第31話 情報
一方その頃、パロネア軍本部にて
『オイラに与えられた天恵はオーバーディメンション。自身を無敵だと思い込めれば無敵になれるし空を飛ぼうと思えば空をも舞える。
パァン
パァン
パァン
パァン
パァン
パァン
パァン
ザザザザザー………ザザ………ザザー…ザ…ザザザ……』
「これは……ラミューズ殿が恐れていた事が現実になりましたな陛下。」
今回のバニヤ軍鎮守府侵攻にあたりラミューズは嫌な予感がしており万が一自分が殉職してもパロネア軍に情報を残せるように小型カメラを忍ばせていたのだった。
小型カメラの音声と映像はリアルタイムで会議室のスクリーンに映し出されていたが、恐らく止めに放った銃弾が小型カメラを破壊し今スクリーンには砂嵐が映っている。
「まさか、十一の聖痕を結成してこんなに早く脱落者が出るとは………総帥、ラミューズが遺してくれた情報、しっかり纏めたか?」
「勿論でございます陛下、こちらに控えております。」
総帥はこの戦いで得た肉松の情報を分かりやすく簡潔に箇条書きで纏めていた。
(唯の石礫で女神の涙で塗装した軍艦を沈めラミューズの全力の攻撃をモロに喰らって無傷、自由に空を舞い体術はまるで子供並み、これ程までに強力な力を持ちながら少なくとも1時間以上は戦い続けられる継戦能力、自身を無敵だと思い込めば無敵になり空を舞おうと思えば空を舞える天恵『オーバーディメンション』か………)
(倒すには天恵を無効化させる必要があるが、如何せん天恵については情報が少ない。)
「また後日、天恵について詳しい専門家を招いて対策を考える。総帥はラミューズの殉職と残してくれた情報を十一の聖痕に共有しておいてくれ。」
「かしこまりました。では早速行って参ります。」
総帥は十一の聖痕の公邸へと報告へ向かったのであった。
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総帥は皇帝の指令通り十一の聖痕の公邸に向かいラミューズの殉職と情報の共有をしたのであった。
ラミューズの死を知った十一の聖痕の反応はラミューズ程の手練れが敗れた事に対する驚愕と同じ志を持った同志の死に対する深い悲しみの二つであった。
「何より恐ろしいのはラミューズ殿を無傷で倒せる兵がバニヤ軍に存在している事であります。ラミューズ殿を打ち破った兵がいる限り十一の聖痕を送っても同じ結果になる可能性が高いでしょう。」
総帥のこの発言に反応を示した者が居た。
「おい待てよ総帥、まさか暫くテルバニヤに侵攻しないってゆうんじゃねェだろうな?まさかオレ達まで敗けると思ってんのか?」
立ち上がり食い気味に反論してきたのはロッソであった。
普段はボソボソ声で何ゆってるのか分からない男がここに来てハキハキ喋り出した。
「私はあくまでその可能性がある事をゆっているのです。十一の聖痕はパロネア軍の最高戦力であります。そう安々と失ってよい戦力ではありません。それともロッソ殿はラミューズ殿を打ち倒したあの兵を確実に倒せる策がお有りですか?」
ロッソは頭を冷静にして席に座った。
総帥のゆう通り肉松の強さは異次元で底が見えない。
肉松の天恵を分析し弱点を見つけ出さない事には残った10人全員で掛かっても全員返り討ちにされる可能性が高い。
「兎に角、ラミューズ殿を打ち倒したあの兵士を倒せる算段が付くまでは迂闊にテルバニヤに手は出せません。他の遠征に行ってもらう事になるでしょう。」
総帥は伝える事を全て伝え公邸を後にした。
「………しかし、ラミューズともあろう男がやられるなんて……」
ルジェリカとラミューズは十一の聖痕の中でも古株である。
殉職者の多い中、ルジェリカもラミューズもここまで生き残ってきた。
しかしとうとうラミューズまで殉職してしまった。
ラミューズとの付き合いの長いルジェリカは大きなため息を付きビールを呑み始めた。
「あんのバカタレが!油断しやがったな!アタシにこれ以上仲間を見送らせんな!!」
呑み始めて10分程が経つとルジェリカはもう既に出来上がっていた。
十一の聖痕の新規メンバーはルジェリカの様子を見てドン引きしていた。
「ル、ルジェリカ殿、落ち着いてください。」
「の、呑み過ぎですよぅ……もうそこら辺に……」
「これビールだよな。ビールでここまで酔えるもんなのか……?」
「……………」
「なんか喋れよ!」
新規メンバー達がゴタゴタやってる間にルジェリカは酔い潰れて寝てしまったのである。




