平原の帰路
目が覚めてすぐに馬車で出発し、再び夜を超え今日の夕方にはテゴドールに帰れるだろうという昼。馬車の旅にも多少慣れ色々と考える余裕が出来たんだが...それはそれで暇だ。やることないんだよなぁマジで揺られてるだけだし。2人しか乗ってないからクラウスはずっと手網握ってるし。そういえば余裕なくて気付かなかったけど村長が魔物がなんだとか盗賊がなんだとか言ってたよな。話しぶりからして普通冒険者を雇うもんなんだと思うが...大丈夫か?レーアは冒険者らしいし頼めばいいんじゃないかって気もするけどなぁ。まっ馬より足が遅いとか平原で周りが見渡せるから余裕で逃げ切れるとかだろうとは思うが...。いざとなれば戦わなきゃってなるだろうが俺権能のおかげで身体能力は何とかなるけど体力も技術もないんだよなぁ。天にいのるしかないかぁ。運良く何もありませんようにって。あぁでも天にいるのってあの抜けてる神様だったな...。
「なぁクラウス。」
「ん?なんだ?」
「普通こういうのって護衛雇うもんなんだろ?なんで付けてねぇんだよ?そんなに運に自信あるのか?」
「ハッハッハ確かに運には多少自信あるがそんな不安定なものに命はかけらんねぇよ。」
「じゃぁなんでだ?」
「まぁなんだ。必要ないもんに金かける必要は無いだろ?」
「いや護衛は必要なもんだろ。金で安全を買ってるんだから。」
「なに下手な冒険者なんていてもいなくても変わんねぇよ。大丈夫だいざとなればそこに戦斧が転がってるだろ。それで何とかしてやるよ。ハッハッハ!」
確かに逞しい身体してるけど所詮商人だろ?そんなんで足すくわれなきゃいいけどなぁ。
ガタガタと揺られ余裕が出来てきてる俺はただただボーッと遠くを眺め続けていた。視界に入るのは平原と森くらい。人影どころか動物の影すら見えない。ってあれ?なんか...影が...なんだろ?視力とかは強化されてないからなぁ。人ではないな。犬かな?でもデカイな。熊とか?いやいやそんなに手足太くないななんだあれ?
「クラウス。あれ見えるか?」
「ん?どれだ?」
「あっちのあの四足歩行のやつだよ。」
「あぁあれか。」
「あれなんだか分かるか?」
「ん〜ありゃぁフォレストドッグだな。そのまま森に住む犬だ。なんでも名前決める時考えるのめんどくさかったとかなんとかでそのままらしいぜ。まっこんなとこにいんのはめずらしいな。」
「捻る気一切ないな...。」
なぁんだ犬か。大型犬よりも更に2回りくらいでかい気がするけど犬か。ならいいか。...なんか増えてない?
「なぁフォレストドッグって群れるのか?」
「あぁだいたい10から20匹位の群れを作るな。」
「へぇ大丈夫なのか?襲ってきたりとかは。」
「大丈夫だ。」
「そうか。」
こいつよくここら通るみたいだし大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。さて何匹居るかなぁ...まぁ14とかかな。....近ずいてきてない?
「なぁさっきより近ずいてないか?」
「まぁそりゃ近ずいてくるだろ。」
「なんで?」
「まぁ馬減速させたからな。」
「なんで!?」
「いやだってあのままほっといてもどうせこっち来るし、馬やられたら困るしな。」
「いやいやいや逃げなきゃだろ!?馬やられたら困るけどこのままじゃ一緒にこっちもだろ!?」
「まぁまぁ落ち着けってそんなんじゃこれからやってけねぇぞ。ほれ、そこの戦斧取ってくれ。」
「大丈夫なのかほんとに?」
「だぁいじょふだって。」
俺から戦斧を受け取ったクラウスは俺の方にサムズアップしてからフォレストドッグに向かっていく。てかさっき襲ってきたりとかは?って聞いた時の大丈夫ってまさか大丈夫だあれくらいなら勝てるって事だったのか...?...不安が拭いきれないな。試しに検者でフォレストドッグどれくらいの強さなのか調べてみるとするか。もしかしたらすごく弱いのかもしれないしな。
【フォレストドッグ:そこまでの戦力を持たない。駆け出しの冒険者でもそこまで苦戦することなく討伐することが出来る。】
なぁんだ。弱いんだな。じゃぁ安心...
【しかし、例外なく群れで動き、その統率力は高い。弱いフォレストドッグが集まったところでと油断した冒険者パーティーがその連携に翻弄され命を落としたという報告は後を絶たない。】
は!?下に伸びるな!安心したところを絶望に叩き込むような演出しやがって!調整したのあの野郎だよな。絶対いつかぶん殴ってやる。
「クラウス!ヤバいって!舐めてかかって痛い目にあってからじゃ遅いぞ!」
そう叫んだ時にはもうクラウスとフォレストドッグは交戦を始める直前だった。こうなったら戦力になれるとは思えないが何かしなくては!どうする!?俺は剣は使えないし他に使えるものもなければ経験も知識もない。何をすれば...。
「おーい終わったぞ。」
「は?」
「だから終わったってば。」
焦って少し目を離した隙に戦闘は終了していた。確認するとある1点から14匹のフォレストドッグへと連なりながら鋭い槍のような岩が地面から飛び出していた。そしてフォレストドッグ達は例外なく岩に貫かれて絶命しているようだった。
「これがここら辺の普通なのか?多少鍛えりゃみんなこんなこと出来んの...?」
「いや流石にこれやるならかなり鍛えなきゃだが。」
「なんで商人がそんな鍛えてんだよ!」
「あれ?話してなかったっけ?俺親父に言われて見聞を広めるためしばらくの間冒険者やってたんだ。ここら辺じゃ多少は名が通ってるんだぜ。」
「...まじで?」
「まじで。」
あのさぁ確かにさ村長があなたがそう言うならとか言ってた意味もわかったし、護衛もいない理由も分かったけどさ?俺の心配を返してくれ。
あとからちょっと思ったが結果的に何もしなくてもよかったとはいえどうすべきか悩んだ時ってとりあえず権能で思考10倍にした方が良かったな...。
どうも!クロウです。今回はクラウスの活躍回です!ムッキムキの商人が弱いわけないよなぁ!?ってことで元冒険者さんでございます。正直ベタだなぁとも思いますがまぁまぁそこら辺は...ね?上手く利用して物語が面白く進むように頑張りますので許して...許して...。馬車に乗ってる初めてあった商人がムッキムキな時点でこうなるのは確定だったんだ...兄貴風吹かせようとしたらこうなる定めなんだ...。




