第十一部 第三章 あのお方
「貴方は神聖帝国の特別な五人の特任枢機卿の一人。となるとその人がお方と呼ぶのはお一人しかいないのでは? 」
イエスの突っ込みが鋭い。
「……ぜ、前任の神聖帝国の最高位の教皇だ……」
仕方なく、セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿がそう話した。
「なるほど、前任と言うのは? 」
「いや、表にはなっていないが、前任の教皇が亡くなられる前から、異常な内紛が起こりだしたのだ。それで、これから現れるとされる福音枢機卿を教皇が徹底的に調べられて、世界を滅ぼすという伝承を危惧なされた。それで私と相談して、福音枢機卿を封印しようと動き始めたのだ。その矢先に突然に亡くなられてしまわれた」
「そ、それって」
「暗殺? 」
ダリアとジェシーが驚いた。
「恐らくな。神聖帝国に教皇を超える権力を持つものが居ると、いつも言っておられた。それが内紛を起こしているとも」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿がそう辛そうに話す。
「ねえ。ものすごくやばい話に関わってるよね。ジェシー達も良く考えようよ。こんなの一介の冒険者風情が関わることじゃないよ。良く考えようよ」
ずっと裏切ってから黙ってたノーマが立ち上がってジェシー達に話した。
「すでに遅いと思うぞ」
イエスが冷やかに答えた。
「はああああ? 」
「あんたはこないだ俺達を裏切って、騎士団に従ってエドウィンを殺そうとしたが、恐らく、これだけの組織だと終わった後に処理されていただろうよ」
「処理? 」
「ああ、事故で死んだことにされてたと思う」
イエスが真顔だ。
「可能性は高いな。後任の教皇はえげつないので有名だ……」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が呟いた。
「な、なんなの、この罰ゲーム。こんなのに関わったばかりに最悪じゃないのっ! 」
ノーマが俺を指さして叫んだ。
「ノーマっ! 」
セシリアちゃんが怒ったような悲しいような微妙な顔で立ち上がってノーマを見た。
「やれやれ、どうも、皆さんはネガティブすぎですよ。いいですか? 祖師の未来では我らが主はこの世界を収める英雄になられるのですよ。つまり、あなた方は新しい世界の皇帝の側近にだってなれるのですよ」
モヒカンのハリネズミがそう話す。
こちらもハリーのように詐欺師みたいに話し方がうまい。
皆をそう煽ってる。
だが、全員が俯いた。
「それが、一番最悪じゃないのよ……」
ノーマが悲しそうに呟いた。
まあ、そうかも……。




