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73話 鎮圧

今まで毎日投稿を続けて来ましたが、そろそろ限界を感じたので、2日に1回くらいに頻度を減らします。申し訳ありません(´・ω・`)

 

 ゾンビの集団の前に立ち、アクケルテは深呼吸する。ネクロマンサーの男はゾンビを盾にして、どこかに行ってしまった。


「逃がすか!」


 アクケルテは銃を構えて正確にゾンビの頭を狙う。


「行きます!」


 私はアクケルテの邪魔にならない角度から、ゾンビの集団に斬り掛かる。ゾンビの鈍い動きではついていける速度ではなく、一瞬で頭が体から離れる。

 その間にアクケルテは銃のトリガーを引き続けて、次々とゾンビを殺していく。


「サヤさん、少し下がって回り込んでください!」

「了解です!」


 サヤの近くのゾンビの頭がアクケルテの銃弾によって、跡形もなく吹き飛ぶ。

 5分ほどで200体以上いたゾンビは居なくなった。アクケルテはリロードをしながら辺りを見渡す。


「流石に逃げられたっすね。もう一度探しましょう」


 アクケルテがそう言った瞬間に、目の前に何かが着地する。アクケルテは驚いて後ろに飛び下がる。

 どうやら敵の増援の様だ。

 筋肉質で大きな体をした、よく分からない人型の化け物であった。私は刀を構えてアクケルテの前に出る。


「援護を頼みます!」


 私はそう言って、化け物に切り掛るが、巨体に似合わない素早い動きで躱される。しかし、避けた先に既にアクケルテの銃弾が飛び込む。

 頭には当たらなかったものの、腕の肉が抉れて飛んで行く。私は息を整えて、よろけた化け物に斬り掛かる。ちょっと引っかかりながらも、胴を真っ二つにする。

 まだ化け物の胴が下半身についている時に、アクケルテの追撃が飛んでくる。完全に頭部を破壊された化け物は崩れ落ちる。

 ちょっと手間取ったものの、時間をかけずに倒せた。そう思っていたが、ネクロマンサーの男が急に眼前に躍り出る。


「ふふ、中々やるようですね。しかし、ここで終わるとは思わないで下さい!」


 そう言った瞬間にさっきの化け物が、列を為して現れる。その数30体以上はいるだろうか。

 私は面倒臭くなって溜息を着くが、横を見ると、アクケルテが真顔になって、銃を構える。


「めんどくせえなあ!ワラワラと!」


 アクケルテは銃に魔力を込める。


「全部、纏めてぶっ殺す!」


 そう言うとアクケルテの銃が形を変え始める。私はアクケルテの後ろまで下がる。アクケルテの必殺技だ、返り血が飛び散って、服に着いたりするのは嫌だから、下がっておかないと。

 アクケルテの持つ銃は、スナイパーライフルのような物に変わる。


「エクスキューティング・スパーク!」


 銃口から輝く弾丸が敵の集団の方に向かって行く。弾丸はその通り道にある物を、消し飛ばしながら真っ直ぐに飛んでいく。

 とてつもないエネルギーを持つ、その弾丸は化け物やそれを使役する術者も例外ではなく、塵も残さずに消え去った。

 ネクロマンサーは最後の言葉を残す事もなく、この世から消失した。


「終わりったすね。とりあえずマヤさん達を探しましょう」


 いつ見てもこの攻撃は恐ろしい。アクケルテが圧倒的な力を持つ能力者であることを、ひしひしと感じる。こんなのが敵には何人もいる事が絶望的である。


「はい、主人様達も無事だといいんですけど」



「集合!」


 ケルベロス三姉妹は1箇所に集まる。すると、急に光を放つ。自分達は眩しくて目を瞑ってしまう。

 眩い光が消えた後に、目を開けると、そこには大きな三首の犬が堂々と立っていた。


「これは、元々一個体の奴のようだな。多しかし、少でかくなった所で何が出来る」


 自分は笑って拳を握る。しかし、思っていた通りの展開にはならなかった。一瞬でケルベロスの姿が消えたと思えば、自分の腹に鈍痛が走る。


「速い…な!」


 自分は突進されて、吹き飛ばされたもののどうにか体勢を立て直して着地する。

 恐ろしい速さだ。フェンリルの力を解放していなければ、一撃で殺されていただろう。

 おそらくケルベロスの肉体はそこまで硬くは無さそうだ。ワンドの貫通力も要らないだろう。


「このまま、戦うしかないな」


 自分は手を挙げて、飛ばしていた航空機を周りに集める。できるだけ密に周りを飛び回らせながら、どこかに行ってしまった、ケルベロスを探す。多分加速をつけて、どこからか飛んでくるのだろう。


