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ヴェノムの盗賊たち  作者: 倉名まさ
9/9

第九幕 破壊神ケルヌンノスと天狼の巫女

 歌声がデミルの意識を醒ました。

 天界から降り注ぐごとく、清澄にして荘厳な調べ。

 謳い手は天使か女神か。

 人の業の領域を遥かに超越していた。

 時に星々の瞬きのように煌々ときらめき、時に鳥のさえずりのごとく柔らかく響き、音域は一人の歌声とは思えないほど幅広い。

 その超人的な女性の歌声に対し、男性の低いコーラスが旋律を支えていた。

 もうろうとかすむ意識の中、デミルはいぶかしんだ。

 死後の世界が仮に実在するとすれば、自分は間違いなく地獄行きのはずだ。

 だが、聞こえてくるのは天の調べとしか思えなかった。


 ―――俺は……生きているのか……?


 疑念とともに、デミルのまぶたが開く。

 目にした光景に、もうろうとかすみがかっていた意識が即座に醒めた。

 不気味で、禍々しい場所だった。

 全体の構造は神殿の祭儀場のようだが、地下とは思えぬほど天井が高く、だだっ広い。

 地下世界全体を照らしていた薄緑の照明がここでも壁一面をびっしりと覆っていた。

 緑光に映し出されるのは、デミルには意味も由来も分からない、怪しげな紋様と文字らしき記号。

 そして、壁に半ば埋もれるように彫られた怪物の彫像だった。

 絵巻物に登場する悪魔の姿を数段怖ろしく、奇怪にしたような姿だった。

 怪物像は巨大な双眸をもって天井からデミルを睥睨(へいげい)する。

 だが、デミルは部屋の様子になど構っていられなかった。

 ここが祭儀場なら祭壇にあたる場に立つ者の姿があった。

 プラチナブロンドの髪に琥珀の瞳。陶磁器のように白い肌。

 その白い肌に対象をなすような、漆黒のドレスを身にまとっていた。

 そして、首には蒼い宝玉が埋めこまれた首飾り。

 天使の如き歌声の主は、その者だった。

 見紛うはずもない。

 デミルが探し求めてここまで来た相手。


「アセナ!」


 その姿に釘付けになりながら、デミルは力いっぱい名を呼んだ。

 アセナの両側には、白い仮面の男達がかしずき、歌声に唱和していた。

 デミルの叫びに、歌声がぴたりと止まる。

 アセナは祭壇の上からデミルの姿を見下ろした。

 その顔には例の謎めいた微笑が浮かんでいた。

 黒いドレスこそ目新しいものの、その佇まいは空家で見た時と同じだった。

 周囲の状況など意にも介さないような、超然としたものだ。


「来てしまったのね、デミル。せっかく警告してあげたのに、いけない子ね」

「……アセナ!」


 デミルは彼女に駆け寄ろうとし、そこで初めて自分の身を戒めるものの存在に気づいた。

 胴に巻きついたそれは金色に輝く鎖のようだった。

 重さも質感もない。

 だが、どれほど力を込めようと解けず、デミルをその場に縛りつける。

 魔術的な代物であることは明らかだった。


「……アセナ、キサマがこいつらの黒幕なのか?」


 デミルはかしずく白面の男達を見やり、問う。

 アセナはその問いに、ゆっくりと首を横に振った。


「いいえ。彼らとはたまたま目的が一致したに過ぎないわ。私に課せられた使命とね」

「使命?」


 その時、頭上からばさりと烏の羽ばたくような音がした。

 黒の法衣を羽根のごとく広げ、鴉面の男、バベルがデミルとアセナの間に降りたつ。


「クカカカカ、そコから先ハ我らガ語ろウ」

「……出やがったな、鴉野郎」


 デミルが苦々しげに毒づく。

 バベルは芝居がかった仕草で法衣のマントをひるがえし、恭しく祭壇上のアセナを指し示した。


「こレにおわすハ、破壊神ケルヌンノスを現世に顕現セシめる、唯一にしテ絶対なル仲介者、天狼の巫女アセナ様にあらせラレる」

「……天狼の……巫女……?」


 デミルにとって、正直バベルがなにを喋っているかなどどうでもよかった。

 ただ、金属がこすれるような声を張り上げられ頭痛がしただけだ。

 さいわい、というべきか。続きの言葉は左右にひかえる白仮面の男達がひきとった。

 謳うように、朗々と口上を述べてゆく。


「さよう。我らホクポトク一族の悲願はオルハン帝国への復讐を遂げることであった」

「だが、我らには力がなかった。導師バベル様を除き、真に力ある魔術師達はみな愚劣なる征服王に虐殺されたゆえに」

「我らの悲願を叶えるためには、より強大な力を手に入れることが必要不可欠であった」

「我らは雌伏の時を耐えて過ごした。だが、恥辱は報われた。我らが導師が、その広大無辺なる叡智をもって、破壊神ケルヌンノスと天狼の巫女アセナ様の伝承を発見されたのだ」


