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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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ランドVSコンゴウの決着と一階の試練突破の経緯

「いくぞ!」


舞台の上で対峙していたランドに向かって、コンゴウはそう言うと盾を構えながら距離を詰める。


(早い!)


ランドはコンゴウの見かけによらない速度に少し驚いた。


「ぬぅん!」ブォン!


コンゴウはランドに接近すると反対の手に構えた棍棒をランドに振り下ろす。


(これをマトモにくらうのは不味そうだな…)


ランドは咄嗟にバックステップでコンゴウの攻撃を後ろに回避する。


ドゴン…ビキッ…


ランドのいた所に振り下ろされたコンゴウの武器は、舞台の床に接触すると凄まじい音を立て床に亀裂を生んだ。


コンゴウの攻撃の威力に、観客達から「おぉ!」と声が上がる。


「流石はSランク冒険者のコンゴウだ、なんつー威力だよ!」


「あんなもんまともに喰らったら挽き肉になっちまうぜ…」


観客達の声をよそに、コンゴウは武器を上げるとランドに視線を向ける。


「ふ…流石に受けてはくれんか?」


「痛そうだからな、それにしても流石はSランクだ。装備の状態からてっきり「重戦士(タンク)」だと思ったが、動きも早いな」


「褒め言葉として受け取っておこう」


コンゴウはランドにそう返すと「ところで…」と言葉を続ける。


「その腰の太刀は抜かないのか、まさか俺相手に素手でやるなんてことはないよな?」


コンゴウの質問にランドは「抜かないというか…」と答える。


「抜いても仕方ないだろう、アンタの鎧硬そうだし。その棍棒とぶつけたりしたら折れそうだし、この太刀は借り物だからな」


ランドの返事にコンゴウは「はは…本当に面白い奴だ」と笑う。


「ならばどうする、降参するか?」


「ご冗談を、こちらとしても負けるわけにはいかないんでね。太刀は使えなくともやれるだけやらしてもらうさ」


そう言うとランドはコンゴウに向かって構える。


「面白い、ならばせいぜい俺を驚かせてみろ!」


そう言うとコンゴウは再度ランドに向かって武器を振りかざして接近した。


「ぬんっ!」ブン!


コンゴウが武器を今度は横に薙ぐように振り払うと、ランドは攻撃を紙一重の距離で躱し…


「セイヤッ!」ドゴン!


カウンターでコンゴウの脇腹に蹴りを入れた。


「ぐおっ!」ズザザザッ…


ランドのカウンターにコンゴウは少し呻くが、体制を崩すことなく距離を置く。


「頑丈だな、結構力を入れたんだが…」


ランドは自分の蹴りでコンゴウが体制を崩さなかった事に少し驚いた。


ランドの言葉にコンゴウは「鍛えてるからな」と返しつつも内心穏やかではなかった。


(なんて重い蹴りだ、俺だからなんとか耐えれたが…ハヤテやタマモなら今の一撃で骨がイカれるか最悪死ぬぞ。それにコイツはさっき「結構力を入れたんだが…」と言ったな、まだ本気じゃないというならこの男底が知れん…)


コンゴウは目の前のランドという男の強さに心の中で戦慄した。


(これは俺の番で勝つのは無理そうだな、ならばせめて後の奴等の為にも少しでもコイツを消耗させないと…)


コンゴウはそう思案すると、自ら棍棒を床に置いて盾を両手で構える。


「コンゴウが武器を置いたぞ?」


「なにする気だ?」


観客がそう声にする中、ランドも「どうした?」とコンゴウに声をかける。


「今の攻防で解ったぜ、お前は強い…俺がお前を倒すのは難しいだろう。ならば俺はパーティーの戦況を有利にするために全力を注ぐ、防御に徹してお前さんを疲れさせることに専念するぜ」


