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7.FOOOOOOOOOOOOOOOO!

飲酒運転、ダメ、絶対

byヴォトカ

「FOOOOOOOOOOOOOOO!! たのしいいいいいい!!」 

 ヴォトカは奇声を発しながら森の中をアクセル全開で駆ける。

ハンドルを握ると今までにない高揚感とライダー適性があった為というのもあり、鬱憤をぶちまけるように車輪を回転させていた。

「おち、落ち着け! うっぷ……」

 ハードロックがグロッキーになって窓の外に吐瀉物をぶちまけている。

「はっはっはっは、クッソ楽しいなあおい!」

 グルーパーは高らかに笑いながら後部座席で酒瓶を傾けている。

「よくこんな揺れる車内で飲んでられるな」

「三半規管がガバガバなのさ、あと俺だけルーフなのなんでだよ」

「ハハハ、気にするな」

 モラセスが冗談交じりに笑う。その隣でシガレットはシケた面で窓の外を眺めている。

「全く、一人だけ外とか洒落にもならねえよ」

 そう言いながらウイスキーを煽る。

「じゃんけんに負けるのが悪い」

「それを言うならメロカルさんやろな、まさかの留守番とは思うまい」

「それな」

 蒸気機関で駆動する車のハンドルを操りながらヴォトカが言う。

「まぁ、バレットがログインするまでだから、大して苦にならんでしょう」

 グルーパーはそう言いながら運転座席の窓から酒瓶を渡す。ヴォトカは酒瓶を受け取ると喉を鳴らしながら三口ほど液体を体に収める。

「ありがと」

「おう!」

「おい、何ナチュラルに飲酒運転してんだよ!」

「?」

「?」

「ハテナじゃねえよ! 違法だわ!」

「ココハデンシノセカイ」

「ココハデンシノセカイ」

「オウム返ししてんじゃねえ!」

 半分声を裏返らせながらハードロックは心労を蓄積させていく。

「そんなんじゃ胃に百個くらい穴が空いちまうぜ?」

「ガバガバストマック」

「いや、そうじゃねえ――おい前!」

 目の前に現れた大猪のエネミーを前にヴォトカは今にも鼻歌を歌いそうなほど上機嫌だった。

「口閉じとけよ」

 ハンドルを一気に切り返すと大猪を起点にドリフトしながら巨体をかわしていく。

「あばばばああ!」

「はっはっは」

「おっと」

「もう一回もう一回!」

「FOOOOO楽しい!! やるかぁ!」

「やめろやめ、やめろぉ!!」

「ゲームなんだ、楽しまねえと損だぜ」

 グルーパーはそう言いながらウイスキーを飲む。

「楽しいね、無限に飲んでもリアルに響かねえのは最高だぜ」

「俺にもくれ」

 シガレットが後部座席の窓から手を伸ばす。グルーパーはその手に酒瓶を渡す。

「飲まなきゃやってらんねえ」

 そうぼやきながらウイスキーを飲む。

「そういや、あとどのぐらいで到着なんだ?」

「うーん、今、八時間ってところだから、そろそろ国境だな」

「意外と近いんだな」

「と言っても八百キロはあるけどな」

「時速百キロでこの悪路を走っていたのかよ」

「タコメーターはイカレてんじゃなかったか?」

 シガレットは小首を傾げる。

「ライダーのスキルなのか自分が走っている速度がわかる」

「便利なもんだ」

「それな」

「というか蒸気機関でよく百キロも出るな」

「臨界ボイラーを元に作ってるからな」

「……一歩間違えたら吹っ飛ぶんじゃねえか!」

「何を今更」

 シガレットは悪辣な笑みを浮かべる。それに便乗して隣に座っている性根から悪辣さがにじみ出ているモラセスも笑う。まるで人類の敵である。

「お、見えてきた、あれ関所じゃ――」

 鈍い音と共に四人はルーフから人の気配が消えた事に気づく。

「あっ……」

「これは草」

「直撃したのは木だけどな」

「じゃねえよ!」

 車体すれすれのところに太い枝が伸びており、そこにグルーパーは時速百キロで激突し落車した。

「いてて……全く、酷いぜ」

 よろよろと立ち上がると、軽く体を動かし感覚を呼び戻す。

 それから数メートル小走りしてから車を追いかけた。

 鬱蒼とした森はまだ雪を枝に残し、風と共に春の訪れを待っていた。

 

 

 

「なぁ、酷くない?」

「え?」

「ん?」

「そう?」

「妥当」

「許せねえ……」

 グルーパーは呆れた表情をしながら、関所付近で待っていた四人と合流した。

「さて、一足先に来たが、こっからどうするか、国に入るもバレットが必要だし」

 ハードロックはため息をつく。

「果報は寝て待て……んお、あそこに綺麗な女性陣がおるな」

 グルーパーは目を爛々と輝かせて女性の旅集団を眺める。眼福眼福とつぶやきながらグルーパーは視線を女性らに向けていると、 女性らはもの珍しい蒸気機関の車とグルーパーが浴びせる犯罪者のような視線に直ぐに気付き、歩み寄り始める。