「ラザフォード、どうせ狙っても当たらん。適当に撃ってくれ!」


 ラザフォードは頷き、細いレーザをあたりにはりめぐらせる。


「いいな、中々応用はきくようだな。だが、結局どういう能力なんだ?」


 自分は気配を探る。周りにはいないようだ。どこに行ったのだろうか。

 その時、視界の端で遠くのレーザが、1部消えるのが微かに見えた。位置から、ケルベロスが自分を狙っていないことに気付く。咄嗟にその方向に飛び込んだ。

 ギリギリ、自分でケルベロスの突進を受け止められた。いや、受け止めると言うには、相当不格好な体勢だ。

 地面を削りながら減速して、どうにかラザフォードにぶつかるのは阻止した。


「あっぶねえな!お前も喰らえ!」


 自分は拳を振りかぶって、ケルベロスを思いっきり殴り飛ばす。その巨体はゴロゴロと転がって、壁にぶつかる。逃げられる前に追撃しようと駆け寄るが、風を起こしながら瞬時に逃げられた。


「くそ、速すぎるぞ!」


 どうすればあいつを倒せるのだろうか。今はたまたま、一撃入れられたと言ってもいいだろう。また、チャンスが訪れてもこんな感じに逃げられたらおしまいだ。

 すると、ラザフォードがこちらに歩いてくる。


「私が仕留めます。マヤさんは一瞬でもいいんで、ケルベロスの動きを止めてください!」

「分かった、とりあえず俺の近くから離れるなよ」


 自分は航空機を索敵の為に飛ばす。とりあえず方向だけでも特定したい。

 しばらく飛ばすと、どうやらここから西の方向に見えたらしい。自分はそちらに向けて防御姿勢を取る。

 多分直線で来る訳では無いだろう。先程も道の先に何も目視できなかった時点で、曲がり角から来ていることは確定している。今度は道から来るとも限らない。


「集中しろ、反応できない訳では無い!」


 それから数秒経った頃だった。横の建物のの方から音がした。しかし、横を向いた瞬間にはケルベロスがすぐ側に来ていた。

 自分は声を出す暇もなく、腕でケルベロスを受け止める。相当加速してきた様だ。どうやっても速度が殺しきれず、反対側の家の壁を突き破る。地面に足をめり込ませながら横の通りまで滑ってどうにか止めることが出来た。

 自分を追いかけてラザフォードが家を通って近寄ってくる。そして、手をケルベロスの方に向ける。


「止まれ!」


 自分とケルベロスの下に先程の扇風機のようなマークを展開する。ケルベロスは逃げようとしたが、まるで蜘蛛の巣に引っかかるかのように動けないでいる。


「私の能力であなたの足の部分の原子を、強引に地面に引き寄せさせました。足でも切り落とさない限り、逃げられません!」


 思い出した!この扇風機マーク、確か放射能汚染を示すハザードシンボル…やばくね?


「ラザフォードちゃん!ここ放射能汚染されてない?これやばいマークでしょ?」

「大丈夫ですよ!私が抑制していますから!これって放射能のマークだったんですか、知らなかったですー」


 自分は胸を撫で下ろす。もし、被爆しているなら今すぐ自害しなくてはいけないかった。苦しんで死ぬのは嫌だからな。


「おっと、とりあえずこいつを…」


 自分が拳を握りしめて、ケルベロスの方を向くと、いつの間にか3人に戻って、どこから取り出したのか、白旗を振っている。


「参り」

「まし」

「た!」


 ラザフォードに能力を解除させてナクとイーツを担ぎあげる。イムナはラザフォードに捕まって、しょげている。


「おつかれっす!終わったみたいっすね!」

「主人様!帰りましょー!」


 どうやら、サヤ達も戻ってきたようだ。

 皆で談笑しながら、基地に戻るために、装甲車の元に歩いていく。


 ケルベロス三姉妹は捕虜として、フェンリル軍の牢屋にぶち込まれたらしいが、尋問の結果無害と判断されて、合体しないように拘束具をつけさせられて、基地の中を歩き回っているらしい。

 全くこの軍隊は厳しいのやら、甘いのやら。


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