↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
56/399

STEP1 Frozen Flare 56

 愛美は、また怒られるかと思いながらも、そう言ってテーブルについた。


 曲は、カップリングの『Clime Education』に変わっている。編曲はヨータによるもので、リズム感のある曲調だ。

 一曲目とは、雰囲気といいザキの歌い方といい、ガラリと変わっていた。


「全部本当だぜ」

 キーボードを打つ手を止めたザキが、意地悪な顔で言った。


〈君に罪をあげよう 踏みにじられた愛をあげよう 優しい顔で 牙を立てて 無造作に散らした 薔薇の花弁(はなびら)で 君のその骸(むくろ)を飾って あげよう〉


 曲はタイトルからして、危険の匂いがプンプンとしているようだ。

 Clime(犯罪)Education(教育)罪は蜜の甘さにも似て、と言う訳か。


 実際会って嫌な奴だとは思うが、薬でラリったり、女遊びが激しいとかは、ザキのイメージとは合わない。

 

 こいつなら、暴行して妊娠させたとか(あくまで暴行)、あと酒を飲んでいなくても暴れそうだ。それなら、有り得る気がする。


「俺んとこの学校中高一貫の男子校だからさ、ライなんかモテんだぜ。酒飲んで傷害事件起こしたのはヨータ。ウミハルはあいつ、デビュー決まってたタレントと寝て孕ませちゃったし。シヴァだってさ、薬で警察沙汰になったし」


 まるで楽しくて仕方がないといった言い方で、ザキは唇の端を歪めて笑った。

 

 顔は天使で、心は悪魔か。


 ザキではなく、メンバーに関する噂だったというのか。

 しかも噂ではなく、事実だと?

 

 シヴァが薬を? 傷害事件、ヨータが? ライが?

 メンバーと直に会って、愛美が感じた彼らのイメージは、簡単に覆されてしまう。


 メディアとは、その全てが虚構に等しい。

 所詮噂は噂だと、ザキも含めた上で、愛美はそんな感触を受けたのだ。


 事実愛美が、その彼らの行状を目にした訳ではないので、ザキの言葉を全てを信じることもいかなかったが、全て嘘だと決めつけるだけのものもなかった。


 愛美は彼らという人間を、ほんの少し垣間見ただけに過ぎないのだ。


〈罪と罰に浸り 夢は赤く燃えて 暗い空は割れて 星は堕ちた あの明け方の海へ〉


「あなたは何やったの?」

 愛美の問いかけに、ザキはあっさりと答えた。

「人、殺した」

 愛美は思わず眉間に皴を寄せて、強い口調で嘘でしょと言っていた。


 ザキは、ジロリと愛美を睨む。そして、キィボードに乗せていたザキの右手が、愛美の方へと伸ばされた。


〈呼んでごらん僕の名を 駄々をこねる子供のような ないものねだり 欲しいだろう 言ってごらんよ 全部あげるよ 君に 言ってごらんよ 欲しいって〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。