青春の管制塔へ
暑い夏。汗をかいても気にならなかった。
「――ボーイ・ミーツ・ガール」、夏と言えばこれでしょう。
男子高校生3人が「ボーイ・ミーツ・ガール」の出会いに向けて奔走する。
「食パンをくわえた少女、西日に照らされる制服少女、うなじの汗が花火に輝く浴衣少女――、それらが僕らにとっては青春だった」
「ボーイミーツガール」はシチュエーションから生まれる!?
青春の管理下、高校生の日常がここに――。
▽第一話▽
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「あの時、初めてシェルターで食べ物を食べたけど、美味しくて驚いたよ」
原田が笑って言った。
「特にショートケーキは美味しかった。なんでお客さんがいなかったのだろうか」
「まさか、パンを六枚食べて更に食べると思わなかったよ」
「あれはやけ食いだね、仕方なかった」
「あれは奇跡だった。あそこでおにぎり持った母親にぶつかる可能性なんて、飛行機事故の何倍も僕はすごいと思うよ」
「それはどういう顔をすればいいの?」
「さあ、ただただあの時は面白かった」
「僕は面白くなかったけど、いま思い出すと本当に面白かった。飲み会の席でこの話をしてもさ、誰も信じてくれないよ」
僕は当然だろうなあ、と思った。僕もその現場にいなければこんな話は信じない。
「矢沢さんは信じてたよ」
僕は言った。
「あの人はただ面白がってただけだよ。今になってその罰があたって田舎に嫁ぎ先探しに行ってるけど」
――、あの年は奇跡が三回起こった。
原田と庵野と僕の奇跡。正直そのなかでも原田の奇跡は誰の奇跡よりも奇跡的であった。
「庵野にも会いたいね」
原田が言った。
「計画してよ」と僕が言うと原田は大きく頷いた。
「またみんなでシェルターで会おう、矢沢さんにも連絡を取ってみるか」
原田はそう言って、店員の矢沢さんに話しかけに行った。
庵野の奇跡は、僕と原田の考える理想のボーイミーツガールだった。
次回から庵野のボーイミーツガール編になります。




