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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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散策からの帰路と商店街の伝説となったラジ

そろそろ日が傾き始めた頃、それぞれが街の散策を終えて集合場所の入り口前に集まっていた。


「それじゃあ戻るとするか、皆揃ってるよな?」


アルガスの言葉に全員が「揃ってます」と答えたのでアルガスは「じゃあ戻るぞ」と馬車を発進させた。


馬車の中では各々が街でなにをしていのかどういったものを買ったのかという話をしていた。


「ゼルはなにか買い物したのか?」


ガイルの言葉にゼルは「俺か?とりあえずペンドラとリンへの土産のお菓子と矢の先を研ぐ砥石を買ったぞ。あとはちょっとした生物の生態を解析した本とかだな」と答える。


「生物の生態?」


「おう、人間の女性の生態と繁殖方法の解析書だ!」


真面目に答えるゼルにガイルは「ああ、そういう…ペンドラに見つかっても知らないからな」と少し呆れた。


「いや、女性というものは何年かかってもその生態が完全に解明させることはない生き物だぞ?それこそ人間の永遠の課題だからな俺も買った!」


ガイルにたいしてそう言葉にしてゼルを援護するアルガスを見たランドは(ああ、陛下とゼルが読んでたのはやっぱり…)と心の中で呟いた。


すると今度はゼルがガイルに問いかける。


「そういうお前らはなにか買ったのか?ノエルとガレリアとファルと行動してただろ?」


ゼルの問い掛けにガイル達は返答した。


「俺は少し薬屋を見て魔力回復薬を補充したくらいだな」


「私は錆止めとかヤスリ位ね」


「アタシは特には、ファルと一緒に少し食べ歩きしたくらいだね」


「ゼルお兄ちゃん、ちょっとしょっぱいアイスクリーム美味しかったんだよ!」


「そうかそうか楽しかったんだなファル」


「うん!」


ゼルの言葉にファルは元気よく返答した。


「メリッサさん達はどうしてたんですか?」


続けてゼルはメリッサ達「学院組」に問いかけた。


「私達は主に教材として使う物の買い出しだね、あと少し自分の研究のための材料とかだよ」


「沢山買いましたよね、おかげで俺もダストンも腕が少し疲れましたよ」


「盾を持つのとはまた要領が違うしな」


「だらしないわね、あんなのランド先生が以前持ってたあの箱に比べたらなんてことないでしょ?」


「ソアラちゃん、ランド先生とこの二人を比べるのはちょっと…」


「「ランド先生と一緒にしないでくれ俺達は人間だ!」」


「お前ら聞こえてるぞ、人を人外扱いするなよ?」


「「えー?」」


「なぜそこで首をかしげる?」


そんなやり取りをしてるときにランドはふと気になった事を口にした。


「そういえばラジはどこにいたんだ?街の中では見かけなかったが?」


ランドの問いかけにラジは「ボクですか?ボクは商店街の方で色々と見て回ってました」と答える。


「そうか、ところでなラジ」


「はい?」


「集合してるときから気になってたんだが、その手に持っているトロフィーはなんだ?」


ランドはラジが手にしている上部でフォークとスプーンが交差したデザインをしているトロフィーについて尋ねた。


「これですか?なんか商店街の方で催し物をやってまして、前を通ったら「お嬢ちゃん、ちょっと参加してみないかい?」と言われた大会で優勝したんですよ」


「へぇ、どんな大会だったんだ?」


「なんかお皿の上の料理を食べていって一番時間内に多く食べた人が優勝とか言う大会でしたね」


「ああ、大食い大会か」


「料理はすごく美味しくていっぱい食べてたんですが、なんか途中でボクに声かけた人が「もう優勝確定だ、おめでとう」と言ってこれくれたんですよ」


ラジの言葉を聞いたランドは(きっとラジの外見を見て客寄せのつもりで声かけたんだろうな…まさか声かけた少女がドラゴンだとは思わなかったんだろう)と思った。


「師匠はどうしてたんですか?」


ランドにそう言って尋ね返したラジにランドは「俺は適当に広場とかをまわってただけだな、あとは市場で貝を買ってその場で焼いて食べたりしてたぞ」と答えた。


「そうなんですね、誰かと一緒にですか?」


「いや、一人だ。あぁでも昼食は途中でマーセル達が来たから少し一緒だったな」


「そうだな、あの時は満席だったから相席できて助かったぜ」


ランドの言葉にマーセルもそう言って同意した。


「そういえばマーセルさん達は色んな店を回るといってましたよね。目的のものは買えたんですか?」


ノエルの言葉にマーセルは「そうだな、とりあえずは船の修理をする道具は揃ったから明日の朝から修理をはじめて明後日には出航できそうだ。幸い今回の積み荷はどこかに納品とかをするやつじゃなくて俺達の判断で買ってどっかで売ろうと思ってたやつだからな。こちらの街で卸して代わりにこの街の品物をいくつか仕入れることもできたからこちらとしては上出来だぜ」と答えた。


