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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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決闘開始、ランドVS不動明王のコンゴウ

ランドは街の運動広場…その中央にある舞台の上で、両肩に双子を乗せランとイブキを連れて喚くワガマと「剣舞の心得」の四人と対峙する。


「それで、決闘と言ってたが形式はどうするんだ?」


ランドがそう尋ねるとワガマは「ふん、余裕を見せるのも今の内だ!」と口にすると言葉を続ける。


「ルールは一対一の真剣勝負、どちらかが戦闘不能若しくは降参することで決着とする。休憩時間とかは無しだ、お前はこの四人を立て続けに相手にしてもらうぞ。自分から「一人でいい」と言ったんだ、よもや「休憩はくれ」なんて言わないよなぁぁぁぁ〜」ファサッ…


先程の双子からの煽りの仕返しのつもりなのか、ワガマはベットリとした言葉でそうランドに問いかけた。


そんなワガマの態度に、ランドは特に反応するでもなく「そうかわかった」と答えると…肩に乗せている双子を降ろす。


「さぁ二人とも、ここからは危ないからランとイブキと一緒に舞台から降りておきなさい。子供の内からこれ以上…アレの近くの空気を吸ったら成長に悪いからね。ランとイブキもな」


「ハイなのです」


「お兄さん頑張って下さい」


「任せたで」


「ご武運を」


ランドの言葉に四人はそう返すと、ランドを残して舞台から降りた。


四人が降りたのを確認したランドは、ワガマと剣舞の心得の方に向き直ると口を開く。


そんなランドにワガマは…


「ふん、生意気な態度もこれまでだ。あとの会話はせいぜい診療所に担ぎ込まれてからしたまえ、やれお前達…コイツにSランク冒険者というものをわからせてやるんだ!」ファサッ…


そんな言葉を口にしてから、ワガマもまた舞台から降りていった。


((命令すんじゃねぇよバカ息子が…))


剣舞の心得の四人は心の中でそうワガマに毒を吐きつつ、ランドを見つめて(さてどうするかな…)と思案する。


そんな四人にランドは(彼等も依頼とはいえ大変だな…)と心で思いながら口を開く。


「さて、じゃあやるとするか。そちらの最初は誰だ?」


ランドがそう言うと、とても元気な良い声が即座に返ってくる。


「そりゃあ当然この俺…「先ずは俺が相手だ」…おいっ!?」


自分が一番に戦おうと声にしたヤスツナの言葉を遮るように、コンゴウがそう言葉にして一歩前にでた。


「おいコンゴウ、なんでお前が先なんだよ。俺に一番にやらせろよ」


ヤスツナがコンゴウにそう抗議すると、コンゴウは「アホかお前は…」と言葉を返す。


「相手の実力も解らない内にお前を出してどうする?」


「そうだぞヤスツナ、お前は俺達の中で一番強いんだ。万一お前が負けたらそこでもう打つ手立てがなくなるんだぞ」


「戦闘狂も大概にしなさい」


コンゴウに続いてハヤテとタマモもヤスツナに対してそう言葉を投げる。


「で…でもよう…」


「いいかヤスツナ、正直あのバカ息子の立場なんぞはどうでもいいが…俺達は腐ってもSランクパーティーだ。可能な限り勝率を上げる戦略が必要とされることを忘れるな」


「あぁ、だから俺達三人で可能な限りあの鎧武者を疲弊させる。勿論俺達もそれは最終目的で、可能なら奴を倒すために全力を出すが」


「アンタは最後に全力で彼と戦えばいいの、仮に私達の誰かが彼に勝っても…後日手合わせを願えばいいでしょ。先ずは依頼を達成することに集中しなさい」


「わ…わかったよぉ…ちぇっ…」ブツブツ…


ヤスツナは三人の言葉にブーたれつつも、自分の我儘を貫くほど子供じゃないのか指示に従った。


「まぁそう拗ねるなよ」


「そうよ、都合を考えて後で彼に頼みなさい」


「つー理由だから三人は降りてな」


「へいへい…」


三人の言葉にヤスツナはそう返すと、ハヤテとタマモと共に舞台から降りた。


そんなヤスツナを見送ったコンゴウは、そこでランドの方に振り返ると、ジッと待っていたランドに声をかける。


「と言うわけだランの嬢ちゃんの護衛の鎧武者さんよ、先ずは俺から相手してもらおうか」


「それは構わないが、相手の俺の前でそんな堂々と作戦を話してて良かったのか?」


「構わねえよ、聞かれたところでお前さんにどうこうできるもんでもねぇだろ。お前さんはお前さんで俺達と真っ向から戦うしかねーんだから」


「それもそうだな」


コンゴウの言葉にランドは「確かに」と頷く。


「ここまで来たなら互いに相手を倒すだけだ、現役のSランクと戦うのは初めてだが…色々と経験させてもらおう。それに俺もどちらかと言えば難しいことは考えるのが苦手だからな、目の前の相手を倒せばいいだけならシンプルでいい」


