一章 20 森抜ける
俺たちはその後もゴブリンを倒して進み続け森を進んだ。だが、森の奥だけいくのは避けていた。なぜなら一度入ろうとしたが、そこはランクBの巣窟だった。別に必ず討伐しなければいけないわけではなく、避けれるなら避けてもいい。そんなふうに進んでいると夕方には森を抜けた。それまでに今までにたまったのは、F級78、E級10、D級10、C級3だ。ぬけた場所は平地で、その先に街が見えた。
「ふぅ。やっと抜けたね。」
萌音が深い息吐きながらつぶやいた。流石に強行しすぎたから疲れが見える。それは琴葉もそうだ。少なくとも地球にいた頃は、朝から歩いて途中休憩挟んだとはいえ、夕方まで歩いたことはない。しかもそれが森という歩きづらい道だ。何度も馬逃さなければよかった。と、考えたが、あの馬車にはおそらくこの国の国旗である絵が描かれていた。それに馬も馬で特徴のある馬だった。それに乗っていると直ぐにバレてしまうだろう。
「さて、どうするかだな。目的地の他国について調べるなら街で情報集めたほうがいいが、その分、俺たちの情報もまくことになるからね。メイなら問題ないかもだが、俺ら三人は確実に浮く。」
学生服の俺と琴音は学生服、どこからどう見てもこの世界の洋服ではない。しかもだ、同じく召喚されたのは同じ学校の奴らと同じだ。それこそ誰かが制服を貸したとすると、これと同じ服の人来ませんでしたか?という質問で即バレる。巫女服もだ。ここは異世界とはいえ、巫女が街の中を闊歩してないだろ。それこそ注目の的だ。そうなると嫌でも顔覚えられる可能性高い。俺たちの顔写真まわってきたら、完全にバレる。唯一バレル可能性がないのはメイだ。メイは存在割れてないし、メイド服の人は貴族がいる世界だし、違和感はないだろう。ただ、メイド服をきているメイも一人でいたら目立つかもだしな。
「僕が偵察するの?その後ルリを飛ばすの。」
と、琴葉がいった。ちなみにルリというのは琴葉の人形に琴葉がつけたなまえだ。確かに琴葉の地理ならいけるかもだが、それでもちょっと心配何だけど。
俺がそんなこと考えていると、
「それじゃ〜今日は夕方だし明日にしない?つまりは学生服がわりがあればいいんだよね。」
どうやら萌音には考えがあるらしい。森の入口にいたらいつかバレるかもしれないので移動することにした。俺たちはきた道戻り森の中にはいった。そしてある程度街から離れた森の中にある川の近くで今日は過ごすことにした。
「それでどうするんだ?」
俺が聞くと、萌音は布と裁縫セットを取り出して、
「これでね。琴ちゃんの洋服作るんだ〜。少なくとも学生服じゃなかったらめだちにくいと思うし、私も久しぶりに作りたいからね。だから明日までにつくるよ〜。」
と、萌音がいった。そういやコスプレの衣装自分で作ってたらしいな。なるほど確かにそれはいいアイデアだな。
「それは確かに。いいアイデアかもだけど、一日でできるのか?できる限り速くこの国からでたいが、それで萌音が体調崩すのは無しだからな。」
俺がそういうふうに注意すると、
「大丈夫だよ。何度かやっているし、ただ明日の朝から昼間までは寝てしまうと思うけど……」
と、萌音がいった。最後が尻すぼみになっているのは、俺の注意に対する答えになってないからだな。
「わかった。もうこれ以上は言わない。ただ無理するな。それだけだ。」
と、俺が折れることにした。確かに時間が惜しいことには変わりない。あの騎士たちは殺る前に犯ろうと話していた。だから本来ならあの日に処刑されていたかもしれない。そう考えると今日もしくは、明日にはあの騎士たちが、城につかないと怪しまれる。
「琴。今日ははやくに休んで、明日、朝から地理を使いながら潜入してくれ。俺たちはこちらの常識に疎いだろうからメイもついていってほしい。その間俺と萌音はここに待機しているよ。で、明日の午後に琴の情報次第で、行き先決めようか。どうかな?」