コンゴウの言葉にランドは「なる程な…」と口にした。


「確かにそちらは四人の中の一人でも俺を負かせば勝ちだからな。自分は仲間の為の捨て駒となるか…」


「おうともよ、俺はパーティーの防御の要。俺がアイツ等を守り抜けば勝てはしなくとも負けもない!」


コンゴウの言葉にランドは「漢だな…」と感心する。


「それだけの覚悟か、なら俺もしっかりと応えるべきだな」


「来いや、お前さんの力を仲間が測るためにもな!」


「いいだろう」


コンゴウの覚悟にランドは冒険者として、そして仲間を想う漢として応えることにした。


「先程の攻撃をみるに、腕力には自身があるようだな。その腕力で防御に徹すると言うなら頑丈具合も先程とは別格だろう?」


ランドの言葉にコンゴウは「まぁな」と答える。


「俺はこの頑丈さを武器に仲間を守ってきた。今回のあのバカ息子の試練の時も大いに貢献したぜ♪」


「というと?」


コンゴウの言葉の意図を尋ねると、コンゴウは答える。


「今回の祠での試練だが、お前達が最下層まで潜ったなら内容は解るよな?」


「そりゃまぁ…」


「最初の試練だが、「骸骨剣士(ソルジャースケルトン)」が出てきただろ?」


「あぁ…確かに三体出てきたな」


「俺は奴等の攻撃を一人で受けきった、俺がそうやって止めている間に皆を下に向かわせたんだ。その後に俺が降りた」


「仲間達の壁となったわけか?」


「おぅ、下手に仲間を疲弊させるよりは俺一人に負担があったほうが後々有利だからな」


「大したもんだ…仲間の為にそれほどできるとは」


ランドはコンゴウの話を聞いて益々感心した。


「つー理由だから、お前さんには後の仲間の為にもせいぜい疲れてもらうぜ」


そう言うとコンゴウはガッチリと防御を固めた。


そんなコンゴウにランドは「ふむ…」と呟くと口を開く。


「そっちがそう言うなら、俺も同じ様に言葉を返そう」


そう言うとランドはコンゴウに向かって構える。


「俺はあの骨共との戦いではな…」


そう言いながらランドはコンゴウへと接近し…


「この拳で顔面を叩き割ってやったんだ!」


そう言うとランドはコンゴウの盾に向かって拳の連打を放った。


「ぐっ…がっ…!」ドゴゴゴゴッ!


コンゴウはランドの連打に必死で耐えるが…


「こいつでどうだ…せいやっ!」ドゴォォォン!


「ぐおぉぉぉっ!!」バガァァァン!


