表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/72

8.嫌な予感がする

巨乳は人に非ず。

byハードロック

 

 入国審査を終え、バレットがリサーチした宿屋で一息ついたグルーパー一行は一晩夜を明かした。

「ほい、無事入国、そしてリスポーン地点固定まで完了」

「いやぁ、何とか入れましたね」

「じゃあ、作戦会議フェーズですね」

 グルーパーが手を叩きながら全員を長テーブルに座らせる。

「さて、バレット情報をお願い」

「『月白のマグメル』についてですが、一切情報がありません」

「え、いや、結構下調べで出入りしてたよね」

「おう、それで情報が手に入らねえから、全員呼んだんだろ」

「そうだっけ?」

「そうだよ」

「ごめん、忘れてたわ」

「オーケー、じゃあ、そこから情報展開していこうか、と言ってもここ国境付近の農村、得られる情報も少ないでしょうけど」

「王都付近に移動した方が良いんじゃね?」

「メロカルさん、それについては現在、王都では第一王子、リオンが幅を利かせていて冒険者の扱いを厳しくしております。」

「なんでそんなことしてんの?」

「八つ当たりです」

「はぁ?」

「気持ちはわかりますが本当に八つ当たりです。つい半年程前、第一王子がイキリまくって平民の女性に手を上げていたところ、アカアザというプレイヤーが介入しボコボコにされた腹いせだそうです」

「アカアザ……ね」

「ちなみにこのアカアザはFSSのトップランカー、つまり最強のプレイヤーです」

「そりゃ、負けるわ」

 モラセスがそう言うと他のメンバーもうんうんと頷いた。

「そりゃあ、もう、完膚なきまでにボコボコだったそうです。まぁ、戦争を挑めばアカアザが率いるランカーギルドであるポン酢の傭兵団が出てくるでしょうし」

「ポン酢の傭兵……団」

「すごい、冬場に出てきそう」

「入団式には盛大な鍋パーティーがあるそうです」

「くっっっっっっそどうでもええな」

「鍋いいなぁ、おじや食いてえ」

「〆のおじやは格別」

「はいはい、話を戻すがそのせいで王都へのリスポーン地点固定がちょっと難しいためここでまずは様子見というわけです」

「なぁなぁ」

 ヴォトカがテーブルに広げられた地図を指さして全員を呼ぶ。

「どしたん?」

「ここ、地図にない村」

「おっと? 急にきな臭い」

「おいおい、ここの村人全員、頭に耳付いてるぞ」

 窓を眺めながらメロカルは嬉々とした声で言う。

「いや、メロカルさん、人間の頭部には大抵耳が付いてますよ、とうとう脳みそまでチンパンジーと入れ替えたのですか?」

 モラセスは呆れながら言う。

「ああ? ぶっ飛ばすぞ?」

「落ち着けモラセス、メロカルさんは元々チンパンジーだろ!」

 グルーパーは悪乗りしながら窓辺に寄る。

「殺すぞ」

「はいはいはい、どれどれ……おー、獣人ですな」

「え、あ、おい! マジかよ」

「どうしたバレット? 獣人はまずいのか?」

「ええ、獣人は基本的にこの国ではカースト最下位、奴隷並の扱いです」

「ほぉ、じゃあ、これは奴隷が逃げ出して出来た村か、なるほどな、だから関所の近くってわけか」

「じゃあ、なんで俺たち人間を村に入れたんだ?」

「考えても見て下さい、旅人がこの村に立ち寄っていきなり獣人に突っぱねられたら、きっと町や村でこういうでしょう、やけに冷たい獣人の村があったなって」

 グルーパーは即答する。

「なるほどな、じゃあ、穏便に秘密にしてくれと言うか、それとも殺すかのどちらかか」

「そういうことです。まぁ、信用されるまで出られないでしょうな」

 グルーパーは目だけ笑いながら、淡々と言葉を吐き出した。その言葉と同時にクエストのポップ画面が現れる。

「うわぁ、マジか」

 クエストは簡単なもので、村人の信用を得るまで村から出ることを禁ずるというものだ。もしも破る場合、この周辺の獣人たちが敵対するペナルティが発生する。

「まぁ、気長にやっていきましょう」

 グルーパーはそう言うと、早速全員で村人とコミュニケーションを取ることにした。

 

 これからゲーム内時間で約二ヶ月経過するが、その間、ほのぼのRPGのような村人の頼みを聞いては依頼を発生させクリアして信用を得るということを繰り返した。

 この一言で大体話しが片付くのである。

 

 グルーパーたちが集めた情報はどれも月白のマグメルに繋がるものは何一つ無かった。

 ただフライト王国の政府が獣人に圧政を敷き、平民から税を絞り上げ、それに耐えられなくなった者たちが小さな集落を作り自給自足していた。

 従って彼ら彼女らは日々、怯えた生活をしていたのであった。そこにグルーパーたちが現れ、最初は政府の者であると勘違いしていたが、実際はただの旅人で無害であることも理解を示した。

 むしろ、今では色々手助けしてくれるありがたい人間でさえ思えるそうだ。

七人は治水を行い、農耕を教え、基本的なモノの考えもこの僅かな時間で浸透させた。

 たった十数行の描写では収まりきらないほど色々なことを七名は日々過ごした。

 

 そして、悲しいことにこの描写が短くなるのは、悲嘆という感情を持ちたくないからである。


麻婆豆腐!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