STEP1 Frozen Flare 65
少年達は、怯えたことを恥じるかのように、強い態度に出た。
「裏方が何しゃしゃり出てくんだよ。俺らはザキ以外には用はねぇよ」
ザキを襲ったのは自分達だと、はっきり認めた訳だ。
「裏方? 確かに裏方よね」
少女は淡々とした口調でそう言うと、唇の端を歪めて酷薄そうな笑みを浮かべた。
「女だから、雑用係だからって、舐めてもらっちゃ困る。こっちも伊達に、SGAのメンバーは名乗ってないわよ」
少女はそう言いながら、テーブルに寄りかかっていた一人の少年の腕に手を伸ばした。
少年が腕を引っ込めるよりも早く、少女はジャンバーの腕に突き刺さっていた針状の物を抜きとっている。
黒いジャケットと同系色の為に分かり辛かったが、それは小さな黒い房のついた布団針ほどの針だ。
少女は、それを自分の服の襟の裏に止めると、五人の少年達を順ぐりに見回す。
「この人数が、全部ってことはないわね。この中に首謀者はいるの? それとも誰かに頼まれたの?」
少年達は黙り込んでいたが、少女は返答があったかのように振る舞った。
「そう。誰に頼まれたのか言ってみなさい」
少年の一人が、不貞腐れたように吐き捨てた。
「シヴァだよ。俺らダチだし」
少女は、目を据えて睨みながら、
「本当のことを言いなさい」
とすごんで、手の平を少年達の目の前で翻して見せた。
まるで手品師のような鮮やかさで、少女の手には三十センチ程度の刃物が握られている。
「ば、化け物」
誰かが思わず呟いた。
「化け物はあなた達の方じゃない。笑いながら人を傷付けるような、他人の痛みも分からない」
少女は、手近にいた少年の喉に、匕口の切っ先をつきつける。
少年は、喉をのけぞらせた格好で、顔を引きつらせて言った。
「ヨータだ。嘘じゃない」
少女は溜め息を吐くと、またもや手を振って、握っていた匕口を消した。
「質問を変えるわ。なぜザキを狙ったの?」
少女は腕を組んで、少年達を見下ろす。
「あいつが悪いんだ。顔だけでデビューした癖に、調子に乗りやがって」
別の少年が、ホッとしたような表情を浮かべて、すらすらと答えた。
「ザキの鼻をへし折ってやろうと思ってさ。フローズンフレアを乗っとっといて、まるで自分一人がそこまで押し上げたと思ってんだぜ。ちょっと歌うまいからって、結局若くて顔がいいからだけじゃねーか」
少女は横を向いて吐き捨てるように、若さと顔だけだってんなら、放っといても一、二年で落ち目迎えるわよと言った。
そして言い聞かせるような調子で、滔々と話し始める。