ランドの放った最後のアッパーでコンゴウの体が盾ごと少し浮いた。


コンゴウは舞台の床に着地すると、盾を構えつつ立っているが…その膝はガクガクと震えていた。


そんなコンゴウを見てランドは「こいつは驚いた、まだ立てるのか?」と感心する。


「流石はSランクの冒険者だ、ならばもう少し強めに…「待て」…?」


ランドが再度構えようとすると、コンゴウから「待った」がかかる。


「なんだ?」


ランドがそう尋ねるとコンゴウは言葉を続ける。


「俺の負けだ、俺はここでやめておく」


コンゴウは自らランドに降参を宣言した。


「コンゴウが降参したぞ!?」


「マジかよ、コンゴウは「不動明王」の二つ名を持つこの国でも一流の「重戦士(タンク)」だぞ!」


観客達が動揺する中、コンゴウは負けを宣言した後にランドへと近づき手を差し出す。


「大した奴だぜ、この俺の防御をあそこまで追い詰めたのはお前が初めてだ。まさか素手でもここまでやるとはな」


「アンタこそ、これまで硬い奴とは何度かやり合ったことがあるが人間ではアンタが一番頑丈だったよ」


ランドは差し出されたコンゴウの手を取ると握手を交わす。


「ふ、人間ではか…アンタとはもう戦いたくないな」


「それは残念だ、アンタの防御の技術…特に最後の俺の攻撃を細かく角度を調整して…最小限にしようとした技は教えてもらいたかったのに」


ランドの言葉にコンゴウは目を見開く。


「見えていたのか?」


「気付いたのは途中からだけどな、殴ってる時に時々感触が妙なのがあったからな」


「はは、アンタ本当に底が知れねぇな。アンタ程なら俺の技なんぞ必要ないだろ?」


「知り合いに「重戦士(タンク)」を志してる若いのがいてな。ソイツに教えてやろうかとな」


「ふっ…面白い奴だ。俺で良ければ今回の件が終わってから飲みながら説明してやるよ」


そう言って笑うコンゴウに、ランドは「そいつは楽しみだ」と笑顔で返すのだった。


そうして握手を終えたコンゴウは、ランドを残して舞台から降りると仲間のところへ向かった。


「悪いな、大して消耗させれなかった」


そう言うコンゴウに三人は「気にするな」と返した。


「あんな細身のやつがあれ程の力を持ってるとは思わなかったしな」


「かぁー…良いなぁコンゴウ、アイツと()れてよぉ」


ハヤテとヤスツナがそういう中、タマモは「にしても随分アッサリと降参したわね?」と尋ねる。


「貴方ならもう少し粘れたんじゃないの?」


タマモの言葉にコンゴウは「冗談はよせ」と返すと腕の部分の甲冑を外して見せる。


「あれ以上やったら腕が死んじまうよ…」


そう口にしたコンゴウの両腕は、ランドの殴打を何度も貰ったからか…盾越しだったというのに内出血していた。


「「なっ…!?」」


コンゴウの腕を見たハヤテとタマモは絶句する。


「うわ痛そうだなぁ…」


コンゴウの言葉にヤスツナはそんな感想を口にする。


「だろ…お前らを今後も守るためにはこれ以上壊すわけにはいかねぇよ♪」


そう言ってコンゴウはニヤリと笑った。


「とりあえず治療しましょ、ほらコンゴウこっちにいらっしゃい」


「悪いな」


タマモの言葉にコンゴウはそう言ってタマモと離れる。


「ハヤテ、次頼んだわよ。私もコンゴウの治療が済んだらすぐに戻るから」


「任せろ」


タマモの言葉にハヤテはそう言って頷くと舞台へ向かう。


「大丈夫かハヤテ、やっぱり俺が先に出るか?」


ウキウキしながらそう言うヤスツナに、ハヤテは「いいからジッとしてろ」と返す。


「ちぇっ…」


ハヤテの言葉にヤスツナはそう返すと大人しく席についた。


そんなやり取りを剣舞の心得がしてる頃、ランとイブキと双子達は…


「よっしゃ、先ずは一人目に勝ったで!」


「まぁランドさんが負けるとこは想像できませんがね…」


「お兄さん凄いのです」


「とっても強いのです」


そう言って一勝目を喜んでいた。


そして当のランドはというと…


(やはりSランクというだけあってかなりの強さだったな。…にしてもあの男の盾の技術、ダストンに教えてやりたいもんだ。事が済んだら教えてもらおう)


そんな事をボンヤリと考えていた。


― ― ―


その頃、グラン王国のゼスタの街の「冒険者養成学院」では…


「いやーダストン君、今日はお手柄だったね。まさかワイルドボアの体当たりを止めるなんて」


「いえマーク先生、俺なんかまだまだですよ」


「謙遜しちゃってぇ」


本日の野外訓練を終えた「冒険科」の四人とマークが食堂で会話をしていた。


「いやいやマーク先生、ダストンが言うことも最もだぜ?」


「そうですよ、ダストンが成長したのは認めますけどね」


「そうよね、まだまだ成長の余地はありますよ」


他の三人の言葉に、マークは「そうかい、十分すごいと思うけど?」と口にする。


「いえ、今の俺なんかまだまだです。この程度ではランド先生の攻撃は止めれません」


「お前結局ランド先生に…力比べで一度も勝てなかったもんな」


「カインズも攻撃当てれなかったじゃん?」


「ミーシャの魔法でのバフがあっても勝てなかったもんね(そこがまたカッコいいんだけど///)」


そんな生徒達の声を聞いたマークは…


「そ…そうなんだね、まぁ今に驕らずに自らを高めるのは良いことだよ(もうこの子達はそこらの低クラス冒険者より強いと思うけど、この子達ですら勝てないと断言するなんて。学院長から話は聞いたけどランド先生とやらは本当にデタラメに強いんだなぁ…)」


と答えるのが精一杯だった。

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