第43話:それぞれの道
ギルドの喧騒を背に、俺たちはカウンターへ向かった。
「ただいま、戻ったよ」
俺が報告すると、受付係は手元の記録を確認しながら軽く頷いた。
「おう、戻ったか。死なずに済んだみてぇだな。仕事探してんなら、掲示板でも見てこいよ」
俺たちは簡単な挨拶を交わし、掲示板の前で足を止めた。
「さて、俺は次の仕事を探すか……」
リーナは少し考え込むような表情を浮かべた後、俺に向き直った。
「透、私は古着屋に戻ることにするわ。無事に依頼を達成できたし」
「古着屋?」
「あそこが私の元々の職場だから。たまに冒険者の依頼を受けるけど、本業はおろそかにできないしね」
リーナはどこか安心したように微笑んだ。
「そっか。じゃあ、しばらくはギルドの仕事は受けないのか?」
「ううん。全く受けないわけじゃないけど、頻繁にはやらないと思う。やっぱり安定して働ける場所がある方がいいしね」
俺は納得しながら頷いた。
「それなら、落ち着いたらまた飲みにでも行こうぜ」
「いいわね。透の祖国の話は面白いし、また聞きたい。仕事が終わったら声かけてね」
そう言って、リーナは古着屋へと向かっていった。
俺は改めて掲示板に目を向ける。
『倉庫整理の手伝い募集。報酬は作業量に応じて支給。重いものを運べる者歓迎』
「街の中でできる仕事か……これなら手軽に稼げそうだな」
短期間で終わる仕事を選び、受付へ向かう。
「この仕事を受けたいんだけど」
受付係は俺の申し出を確認し、軽く頷いた。
「依頼主は商店街にある『イワノフ商会』の親父だ。あそこは食料から加工品まで手広く商売してる、結構なやり手だぜ。物資の流れも早いから、倉庫整理は頻繁に必要になるってわけだ。直接向かって話してみな」
こうして、俺は次の依頼——倉庫整理の手伝いをするため、商店街へ向かった。