ誰でもいいとも考えられてしまうから」
だから他の恋人同士とは違ってゆっくりやっていく必要があった。
ただ、これは結局自分のためにそうしてほしいと言っているようなものなので、彼からしたらなんでだよと文句を言いたくなるかもしれない。
でも、結局それもどちらかが歩み寄らない限り延々平行線だからそれが無理なら~という考えになってしまう。
「ごめん、急ぎすぎた」
「これだけは分かってちょうだい、私はあなたとこの関係が続けばいいと思っているわ。だって理由がどうであれ、私達は恋人同士になったのだから」
「うん、俺もだよ」
「みんなといられるときはみんなを優先して、あなたとだけいられるときはあなたを優先するから安心してちょうだい」
「分かった」
握手をして約束を交わす。
なんとなくだけど、ただの願望だけど、少なくとも半年ぐらいは上手くやっていける気がした。
まずはそこまで伸ばして、そこからどんどん増やしていこうと決めたのだった。