「初めまして」

 黒髪に赤黒いトレンチコートを身に纏った女性が歩み寄る。グルーパーは他のメンバーの前に立ち静かにそして慣れた動きで会釈し挨拶の言葉を述べた。

「こちらこそ初めまして」

「プレイヤーですか?」

「ええ、こっちでは冒険者とも言うのでしたっけ?」

「色々呼び名はあります。私は薬の底の頭首、フローレンスです」

 女性は静かに握手を求めた。

「私は白い森のグルーパー、以後お見知りおきを」

「おや、あの誰も寄りつかないエリアにいるのですね、長いことこのゲームを楽しんでいましたが、初めてお会いしました」

「初期地点からハードラックとダンスっちまったもんで、でもまぁ、リアルでも田舎育ちだったので中々快適ですよ」

「そうですか、もしも、呪いや病気などあればこれを」

 そう言うと、フローレンスは名刺サイズほどのカードを渡す。

「見境なき天使団……?」

「私たちのギルドです、主に傷病者の治療を生業にしているものです。そのカードがあれば、薬や治療などのサービスを受けられます。これも何かの縁でしょう、ご活用ください。もっとも、回復アイテムの類いは品切れが多く、むしろ買い取っている状態ですけどね」

「回復アイテムが品薄なのですね」

「ええ、ここ五十年はずっと、薬草が適正価格の百倍まで跳ねています」

 フローレンスはいかめしそうな表情をしていた。

「何か原因が?」

「さぁ、経済的にはどこかの大御所が独占していると思いますけどね」

「そうですか……そう言えば、白い森にも薬草の類いが自生していましたね、まとまったらバレットと名乗るトレーダーを向わせます」

「回復術士だけでは最近手が回っていなかったので少しでも薬草が手に入るなら僥倖。何せ国の法律で我々は白い森に入れないので」

「入れない?」

「ええ、なぜかキルド発足申請を国に申し出るとき、そのような契約をするのです」

「へえ、なるほど、とりあえず今後は良きパートナーになれると幸いです」

「ええ、そちらもくれぐれも無茶しないでください。傷は癒やせても心は癒やせないので」

 そう言うとフローレンスは微笑む。

「あなたのような美女なら、そこにある蒸気機関の車に突っ込んで生傷でも拵えた方がいいかな」

「あら、私の治療は傷口に染みますよ」

「それでも美女なら本望」

「甘えるな、と申し上げます」

「はっはっは、愉快な時間を過ごせました。ありがとうございます」

「ええ、久々に血の気の少ない……撤回します。今は温厚な人に会えて何よりです」

「これは手厳しい。それではまた」

「ええ、あなたからは……これは憶測ですが、治世者の匂いがします」

「ハハ、冗談が酷い、俺はただの……ただのストライカーですよ」

「今は、そうかも知れませんね、それでは、また」

 フローレンスはそう言うと体を翻した。

「ああ、そうでした、我々のギルドはそれなりに栄えた都市には必ずあると思います。そのカードを見せれば商談もスムーズにできるでしょう」

「ええ、どうも、白衣の天使(ナース)さん」

「私は医者です。ナースではありません」

「失礼、白衣の女神(アスクレピオス)さん」

「あら、お上手」

 フローレンスは静かに微笑むと去って行った。

「いやぁ、美人はいいねえ」

「気取り屋が」

 シガレットは紙巻き煙草に火を付ける。それからふぅと一息煙を吐き出してグルーパーを見る。

「まぁ、良いじゃねえかたまには」

「それで、あの女は信用できそうか?」

「恋愛とか遊び相手には無理だな」

「おめーの趣味は端っから聞いてねえよ」

「人間としては信用できる。しかし、このゲームすごいな人間の癖まで綺麗に再現されてる」

「ほう?」

「視線の動き、それから口調、言葉選び、どれを見ても嘘はついてない。ビジネスにはもってこいの相手と見受けられる。ただし――」

「ただし?」

「俺らのようなレベル低めの爪牙にも掛けるに値しない相手にコンタクトを取ってきた上に相応使えるアイテムまでくれる。ちと話が出来過ぎているようにも見えるな。もしも、これが向こうの正真正銘の善意だったら不敬の極だけどな」

「なるほど」

「まぁ、今はありがたく乗っかるが吉かな。と言っても素人の見立てに過ぎねえけどな」

「美人に騙されるなよ」

 シガレットは静かに釘を刺す。

「騙されるのも楽しまなきゃ」

 悪びれることも無くグルーパーはへらへらと笑う。

「バカは死んでも治らねえか」

「いや、あいつの場合死んでも治らねえだろ」

 呆れ口調でモラセスは呟く、それから眠そうに欠伸を浮かべて目を閉じる。


「おーっす」

 空から声と共にバレットとお荷物のメロカルが着地する。

「おお、バディ優秀だな」

「猛禽類は伊達じゃないぜ」

「んで、そのお荷物は」

「いや、これ、死なないと分かっても怖いわ」

「まぁ、だろうな、普通に俺も怖い」

 メロカルは足を震わせながら言う。その様は生まれたての馬のようであり、死にかけの鹿のようでもあった。

「だろ?」

「まぁ、それが楽しいのですけどね」

「理解できねえ、バカじゃねえの?」

「はっはっは、じゃあ、早速、フライト王国にお邪魔しましょう」

 

 七人は関所に意気揚々と足を前に出した。

 

「そういや、留守中のサニーの世話ってどうなんの? コボルトだけじゃ無理でしょ」

 

 ヴォトカは運転席から疑問をぶつける。

 一名を除いた全員がしまったとしきりに呟く。


「はぁ、そう思ってバンシーを置いてきました」

 

 シガレットは煙草を携帯灰皿に入れる。

「サンキューシガレット」

「おう、あとで誠意(かね)をくれよな?」

「ファッキューシガレット」


この物語はフィクションであり、同じ事をした場合、重大な事故、事件に発展します、よい子も悪い子も絶対に真似しないでください。

ああでも、GTAとかならできるから!ゲームでやろうね!

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