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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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医務スペースでの会話と三試合目開始

ランやイブキがランドについての話をしてる頃、医務スペースではタマモがコンゴウの応急処置に一区切りつけていた。


「まぁこんなもんかしら…どうコンゴウ?」


「あぁ助かったぜ、ただの傷とかなら回復薬で治るけど…内出血や打ち身にはお前の調合した薬の方が効くな」


「まぁ調合とかも一応は勉強したしね、私の本来の分野ではないけど」


「十分だ、お前が居なきゃ俺達はどっかで死んでるよ」


「煽てても何も出ないわよ」


「ふ…ヤスツナの奴もお前みたいな女に意識されてるのに、どうして気が付かないんだか」


「な…べ…別に私はアイツのことなんて///」


コンゴウの言葉にタマモは顔を赤くしながらそう返す。


「そんな顔してたら説得力無いぞ」


「う…うるさいわね…それにアイツ…いっつも「強い奴いねぇかな〜」とか言って全然私のことなんて…///」ブツブツ…


「はは…まぁアイツは女より強者の方に夢中だからな。だがお前より強い女なんてそうそう居ないから大丈夫だろ」


「どうかしらね、世の中は広いから強い奴なんてたくさんいると思うわ。ダラス帝国には…女だけど物凄く強い奴が居るって噂よ?」


「あぁ…確か「近衛騎士団長ガーネット」だっけ。その剣技は凄まじく…あの国の武術大会に彼女が出ていたら王子じゃなくて彼女が優勝してるんじゃないかなんて話もあるらしいな」


「そんな女がもしヤスツナと会ったら…」


「大丈夫だろ、騎士団長ってことはそうそう国から出てこないだろし。なによりそんな役職に就いてる奴が、男なんかにうつつを抜かすとは思えないしな」


「そ…そうよね」


コンゴウの言葉にタマモはそう返しつつ「ところで…」と話題を変える。


「ハヤテはどうだったのかしら…さっき少し歓声みたいなの聞こえたけど、あの鎧武者に勝てたのかしら?」


「いや、ハヤテでも恐らくアイツには勝て…「いやまいった…あの鎧武者とんでもねーな」…おぅハヤテ戻ったか」


コンゴウが自分の予測を口にしようとした時、丁度ハヤテがやって来た。


「あらハヤテ、その言いぶりからするとアンタも負けたの?」


タマモの言葉にハヤテは「あぁ…」と頷く。


「あの鎧武者目茶苦茶だぞ、コンゴウを押し負かすほどの剛力だからてっきりパワータイプの前衛だと思ってたが…この俺の速度にも対応してくるし反射神経もとんでもない奴だった。俺のありったけの投擲や「二重投げ」まで反応して防ぎやがった」


「うそ…アナタの速度について来れる奴がヤスツナ以外にもいたの?」


「とんでもない奴だな、もしかしたらあの鎧を脱いだらお前より速いんじゃないか?」


タマモとコンゴウの言葉にハヤテは「かもな…」と返した。


「まぁ…とりあえず次はタマモに任せたぞ。コンゴウも俺も大してアイツを疲弊させる事は出来なかったが…お前なら可能だろ?」


「アンタ等二人を圧倒する奴にどこまで通用するかしらね…?」


「まぁ…とにかく任せたぜ、ヤスツナにいいところ見せるチャンスじゃねーか?」


「そうだな、お前が頑張ればヤスツナも褒めてくれるぞ?」


「う…煩い///」


そんな会話を三人でしているとそこに…


「お前達何をやってるんだ!!」ファサ…


そんな風に声を荒げながらワガマがやって来た。


「なんだ、なんか用か?」


「あぁ…?」


「…?」


三人が個々に反応したあと、コンゴウが代表してワガマに尋ねる。


「なんだもなにもない、たかが一人の田舎者の鎧武者になにをやられてるんだ。よもやお前等、アイツとなにか裏で取引とかしてないだろうな!?」ファサ…


「なんですって!」


「貴様…俺達を馬鹿にしてるのか!」


ワガマの言葉にタマモとハヤテが激昂する。


「違うと言うならなんだこのザマは、お前等この国でもトップクラスのSランクパーティーなんだろうが!」ファサ…


ワガマの言葉にコンゴウは「はぁ…」とため息を吐くと言葉を返す。


「あのな…そんな事をして俺達になんのメリットがあると言うんだ?」


コンゴウの言葉にワガマは「そんなの知るか!」と喚く。


「解らないなら憶測で物を言うな、俺達冒険者は皆自分の冒険者としての拘りを持っている。下手な憶測で中傷するとどうなるか解らんぞ?」ギロッ…


「うっ…」タジッ…


コンゴウがそう言って睨みつけると、揉め事に慣れていないワガマは少し怯む。


「俺もハヤテもSランク冒険者として自分の力で出来る限りのことはした、だがあの鎧武者はそれをも超える実力者だということだ。それに納得できないと言うならこの場で俺達との契約を切ればいい、その後は自分でどうにかしろ。出来るものならな」