 ごくかすかに、アセナの瞳が揺らいだ。

 だがその表情から、内心を読みとることはできなかった。


「人類の歴史の影に常に破壊神の存在があった。かの神は、人類がその分を超えて、腐敗、紊乱した時に必ず登場し、行きすぎた文明を滅ぼしてきた」

「紫水海のゲレウム文明、古代ネフェルト王朝、ザレオン異教神国―――、いずれもその傲岸不遜なる繁栄が破壊神の怒りを招き、その鉄槌によって滅び去ったのだ」

「我らは伝承を元に、破壊神復活の儀を執り行うことを決意した。あえて、オルハン帝国の顎たるこのヴェノムの地下へと潜伏し、時が満ちるのを待った」

「オルハン帝国は貪欲に肥大化し、奢侈に溺れ、世界の秩序を乱すにいたった。とりわけ、猛毒の街ヴェノムはその象徴である」

「伝承が真実であれば、必ずや破壊神の鉄槌が下されるであろう。そしていま、降臨の鍵たる首飾り、扉たる天狼の巫女アセナ様が我らの元にある」

「選ばれし民たるホクポトクは、いまこそ破壊神の使徒となりて、ヴェノムに神罰を下すのだ」


 仮面を着けていても、口上とともに彼らが次第に高揚しはじめたことが気配で分かった。

 だが、デミルはなんの感銘も抱くことはなかった。


「……話は終わりか?」


 吐き捨てると、聞えよがしに大あくびを放った。


「ちっ。人が身動きできないのをいいことに、長々と読経を聞かせやがって。

 俺が用があるのはその女の身体だ。破壊神だホクポトクだ、ヴェノムだ、オルハン帝国だ、全部どうでもいい」


 仮面の男達の誰かが「ふん」と鼻を鳴らした。

 表情は見えなくても、デミルへの侮蔑の気配が伝わってくる。


「……下賤の盗賊風情には、我らの崇高なる使命は理解できぬようだな」

「ここは、本来お前のような賤しい者が立ち入ってよい場所ではないのだ」


 アセナの反応はそれとは違った。

 さもおかしげに上体をのけぞらせ、「あっはははは」と突きぬけるような笑声をあげる。


「ええ、ええ、デミル、あなたの言うとおりね。

 私も天狼の巫女の使命なんて、心底どうでもいいと思っていたわ」


 口元に手を当て、アセナは笑い続ける。

 だが、その瞳だけはどこか哀しげに伏せっていた。


「生まれた時から、私には私のものではない記憶があったわ。さっきそこの男がいった、古代文明の数々を滅ぼした巫女の記憶……。

 けど、私にはそんな使命なんて、どうでもよかった。あちこち旅をして、私を捕えようとする運命から逃れ回っていた。時には奴隷の中に身をまぎらわせながら、ね。

 でもね、デミル」


 アセナはひた、とデミルの目を見すえる。

 出会った時から変わらない、底が覗き見えない、どこまでも深い琥珀の瞳がデミルを射抜く。


「あなたが例の首飾りを持っているのを見た時、運命から逃れようとしても無駄だと悟ったわ。

 天狼の巫女として破壊の神をこの身に降ろすことは、生まれた時から―――、

 いえ、私の生まれる遥か以前から定められた私の使命なのよ。

 どうせ逃れられないのなら、ちゃっちゃと済ませてしまった方がいいでしょう?」


 アセナは再び祭壇の上にたたずむ。

 祈りを捧げるように、両手を頭上にかざす。

 首飾りの宝玉が蒼く輝く。

 デミルがそれに手を伸ばした時のように。

 いや、その時よりも遥かに強く、神々しい輝きだった。


「クカカカ、よクぞ決心しタ。天狼の巫女ヨ、さア、神儀の続きダ」


 アセナの口から歌声が再び紡がれる。

 仮面の男達も、アセナにかしずき、唱和した。


「くそ……」


 デミルにはただ毒づくことしかできなかった。

 光の縄はデミルの体を戒め続ける。


 歌声は終局に向け高鳴る。

 それはもはや歌声とも詠唱とも呼べる次元ではなかった。

 荘厳なる音の連なりは、光輝の矢となり天井へと立ち上ってゆく。

 首飾りから発した輝きはいまやアセナの全身へと行きわたる。

 詠唱の最後には目も開けられないほど眩く、蒼い輝きを放った。


「おお……」


 仮面の男達が畏怖にうたれたように、どよめく。


 ―――あれは、アセナ……なのか?