俺がきくと、メイはすでにやる気出していて、琴葉も、
「もちろんなの。でもそちらも大丈夫なの?結希斗先輩、昼間はひとりなの。」
と、琴葉は俺の心配をしてた。確かに俺一人なら問題ないが。寝ている萌音を守りながらだ。テントで寝るからテントの入口さえ守っておけば問題はないにしろ、それでも俺の行動は制限される。
「最悪レイにも協力してもらう。敵の影にうまくレイをおくれれば敵がスタンするからな。それに、これはあくまで俺の予想だけど、速くて明日の朝には捜索が始まると思う。もちろん俺たちのだ。だから急いだことがいいのは事実だ。」
俺がそういうと、萌音と琴葉は息を呑んだ。少なくとも生存がバレたら国が敵になる。この予想はすぐできた。
「作戦は後で煮詰めなおすとして、とりあえず飯食べようか。お腹空いた状態じゃあ、成功する作戦も成功しない。琴、昨日預けた特上寿司出してくれない?しっかり食べて明日に備えよう。」
俺がそういうと、全員、少しだけ張り詰めた表情が柔らかくなった。
「わかったの。」
琴葉は元気よく頷き、さっそく準備を始めた。メイは特上寿司がどんな味かわからずキョトンとしている。まぁこっちの世界には無いだろうしな。
感想むちゃくちゃうまかった。最初は得体のしれない物として警戒してたメイも、一つ食べると次々に口に運んでいっていた。一人前16かんと女子には少し多そうだったがしっかり完食してた。
「はぁ美味しかった〜。じゃ〜私は、作業始めるね。何かあったら呼んで。」
萌音は、それだけ残して先にテントに入っていった。俺は寿司の入っていた桶を洗いながら、よろしくとだけ伝えた。
そして作戦会議だが、
「琴と、メイさ。街に入ったら街を迂回して国に行ける道と念のため貴族もしくはそれに準ずるやつの屋敷周辺を探ってくれないか。もちろん聞いたりとかじゃなく地理を使ったり、ときには人形つかってね。怪しまれないようにな。」
俺が後ろに座っている琴葉とメイに話しかけた。二人共少し不明な場所があったのか少しキョトンとして琴葉が口を開いた。
「迂回はわかるの、でも何で貴族とかの家もなの?」
と、引っかかっていたところを口にした。普通なら調べなくていいが状況が状況だ。情報は多いに越したことがないからな。
「追放されたときさ。王と名乗ったやつ以外にきらびやかな服きたやつらいただろ?状況考えて貴族だろう。その貴族とかから情報まわってきてる場合、表記は赤ばっかりだろうし、どれくらいの情報かもわからね。だから念のために調べていてほしいんだ。」
俺がそういうと、2人は、納得した顔をした。
「なるほどなの。頑張るの。」
「任せて。」
2人は、やる気に満ち溢れたような顔をしていってきた。
「何度も言ったかもだが無理だけはするな。人数かけて前には進みたくないぞ。」
俺はそう念押しだけして、今日は休むことにした。
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SIDE ???
俺はうなされながら目を冷ました。またあの夢か。俺の記憶ない風景で、俺に声をかける女の子の夢。それを見るたびに心が締め付けられる。まるで忘れたなにかにすがりつくように。だがやはり記憶はない。俺は生まれたときからここデッドリアで生まれた。昔から国が好きで国を守る。近衛にもなった。まだ12位と下の方だが、いずれ1位になるつもりだ。
そして俺が任務終えて城についた日、部下4人がいつまでも帰ってこないと嘆く隊長とあった。普段からサボりぐせがある奴等で今回もサボっているのだろう。と、いっていた。それを聞いた俺はいてもたってもいられずそいつらを探すことにした。国のために働ける嬉しさを理解してもらわなければな。