「ははっ、昨日の様子でも思ったがアンタ面白いな。あの時のリンゴのようにはいかないぜ♪」


そう言うとコンゴウは背中に背負っていた大きな盾と無数の突起が施された鉄製の棍棒のようなものを構えた。


「そういや名前を聞いてなかったな、よければ教えてくれねーか?」


「教えてもいいが、あのバカ息子には言わないでくれるか。なんらかで俺の素性から妨害工作をされるのは、今回の事が解決するまで避けたいんだ」


「あぁ…あのバカ息子ならやりかねねーな。解った…アレには伝えないでおく、Sランク冒険者としてそれは約束しよう」


コンゴウの言葉にランドは…


(信用しても良さそうだな…)


コンゴウの気配からそれを感じると名乗った。


「ランドだ、普段は冒険者だが理由あって今はランの護衛をしている。因みにランクはCだ」


ランドの回答にコンゴウは「Cだと!?」と驚の声を出す。


「お前さんとてもCランクなんて腕じゃないと思うがな…」


「よく言われるよ」


「なぜランクを上げないんだ?」


「面倒くさくてな…」


ランドの返答にコンゴウは一瞬ポカンとしたが…


「ガハハハ、本当に面白い奴だ。お前さんの担当受付嬢は苦労してそうだな」


「それもよく言われるよ…」


「ますます面白れぇ…ヤスツナ程じゃねぇが、お前さんとの勝負が楽しみだぜ。…っとそういや俺の方も名乗らないとな」


コンゴウはランドにニヤリと笑顔を向けると言葉を続ける。


「昨日のガキ達も言ってたが、俺の名はコンゴウ。Sランク冒険者パーティー「剣舞の心得」のメンバーが一人「不動明王のコンゴウ」だ。Cランク冒険者の鎧武者ランド、お前の実力を見せてもらおうか!」


そう言うとコンゴウは、ランドに向かって自らの得物である「破砕金棒(はさいのかなぼう)」を振りかざして攻撃を仕掛けた。


こうしてワガマのイチャモンによる決闘、「ランドVS剣舞の心得」の第一試合が幕を開けた。


そうしてランドとコンゴウの試合が始まった頃…


「ん…なんか向こうで人が集まってるな?」


「ホントだ、なにやってんだろな?」


「さぁ…なんだろうな」


「あっ…そこのおっちゃん、アレはなんの騒ぎだ?」


たった今この街にやって来たばかりの四人組の冒険者が、通りかかった男に声をかける。


「ん、アンタら他所から来たのか?」


声をかけられた男がそう返すと、男達は「あぁ」と頷く。


「たった今この街に来たところでな、人だかりがあるから気になってよ」


「そうか、あれは決闘だよ。とある理由である人物二人の護衛同士が決闘することになってな、みんなそれを見てるんだ」


「へぇ…決闘か…」


「それは面白そうだな」


「俺達も見ていくか?」


「そうだな、戦闘を生業としてる身としては興味があるな」


男達の言葉にその男性は「なんだアンタ等、傭兵かなんかか?」と尋ねる。


「まぁ似たようなもんだな、おっちゃんはダラス帝国の武術大会の事は知ってるか?」


「知ってるぞ、毎年やってるやつだよな?」


「あぁ、俺達はその武術大会に今年出場したんだけどよ。今年はとんでもねぇ強い奴がいてな、予選でやられちまったんだ」


「だから四人で鍛え直そうって事で方方を回っててな」


「人の戦いのを見るのも勉強だと思うしな」


「見学していくことにするぜ」


「そうか、頑張んな。じゃあ俺は店の仕込みがあるから失礼するぜ」


男がそう言うと四人組は「あぁ」と返す。


「教えてくれてありがとよ」


「せめてもの礼だ、飯屋なら後で寄らせてもらうぜ」


「おっちゃん名前は?」


「なんの店だ?」


四人の言葉に男は「待ってるぜ、俺の名はヤヒチだ。蕎麦という料理を提供してるからよ、街の人に聞きゃ場所も教えてくれるだろよ」と答えた。


「解ったぜ、それじゃまたな」


「おぅ♪」


そう言って四人組とヤヒチは別れるのだった。


ヤヒチを見送った四人組は「さて、じゃあ見学に行くか」と歩き出す。


「にしても決闘かぁ…どんな奴が戦ってんだろな?」


「さてなぁ…いずれにせよアイツみたいな化け物じゃねーだろ?」


「違いねぇ、アイツみたいな奴がポンポン居るわけねぇよ」


「だよなぁ〜あのランドとか言う化け物みたいな奴そうそう居ねぇよな♪」


そんな会話をしながら運動広場へと向かうのだった。

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