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ぼんじゃーのネタ帳  作者: ボンジャー


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失神KO!飢えた野獣共が上陸!

 「勝てるわけながないだろうが!ふざけてんじゃねえぞ!」


 1939年2月。北支を蹂躙される国民党をさらなる凶報が襲う。ハチャメチャが上海に押し寄せて来たのだ。アメリカ合衆国とその御仲間たちである。その目標は民国首都南京。これは、どっかの帝国の様に行き当たりバッタリで「「おねがいだぁ!これで終わってくれぇ!頼むぅ!」」と言う考えでの侵攻ではない。彼らはもっと悪辣な事を考えている。


 19世紀の夢よ再びである。


 首魁である自由と民主主義を愛する米国は領土的野心など抱いていない。けれど、彼らの理想に共鳴する開明的なチャイニーズが居るならば民族自立の信念を後押しするし、未来情報を持つ者に中には日本と共謀し、爆薬庫になる中東の悪夢を回避する為、リャオトン半島で日本側呼称「ふぐ計画」を押し進める派閥さえいる。な~に建国しちまえばこっちの物よ!一度手に入れた国を手放すユダヤは居ねぇもんなぁ!何アレ?マジ怖いんですけど!巻き込まれてたまるか!


 英国は二度とチャイナが大事な植民地にちょっかいを掛けない様、香港周辺に緩衝地帯を欲っし、苦しい財政の中でも元が取れると兵力を出したポルトガルはマカオ周辺を求めている。今回義勇軍を派遣した英米側に付く諸国にしても似たような考えだ。


 植民地…とまでは行かないが、利権は当然に欲しい。勿論土地を剥ぎ取れるなら寸土でも大歓迎である。維持は可能なのだ。大陸の隣に顎が外れそうな…いや、もうとっくに外れて涎が滂沱と滴り落ちる状態にして下さりやがったお大尽が存在する。かの国が必要な物は全て用立ててくれるのだ。

 

 お大尽の言い様は要約すると以下になる。


 「私は日本国!米国に協力する君は選ばれし国!金!利権!植民地!全てを掴むチャンスを与えられた強き者!単刀直入に言おう!中華をぶちのめしてほしい!はっきり言ってタコ殴りされてるので滅茶苦茶弱い!君でも勝てる!とにかくなんでもありだ!手段は選ばない!さぁ腕に自信のある者は今すぐ大陸へ行け!チャイニーズドリームだ!」


 もう蒋ちゃん泣くしかない状態である。だが泣いたとて相手は金に目が眩み、弱者を冷酷非情にぶちのめす事が国家を富ませる近道だと信じている野蛮国家群なので無意味である。むしろ泣いているとコイツ弱いやんけ!全部奪ったろ!されるので抵抗を止める訳にはいかない。


 国連憲章を遵守させる側の国家が、目の色を変えて大陸を襲い、無辜の民が何か空から降って来る怪電磁波でチーンされるのは多くの国に無視されている。文句を言っているのはソ連・ドイツなどの社会主義国家だけである。


 何故なら勝てば勝つ程、米国(とその仲間たち)が連戦連勝を重ねれば重ねる程、金も資源も国庫に流れ込んで来るからだ。まっこと(暴力の裏付けのある)金の力は偉大である。そして無慈悲だ。


 そう無慈悲である。そうであるからこそ、各国はこの狂奔の中、日本国の中に渦巻く企業たちが忍び寄って来ている事を警戒すべきであった。




 冒頭の叫びは現在、無敵米軍!Hurrah!Hurrah!と戦勝と好景気に沸く米国内からの叫びだ。米国、そして英仏の暗黒の三位一体とそれに与する国家は世界を直撃した大恐慌の余波から完全に立ち直りつつある。10年余りに渡る日本からの公共投資が漸く実を結び、其処に今回の大盤振る舞いが降って沸いたからだ。


 殆どの人間が戦争を支持している。史実に於いても日本帝国が破滅的大戦争しているのにも関わらず、米国以外は植民地が危機に陥らねば差して気にしなかった世界の果ての戦争である。それが無限に等しい富を生むならば反対する道理はない。欧米だとて今だパンとを求める人々が多数派なのだ。


 其処に奇跡がやって来たのだから歓迎はすれども、反対する理由は無い。植民地人?知るか!おこぼれ位はくれてやるから黙れ!である。政府に置いてはもっと切実に気にしてなどいられない理由がある。確かにナチスドイツは生まれなかった。だが代わりに爆誕したのはレッドブラザーズ事赤色ドイツとソ連の連合である。これが疫病の様に大戦の傷跡から立ち直れない国々に浸透し、未来に進もうとしている欧州の足をしつこく引っ張っている。


 各国上層部に存在する、日本から未来情報に接した人々には資本主義の勝利は確定的に明らかだが、どうした所で取りこぼされる層と一部のお花畑、植民地の恩知らず共には、総本山が生きている限り、社会主義等と言う悪魔の思想は、それが砂上に立ったハリボテでしか無いとしても魅力的に映ってしまう。


 ならば雌雄を決する必要はある。但しそれはこちらが充分に準備を整え、経済的にも社会的にも優越性を示し、無知と貧困しか齎さない、アカと言う梅毒塗れの娼婦の本性を白日に晒してからだ。自由の女神の抱擁にこそ未来はあるのだ。