 魔術的なことなど何も分からないデミルですら、圧倒的な威圧感を覚えた。

 肌がびりびりと震え、本能的な恐怖に胸がざわつく。

 アセナの姿形が変容したわけではない。

 だが、そこにはまったく異質な存在感があった。

 もはや、人と対峙しているとすら思えなかった。


 ―――ちっ、いよいよ、破壊の神とやらのおでましってことか。


 額に脂汗が浮かび、喉の奥がひりつくのを感じる。

 数々の死地をくぐりぬけたデミルも、これほど人智を超えでた重圧を感じるのは初めてのことだった。

 アセナは一際声高らかに、天を引き裂くような結びの声を放った。

 蒼き光の柱が立ち昇り、広場を輝きで埋め尽くす。

 たまらず細めたデミルの目に、アセナがゆっくりと倒れ伏すのが見えた。

 そして―――、


 なにも起こらなかった。


 人ならざるものの気配は雲散霧消していた。先ほどまで広間を満たしていた、身を押しつぶす程の重圧も消えていた。


 ―――失敗……したのか?


 デミルが戸惑ったのは一瞬のことだった。


「アセナ!」


 デミルの身を縛っていた光の縄は消え去っていた。

 叫び、アセナの元へ駆け寄る。

 アセナの顔は青白く、憔悴しきっていたが、意識は失っていないようだった。

 デミルの胸に抱かれながらも、ある方向を睨みつけていた。

 その視線を辿ると、その先には鴉面の男、バベルの姿があった。


「……どういうつもりかしら?」


 アセナは明らかにバベルに向け、そう問いを発していた。

 一瞬遅れてデミルも気づく。

 バベルの手に、いつの間にか、蒼く輝く首飾りが握られていたのだ。


「導師、これは一体……?」


 この状況は仮面の男達にとっても想定外のことのようだった。

 戸惑いながら、おずおずとバベルに声かける。


「クフフフ、クカカカカカ、アッハハハハハ!」


 バベルは自分を取り巻く疑念の視線になど、まるで気づいていない様子だった。

 じっと首飾りに魅入り、突如哄笑を上げた。

 金属がこすり合わさるような不協和音は止むことなく、広間に響きわたる。


「クハハハハ、素晴らシい、素晴らしイぞ! こレが神の力か、なンという魔力! 

