ラン、歳上の妹を得る?
「いいか、アタイは負けてないからな。引き分けなんだからな!」グスッ…
「わかってるよ、君との勝負は引き分けだ。お互いに攻撃を当てれなかったからな」
勝負の後どうにか泣き止んだ白虎にランドがそう返すと、白虎は「そうだ、お互いに当たってないから引き分けなんだ」と頷く。
「お前な…ランドのは「当たらなかった」じゃなく「当てなかった」なんだぞ?」
玄武が白虎にそう言うが、白虎は「煩い、コイツが「引き分け」と言ってるんだからお前は口を出すな!」と口にした。
「お前…ほんと負けず嫌いだよなぁ…」
「まぁまぁ玄武、俺は別に白虎が認めてくれるなら勝負の結果に拘らないから…」
ランドが玄武にそう言うと、玄武は「お前も甘ぇなぁ…」とランドに呆れた顔をする。
「まぁエエやんか玄武のおっちゃん、ウチ等は下に行けたらそれでエエし」
「私はラン様がいいなら何も異論はありません」
ランとイブキがそう言うと、玄武は「まぁ、俺がとやかく言うことじゃねぇけどよ…」と口にする。
「そうそう、それに白虎ちゃんだってあんな怖い目にあったんや。少しくらい優遇されたってええやん」ナデナデ…
ランはそう言いながら自分が抱き締めている白虎の頭を撫でる。
「だからアタイを白虎ちゃんと呼ぶな、というか頭を撫でるな!」
自分を抱き締めて頭を撫でるランに、白虎はそう抗議するがランは「別にエエやんか…」と気にしない。
「だって白虎ちゃん、スミレやモミジみたく妹みたいで可愛いんやもん♪」ナデナデ…
「妹って…アタイはお前より歳上なんだぞ?」
「そうかもせんけど、このちょうどウチの身体にスッポリ入る大きさがエエ具合なんやもん♪」ギュッ…ナデナデ…
「はぁ…もう勝手にしろ…」
「ほしたら遠慮なく♪」
自分の抗議に動じないランに白虎はもう諦め、ランは許可を得たことで白虎の体の特徴を堪能する。
「わぁ…白虎ちゃん髪もサラサラやん。それに肌も綺麗やしホンマにウチより年上かいな」サワサワ…
「そ…そうか///」
白虎は口では呆れたような言葉を言っているが、やはり褒められるのは悪い気がしないのか少し照れる。
「ええなぁ…ウチ一人っ子やから妹とか弟とか欲しかったんや。モミジやスミレも妹みたいで可愛いけど、やっぱりウチには「近所のお姉さん」みたいな接し方やからなぁ。こんな風にハッキリ言うてくれる妹欲しいわぁ、なぁなぁウチのこと「お姉ちゃん」って言ってみてくれへん?」ナデナデ…
「だから…アタイはアンタより年上…「減るもんや無いしエエやんかぁ、ウチ白虎ちゃんから言われてみたいんや♪」…はぁ…」
白虎はランの要望に文句を言おうとしたが、グイグイ来るランに辟易したのか溜息をつきながら小さく呟く。
「暑いから少し離れて…お姉ちゃん」ジッ…
そう小さく呟きながら白虎はランの方を上目遣いで見る。
「……くっ!!」
白虎の言葉と目付きに、ランは思わずグッと息を呑む。
「ほら言ってやったぞ、満足したなら離れ…「アカン、白虎ちゃん可愛すぎる〜〜♪」……っておいこら!」ギュウゥゥゥゥ…
白虎の言動にランはかなりやられたようで、白虎の事を更に抱き締めて頬擦りしていた。
「白虎ちゃんうちに持って帰りたいわ〜。なぁなぁ白虎ちゃんここから出てウチの子になれへん、そんでウチの妹になってぇな♪」
「そんなこと出来るわけないだろ、アタイはこの祠を護る使命があるんだ」
「玄武のおっちゃんとかも居るなら白虎ちゃん抜けてもエエやんか?」
「いいわけあるか、アタイ達はある方からここを任されてるんだからな!」
「残念やな〜」
「というかそろそろ離せ、アンタの胸硬くて押し付けられると痛いんだよ」
「あ、妹のくせにそんな事言うんやな。お姉ちゃんはそんな生意気な妹に育てた覚えはないで?」
「誰が妹だ、そもそも育てたってなんだ…今日始めてあっただろうが!」
「つれへんなぁ、ウチの妹になるのそんなに嫌なん?」
「嫌とか嫌じゃないとかじゃなくて、そもそも姉妹じゃ…「あ…そういや白虎ちゃんランドはんと戦って疲れたやろ、ウチ飴ちゃん持ってるけど食べるか?」…貰う♪」
なんやかんやとランに対して抗議していた白虎だったが、ランがお菓子をあげると素直に喜んで受け取っていた。
「美味しい、今外ではこんなに美味しいお菓子もあるんだな」
「そうやで、ほらキャラメルもあげるからたべてみ♪」
「わぁ…これも甘くて美味しい♪」
「せやろ、と言っても食べ過ぎたらアカンで虫歯になるからな…って白虎ちゃん虫歯とかなるんか?」
「アタイは守護獣だぞ、そんな簡単に状態異常にはならない。……それに毎日歯磨きはちゃんとしてる」
「そうかそうか、白虎ちゃんは偉いんやなぁ。ほらお茶もあるからゆっくり味わい♪」
「うん♪」
「ラン様、あまり守護獣様に失礼な態度は…」
「本人喜んでるしエエやんか、なぁ白虎ちゃん?」
ランが白虎にそう尋ねると、白虎は「…うん」と頷く。
「普段ならアタイを「ちゃん」と呼ぶのは許さないけど、お前は別に呼んでもいい///」
自分にお菓子をくれたことで、白虎は若干ランへの対応を軟化させた。
「ほら白虎ちゃんもこう言ってるやん、仲良くするのは悪いことやないやろ?」
「そうは言っても限度があります」
「なんやねん、真面目やなぁイブキお母はんは…白虎ちゃん、こんな堅苦しい大人になったらアカンで?」
「え、この女はお前の母ちゃんなのか?」
「誰がお母さんですか!」
「わーお母はんが怒ったで、白虎ちゃん逃げるんやーー♪」
「わーー♪」
「お待ちなさい、少し説教して差し上げます!」
天真爛漫なランの人格によるものなのか、ついさっきまでは大人ぶっていた白虎も…気がつけば見た目相応の雰囲気をもってランと一緒にイブキから逃げていた。
<こっちや白虎ちゃん…ってアカン追い詰められた!