「取引した商品はどうしたんですか?」


「こちらが向こうに渡すやつは明日の午後に商人達がアルガさんのプライベートビーチのところまで取りに来てくれる事になった。その時に互いに交換という形になったんだ、勿論アルガさんの許可は得たぞ。あと今日買った修理道具はランドが持ってるマジックバックに入れてもらったぜ」


マーセルの言葉にランドは「よろしかったのですか、商人達と顔合わせるとバレるのでは?」とコソッとアルガスに耳打ちする。


「大丈夫だ、俺は直接顔をだすつもりはないからな。フォルクスに事情を伝えて代理人として見届けてもらう。あと悪いがお前にはそのマジックバックもあるから手伝ってやってくれないか?その方が早くすむしその分バレるリスクも減るだろ、あとはまぁ大丈夫とは思うがもしぼったくるようなやつがいたら間に入ってやれ。流石に敷地内で揉め事起こされると俺も隠しきれなくなるしな」ボソッ


「なるほど、わかりました」ボソッ


ランドとアルガスのやり取りが聞こえていないノエルは「そうなんですね、ランドさんのマジックバックは高性能ですからね」と言葉にしマーセルも「ホントにな、ありがとよランド」と言葉にした。


「気にするな、何かしら負担がある訳じゃないからな」


「ホントにマイペースな奴だな」


そんな会話をしながらランド達はアルガスの屋敷へと戻ったのだった。


ちなみにその日の夜、みんなの泊まっている部屋の上の階から…


<アラ、コレハマタ…カワイラシイジョセイガイッパイノッテルワネ~


<オ、オチツケ!コレハアクマデモセイタイケンキュウノタメデアリケッシテヤマシイキモチハ…グアァァァァァァ!


ドコーン!


そんな声と音が聞こえたが全員熟睡していて気が付かなかった。


―今日の昼間の商店街の様子―


「さぁー大食い大会やってるよ!我こそはという人は参加した参加した!」


商店街の一角でそう言って主催の男が声をかけてつつも少し考え込んでいた。


(うーん、どうも暑苦しい男ばかりじゃ華がないな…かといって女性はなかなか参加してくれないし…ん?)


もう少し盛り上がる要素はないかと主催の男が考えているとそこにラジが通りかかった。


(あの娘可愛いな、それに運動とかできそうなスタイルもしてるし…よし!)


男はなにか思い付いたのかラジに声をかける。


「そこのお嬢ちゃん、ちょっといいかな?」


声をかけられたラジは「はい?なんですか」と振り向いた。


「実は今からちょっとした催し物をするんだけどね、良かったら参加しないかい?(近くで見るとかなり可愛いな、これはいい客寄せになる)」


「催し物ですか?」


「そうなんだ、あそこでお皿に乗ってる料理を次々と食べていって制限時間内に誰が一番多く食べられるかって催しなんだけど」


「うーん、でもボク今そんなにお金ないんですよね」


「参加は無料だよ、それに料理も代金はとらないさ」


「そうなんですか?それなら丁度お腹すいてたし参加しようかな」


「そうかい、じゃあそこの席に座って用意してね(よしよし、女の子がいると盛り上がるぞ。それにこんな可愛い娘が頑張るのは絵になるしな)」


そうして主催の男は盛り上がり要素を得たと喜んだ。


そうして「大食い大会」は始まった。


観客は参加しているラジを見ると。


「お、今回は可愛い娘が参加してるな」


「嬢ちゃん頑張れー!」


と盛り上がっていた。


主催の男も(よしよし狙い通りだ、盛り上がってるぞ)と喜んだ。


そして30分ほど経過した時…主催の男の狙い通り今回の大会は今までとは段違いの盛り上がりを見せていた。


「あ、これお代わり貰えますか?」


「わ、わかりました…」


「美味しいですねこれ、こんな美味しいのに無料なんてスゴいなぁ」


他の参加者とは圧倒的な差をつけて食べるラジに観客達は…


「うぉーすげぇぞ嬢ちゃん!」


「見てて気持ちいい食べっぷりだな!」


「可愛いのにやるじゃねーか!」


と大盛り上がりだった。


やがて料理の担当者から制限時間よりも早く主催の男に「あの、用意してた材料がなくなりました」と伝言が来た。


男はそれを聞くと「しゅーりょー!」と宣言した。


優勝は圧倒的な差をつけてラジだった。


男はラジに「優勝確定だ!おめでとう嬢ちゃん!」と伝えるとトロフィーを渡した。


「こちらこそ美味しかったですよ、ありがとうございました!」


ラジの言葉に会場は大きな歓声に包まれた。


(まぁ狙いとは違ったが盛り上がったしいいか…)


男はそう心で呟いた。


そしてこのあと、ラジはこの商店街で「伝説の大食い少女、その胃袋と食べっぷりはドラゴンのごとし」として語られることとなった。


後日また市場を訪れたランドがその話を聞いたときは(まぁ実際ドラゴンだしな…)と思ったのだった。

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