 なんトいう圧倒的力! クハハハハ」


 デミルにも、事態がなんとなく飲みこめた。

 天狼の巫女アセナが破壊神を降臨させるその寸前。

 バベルがなんらかの手段でその力を「盗んだ」のだ。


「フハハハハ!」


 哄笑をあげながら、バベルの身体がふわりと浮かび上がる。


「野郎!」


 デミルは宙に浮いたバベルに、短刀を投げつけた。

 だが、バベルに当たる直前、蒼い光の壁が立ち現れ、刃を弾いた。

 バベルは重力に逆らい、浮かび上がりつづける。

 そして、祭壇奥の怪物像の元へと辿り着いた。

 怪物の額に吸いこまれるように、バベルの姿がふわりとかき消えていく。

 額のあとにはただ、蒼い輝きだけが残る。


「なんだ……?」


 その時、激しい地揺れがデミル達を襲った。


「いけない、早くここから出なさい、デミル!」


 アセナの叫びによって、デミルは仮面の男達よりいち早く事態を悟った。

 怪物像が、壁から身を引きはがそうとするように、ゆっくりと動いていたのだ。

 急速な勢いで、広間の壁や天井がひび割れる。


「ちッ!」


 デミルは揺れる地面に足をすくわれそうになりながら、アセナを抱えて立ちあがった。

 天井の崩落が始まっていた。

 降り注ぐがれきを避け、デミルは建物の出口へと辿り着く。

 地下世界へと出て、十分に建物から離れてからはじめて、後ろを向く。

 地下とは思えないほど大きな神殿が、轟音を立てて崩壊していた。

 土煙の中、白仮面の男達も脱走しているのが見える。

 だが、その数はあの広間にいた男達の半分程度だった。

 残りは崩落に巻き込まれ、瓦礫の下敷きとなったのだろう。

 そして―――、土煙がやんだあと、巨大な影が見えた。

 影は、屈んだ姿勢からゆっくりと起きあがる。


「化物め……」

「醜悪な姿ね」


 その影を見つめながら、デミルとアセナがそれぞれつぶやく。

 それは広間で見た怪物像だった。

 広間では壁に半身が埋もれるように彫られていたが、いまやその全身があらわになっていた。

 壁にめり込んでいた時の数倍、怪物性が増してみえた。


『クフフフ、アハハハハ』


 怪物の口から笑い声が放たれた。


「あれは、あの鴉野郎なのか?」

「どうやらそのようね」


 デミルのつぶやきに、アセナは首肯する。

 だが、もうあの金属がこすれるような不自然な声質ではなかった。


『我は魔力を得るため全てを捧げた。魂を削り、生身の身体を捨て、あらゆる不便を耐えしのんだ。我が寿命も風前の灯火であった。だが、いまこの時、その全ては報われた!』


 声だけなら、それは若々しくたくましい男のものへと変質していた。

 だが、その声量は地底から響くように大音量だった。

 やはり、生身の人間のものとは大きく異なる。


「う、うわあああ!」


 至近距離で怪物と対峙した、白仮面の男の一人が恐慌をきたした。

 叫び声を上げ、おそらくは我知らずのうちに、術の詠唱をしていた。

 そして、手の内に火球を生み、怪物へむけ放った。

 火球は怪物の右肩あたりに着弾し、爆音を上げる。

 だが、爆発がおさまったあとには、わずかにその表面がすすけただけで、ダメージはほとんどなさそうだった。


「よせ、あれは導師だぞ!」


 混乱する男を制止するように別の白仮面の男が、怪物との間に割って入る。


『のけ』


 怪物が右腕を横なぎに振った。

 制止していた男にも、恐怖してい男にも、腕は直撃し、まとめて吹き飛ばす。

 悲鳴を上げることすらかなわず、二人の男は離れた岩場に高速で叩きつけられ、即死した。

 それを見た白仮面の男達がわっと一目散に逃げはじめる。

 だが、中にはその場に踏みとどまり、怪物に向かって呼びかける者もあった。


「なぜです、導師。破壊の神をよみがえらせ、オルハン帝国に復讐を遂げることこそ、我らの本懐だったのではないのですか!?」

『我ら? 我らか。クククク……』


 怪物はそのあぎとを白仮面の男達に突きつけるように、ぐっと身をかがめた。


 ―――くっ、ヤバい。


 デミルは本能的に背中がちりちりと焼けるような危険の匂いを感じ取った。

 再びアセナを抱え直し、横に跳ぶ。

 その直後―――、


『キサマらできそこないと同じにするな!』


 咆哮を上げるように、怪物が叫んだ。

 それと同時に、その口から光熱の刃が一直線に放たれる。

 刃は地面を薙ぎ、爆発を巻き起こす。

 デミルが先ほどいた場所も炎熱に包まれていた。


「うあああ!」


 爆発に巻きこまれた男達は悲鳴の余韻だけを残し、消し炭と化す。


『ホクポトク一族の怨恨など我にはどうでもよい。

 全てはこの時のため。この溢れるばかりの神の力を手中におさめ、世界に冠たる魔術師の王となることこそ、我が悲願よ』

「愚かね」


 怪物となったバベルにむかい、アセナがぽつりとつぶやく。


「私にまつわる神話を調べながら、その真意は汲みとれなかったようね。

 過ぎた力は身を滅ぼす。あなたが使おうとするその力は、人の身には扱いきれない神の力なのよ」

『フハハハハ、人が神に怯える時代は終わったのだ。天狼の巫女よ』


 声は変わっても、笑い方は鴉面の時と同じものだった。

 デミルとアセナは、そろって不快げに眉をひそめた。


「我が欲するは力のみ。神の意志もホクポトク一族の復讐もどうでもよいことよ」

「ふっ、くくくくく……」


 バベルの言葉に、デミルが不意に忍び笑いをもらした。


『何がおかしい!?』

「いや、なに。初めて意見があったと思ってな、鴉野郎」


 デミルは好戦的な笑みを浮かべ、言葉を続ける。


「力が全て、その通りだ。神だの運命だのに従おうなんて奴は生き残れねえ。気に入らねえ奴は力づくでねじふせればいい。ヴェノムじゃ、ガキだって知ってる道理だ」

『力づく? 力づくだと? フハハハハ、笑わせる。蟻が巨象を前に、どんな力を見せようというのだ』


 デミルは巨大な化物を前にしながらも物怖じしない。

 挑発的に鼻を鳴らした。


「知らねえのか? 天外大陸には像も殺す猛毒をもったアリがいるらしいぜ。この猛毒の街にも、そんなアリはうようよしてるかもしれねえなぁ」

『戯言を!』


 怪物の腕が垂直に振り下ろされる。

 地下のもろい岩層がひび割れ、もうもうと砂塵が巻き上がる。

 砂煙の中から、紙一重の差で一撃をさけたデミルの姿が現れた。

 アセナを抱えながら、後方へと跳びすさる。

 建物の影に、彼女を降ろした。


「アセナ、少し離れていろ」

「……ええ」


 怯える様子もなく、アセナは毅然とうなずいた。

 鼓舞するでもなく、制止するでもなく、ごく自然にデミルを送りだす。

 デミルは一つうなずくと、再びバベルに近づき、向き合った。


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