<覚悟はいいですかラン様?
<ここはアタイに任せろ、てぇい!
<くっ流石に素早いですね逃げられましたか!
<おぉ、白虎ちゃん流石やなって…ウチは残っとるやん!
<アタイを妹だと言うなら犠牲になれお姉ちゃん♪
<ちょっ…変わり身早ない。妹扱いは嫌や言うたやん!?
<だってその女に怒られたくないし♪
<まぁ私は発端のラン様さえお仕置きできれば構いませんが…
<ちょっ…ちょっとタンマやイブキ、アンタウチの護衛やろ。護衛対象に危害を加えるのはアカンやろ?
<ご心配なく、ラン様が至らない時に物理的指導することを…お館様には了解を得ております
<いやぁぁ、助けて白虎ちゃーーん!
わちゃわちゃとやり取りしている女性陣を見て、ランドは「打ち解けたようで何よりだ…」と呟く。
その横では玄武が「はぁ…守護獣がお菓子一つで買収されんなよ」と呆れ…
「姉さんも旦那に負けたことを引きずらずに何よりです、それにあんな楽しそうな姉さんは初めてですよ」
グラシスは見た目通りに楽しそうな白虎を見てそう口にした。
グラシスの言葉に玄武も「そうだな…」と呟いてから言葉を続ける。
「アイツは俺や他の仲間よりは少し若いからな、まわりに自分より大人びた奴しかいねーから…自分も大人じゃないとと無理してたのかもしれないな。だけど…あの嬢ちゃんがあぁして純粋に接してくれるから、無理せず素直な気持ちを出せたんだろうな。人間ながら大した嬢ちゃんだ」
玄武の言葉にランドは「そうかもしれないな…」と同意する。
「知り合ってまだ日は浅いが、ランは不思議と相手を自分と打ち解けさせる力がある。気取ることなく、ありのまま素直に相手に接することができるのが彼女の魅力なのかもな」
「成る程な、あの嬢ちゃんが「洗礼の儀」の挑戦者に選ばれたのはそういうところかも知れねぇな…」
そんな会話をしている男性陣の視線の先では…
「イタタタタ、なにもゲンコツ落とさんでエエやんか…」
「お仕置きとはそういうものです」
「お姉ちゃん大丈夫か?」
「もうアカン…白虎ちゃん…ウチは白虎ちゃんの姉で幸せやったで…」ガクッ…
「お姉ちゃーーん!」
「大げさな、そのくらいで死ぬわけ無いでしょ」
なにやらコントが繰り広げられていた。
そんな様子を見ながら、グラシスは「にしてもあれですね…」と口にする。
「姉さんも可愛いとこもありますね、これなら今度は俺が「白虎ちゃん」と呼んでも絞められたりは…ブベッ!」
そう言ったグラシスに、白虎が壁の武器から棍棒を掴むと投げつけた。
「だからアタイを「ちゃん」付けで呼ぶな!」
「なんでっすか、あの人間の嬢ちゃんは呼んでるのに?」
「ア…アイツはいいんだよ、アタイの事可愛いって言ってくれたし。それにお菓子くれたし………楽しかったし///」ボソッ
少し照れくさそうにそう口にする白虎にランは…
「はぁ~…白虎ちゃん可愛いなぁ〜♪」
ギュッ
そう言ってまた白虎を抱き締めた。
「こ…こら離せ///」
「エエやんか、もっとお姉ちゃんに甘えてエエんやで♪」
「調子に乗るな…それにお姉ちゃんと言うにはアタイと胸はあんまり…っていひゃいいひゃい」グニ〜
白虎が意見しようとした瞬間、ランは白虎の口を摘むと左右に引っ張る。
「胸については言わんといてなぁ〜白虎ちゃ〜〜ん?」グニグニ…
「わひゃっひゃ…わひゃっひゃはらはひゃふぇ〜」グニグニ…
「わかればエエんや♪」パッ…
「うぅ、守護獣のアタイを何だと思ってるんだ…?」
「可愛いウチの妹?」
「まだ言うか…」
「何やってるんですかラン様…」
そんなやり取りを見ていたランドは…
「あそこだけ見ると仲の良い姉妹みたいだな…」
そうボンヤリと呟き、それに玄武も「だな…」と同意するのだった。