「そうよ、文句言うなら自分であの鎧武者と戦ってみなさいよ」


「アイツは凄腕だ、きっとお前が痛みを感じる前に殺してくれるぞ?」


コンゴウに続くようにタマモとハヤテがそう言うと、ワガマは「ぐっ…」と黙り込む。


「ふ…ふん…あとはそこの女とあの剣士が奴と戦うんだったな。せいぜいボクの期待を裏切るなよ!」ファサ…


ワガマが誤魔化すようにそう言葉にするとタマモとハヤテは言葉を返す。


「アンタに言われなくても手を抜くつもりはないわよ!」


「それにヤスツナは俺達よりも強い」


「ふん…せいぜい報酬分の働きをするんだな!」ファサ…


「ふん…他人任せで偉そうにしないでくれるかしら、それじゃあ私は舞台に行くわ。ハヤテ、コンゴウのことは任せたわよ」


「わかった」


タマモの言葉にハヤテは頷く。


「それじゃあ行ってくるわ」


タマモはそう言うと一人で先に医務スペースから出ていった。


「ふん…雇われが偉そうに、報酬分の働きをしないと払わんからな!」ファサ…


タマモが去ってからワガマは、そう言うと踵を返しながら捨て台詞を吐く。


「くそ…父様が最初に雇う予定だった「ランド」とか言う男さえ見つかってれば、こんなこともなかったろうに!」ファサ…


「…っ!」ピクッ…


ワガマの言葉にコンゴウはかすかに反応した。


「なんだそのランドとか言う奴は?」


コンゴウの言葉にワガマは「あぁ?」と反応してから面倒くさそうに返す。


「父様が最初にボクの護衛として雇いたかった男の名前だよ、そこの忍には前にもお前達が「第二候補」だと言った時に話したがな。今年のダラス帝国の武術大会の覇者で、鷹の仮面に青く輝くロングソードを装備した男だ。父様の情報網を駆使しても身元が解らずに見つけられなかったがな、だからお前達を雇ったんだ!」ファサ…


ワガマはそう言うと「あぁ…そう言えば…」と言葉を続ける。


「あの田舎者の鎧武者もランの奴が「ランドはん」とか言ってたな。まぁ鷹の仮面も着けてないしロングソードも持ってないから別人だろうが…忌々しい偶然もあるものだ!」ファサ…


「…青く輝くロングソード…」


ワガマの言葉にコンゴウはそう呟く。


そして先程自分が戦った男の、戦いの最中に口にしていた言葉を思い出す。


『この太刀は借り物だからな…』


(奴は本来は太刀を使わないということか、それで普段は別の武器を愛用してるとしたら…)


コンゴウは自分の推測に(まさか…)と思案するが、ワガマにそれを伝える義理もないので無言のままでいた。


そんなコンゴウの雰囲気に気が付かないワガマは、もう特に言うことは無くなったのか二人に背を向ける。


「いいか、残り二人でなんとしても奴に勝て。解ったな!」ファサ…


ワガマはそう言うと医務スペースから出ていった。


ワガマが去るとハヤテは「ふん…気に食わないやつだ。俺達だって他に依頼があったら受けやしながったぜ」と愚痴る。


「それにそのランドやらが見つかったとしても、あんな態度なら受けてくれるか解らないだろうに…。それにランの護衛の奴が同じ名前だからって勝手にイライラしやがってアホか…」


そう言うとコンゴウに「コンゴウもそう思うだろ?」と声をかける。


「だろうな(俺の推測が正しければ…あの男はワガマみたいな奴は大嫌いだろうな、「アホ息子」とか言ってたし…)」


コンゴウはハヤテの言葉にそう返しながら一人思案するのだった。


― ― ―


その頃舞台の方では…


「次はアンタが相手か…」


「そうよ、前二人の仇を取らせてもらうわね」


「それは勘弁だな、こちらとしても負けられないのでね」


「それはこっちも同じよ、勝てるに越したことはないけど…負けたとしてもあのバカが少しでも有利になるようにさせてもらうわ」


舞台に上がったタマモがランドと対峙して言葉を交わしていた。


そんな二人の会話に舞台の下にいるヤスツナが声を出す。


「おーい、そのバカって俺のことか?」


「アンタ以外誰がいんのよ?」


「ひでえなぁおい…」


「いいからそこで見てなさい、私があの鎧武者を倒すとこをね」


「へいへい、でも無理すんなよタマモ。お前が傷付くと俺は悲しいぞ〜。ていうか俺もソイツとはりたいから怪我する前に降参しろよ〜」


「なっ…バカなこと言ってないで万一に備えてなさい(そんなこと言うんじゃないわよ、嬉しくなるじゃない///)」


タマモとヤスツナのやり取りを見ていたランドは…


(仲良いんだな…ゼルとペンドラの夫婦みたいだ…)


とボンヤリと考えていた。


「ま…まぁとにかくアンタはそこで見てなさい、私が彼と戦う様子をね」


「へいへい…でも怪我すんなよ?」


「解ってるわよ」


そう言うとタマモはランドに視線を戻して声をかける。


「それじゃあいくわよ、女と思って甘く見ないことね」


「油断なんかしない、俺の知り合いにも女性で強い奴は沢山いるからな」


「あらそう、それならこちらも全力でやらせてもらうわ」


こうして三試合目、ランド対タマモが始まった。

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