 長くなったがここに冒頭の叫びの理由がある。結局の所、好景気にしても、社会主義への対決姿勢にしてもその発端は日本国で、各国の努力は有れども資本金は日本が半分…三分の一は出している。そしてそれは対価無しには得られぬ果実だ。


 三位一体の長にして日本からの最大の投資国である米国は、今次戦争で一番の益をだしているが、それ相応の対価も出している。懐は痛まぬ。毛ほども痛まぬ。ただ投資を受け、これまでの様に日米合弁企業を立ち上げる様、民間に圧を…相当に重いのを掛けるだけだ。キックバックさえ上手くすればある。政治家に取って地元に工場を誘致し利権を持って行けるのは最大の功績となる。


 だが民間に取っては堪らない。圧倒的な資本力と技術力のある相手が、政府間の約束があるから買収も乗っ取りもしません?それを信用、まして信頼などするのは狂気の沙汰だ。


 先年のクリスマスに完全自由化された玩具業界を見るが良い。一撃で瀕死になり、幾つかの高級老舗以外は悉くが吸収か倒産の憂き目にあっているてばないか。


 政府が命令するからと言って、なぜライオンの檻に入らなければならないのだ!ライオンが此方を食わないのは、ただレシピ本を熟読して調理法を考えているか、付け合わせを先に作っているだけの話でしかない。ああ!遂に胡椒を手に取ったぞ!止めろ!食べないで下さーい!へっくしょい!


 

 

 まあ、本当に胡椒を掛けている訳では無い。であるがそれに近い行為が行われたのは事実だ。1939年末から本格稼働を予定しているGMと日本企業の工場で生産される新車両のお披露目に合わせた、技術展示がそれで、冒頭の叫びは其処に乗り込んだフォード・モーター・カンパニー創業者ヘンリー・フォードが帰りの車中で上げた物であった。


 日本の技術は驚くべき物だ。自分が今でも社の経営に行っていられるのは、かの国から齎された治療薬のお陰であるのは確かだ。だが組むのだけは固辞した。日本帝国に存在した日本フォードが消えた謝罪と合弁の再提案と言う名目で来た日本人。アイツの眼を見て確実に此方を食う心算なのが分かったのだ。


 杞憂ではない。少し考えれば分かる筈で、実際に去年のクリスマス、全米の玩具業界は新聞で見たソンムより酷い事になった。自分が政府にも働きかけ、日本の自動車産業への進出を反対していたのはこうなる事が分かり切っていたからだ。


 「それを…それを…恥知らずどもめぇ!!自分から皿に乗ってどうするんだ!」


 だが裏切り者が出た。ゼネラルモーターズだ。あいつ等は未来の日本に自分達の日本法人が存在すると知って嬉々として政府の圧力に屈したのだ。どうせ技術と資本を移管する腹積もりなのだろうが上手くいく筈が無い!向こうの邦人の経営者は日本人に変っていると言う話ではないか!


 そうだ上手くいく筈も勝てる筈もない!


 完全自動運転?何時実現するんだそれは?


 GPS?我々は成層圏すら自分の物にしていないのだぞ?


 水素燃料?水を入れれば動くのか…それは凄いね!それがあるのに誰が今後ガソリン車を買うんだよ!!!


 そうだ!あれが道を走れば米国自動車産業は終わりだ!我が国の企業は子会社になれるかも怪しい!ただ海の向こうから来る部品を組みたてるだけの存在になるのが分からないのか!


 幸い、まだ発売は見送られている。本当に産業が絶滅されれば困るのは政府なのだから、輸入は差し止められている。あれは開く迄技術誇示の物だ。それでも何時、技術も何もしらない政治家共が気を変えるか分かった物では無いし、危機は続いている。


 「勝てない…勝てる筈が無い…お終いだ…」


 久しく出してこなかった弱気の声が出てしまう。しょうがないじゃなかいか!ボディは現地品とは言え、低燃費、ヒーター、クーラー、エアバック、ラジオ付きで100マイル出せる車を作られてしまっては勝てない!乗用車もトラックも同様にだ!更に軽自動車とか言う格安車までGMは発売する!


 「落ち着け…手段は選んでいられない。生き残りだ…生き残れば勝目はある。私は何時でもそうして来た。そうだ…振り出しに戻っただけだ。やる事は決まっている」


 屈辱だが頭を下げる。日本メーカだとて一枚岩ではない。あのメーカーに敵対的なメーカーは必ず存在する我が社とGMの様にだ。それと組む。我が社の工場と社員は向こうから見ても一から育てる労を節約できる有用な資産な筈だ。建機でもバイクでも良い、エンジンの付いた物を作り続け社を存続させる。


 「100年…いや50年だ…50年後には必ず勝つ」


 偉大なる企業帝国の創業者はそう暗く呟いた。遠くチャイナの地が侵略に晒されている様に、ここ米国でもそして世界でも砲火を用いない侵略と長い戦いが既に始まっているのだ。


 


 

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― 新着の感想 ―
なんか同じ文章が二回あるんですけど、大切な事なので二度読んでもらいます的な? そしてフォードは半世紀かけた経営計画を立てたか。この時代の現地企業にとっては日本がもたらす容赦のない新技術攻勢は圧倒的です…
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