第77話 橋が落とされているということは
「あれ? 馬車が止まった」
目的の歓楽都市に到着するには早すぎる、
馬車を降りると大きな川の前だが橋が落ちている、
これは先へ進めない、そう、普通なら……でも僕らなら!
(いや、騎士団の運転手さんが居るので空は飛ばないよ!)
と思ったがジマーの魔法があるか、
パーティーフライ、それで馬車ごと……
「ふむ、セルフィ、これは橋が落とされているな」
「えっシグリヌさん、ということはこれって」「罠だな」
「ファロラ」「……周囲に人は居ないわね」「ということは」
こういうときは他の橋を探すのがセオリーで、
川幅が狭くなっていくはずの上流へ行くはずだ、
もちろん下流にもっと丈夫な橋がありそうだけど……
(盗賊が狙うなら上で張ってるな)
さて、どうしよう。
「セルフィ、どうするの?」
「うんファロラ、選択は3つかな、まずはジマーの魔法で飛ぶ」
「馬も一緒にだと魔力消費がヤバいわよ」「それはまあ何とかなるでしょ」
逆に馬も一緒に出来そうで良かった。
「あとは?」「ルビアさん、ホーリーロードを」
「魔法で橋をかけるのね、どのくらい持たせれば良い?」
「後ろが追いつくまでだから」「すぐよ」「いやギルド組じゃなくガーデンなんちゃら」
位置関係を言うと、
僕らから数分遅れで冒険者ギルド2人の馬車、
更におそらく数時間遅れでガーデンオブリリーズの百合パーティーだ。
(数分離れてるのは、いつの間にか離れちゃった)
いや安全な道って聞いてたからね、
でもさすがに橋が落とされているとなると、
話は別だ、ルビアさんの魔法だと光の橋は1日持つだろうけど……
「あと1つは?」
「うん、あえて遠回りして、待ち伏せしているであろう盗賊、山賊を倒す」
「面白そうね」「僕らだけ良いなら飛ぶか魔法で橋だけど、さあ、どうしよう」
そうこうしているうちに、
すぐ後ろの馬車が追いついた、
降りてくるギルマス予定のルミナスさん。
「まあ、これは」
「おそらく山賊の仕業です、ただ近くには居ないようで」
「ではどこかで」「おそらく上流の橋で待ち構えているでしょう」
僕の言葉に考え込むルミナスさん。
「依頼を致しますわ、この橋を壊した犯人を調査して下さいませ」
「あっクエストだ」「きちんと依頼料は、報酬はお出し致しますわ」
「わかりました、それは良いんですが、ええっとここで待ちますか?」
ついて来られたら護るのがちょっと面倒。
「それも危険ですね」
「じゃあついて来ますか」
「もちろんそれも危険かと」
じゃあ引き返す、必要は無いか。
「ルビアさん」「はいですわ」
無詠唱で光の橋をかける!
うん、きらきらしていてしっかりしている。
「まあこれは」
「これなら壊される必要ありませんよ」
「ありがたいですわ」「行き先は道なりですよね、じゃあこっちの騎士団員さんも一緒に」
馬車内にも護衛が居るとありがたいし、
盗賊相手にホーリーサキュバスの魔法を使うかも知れない、
念のために目撃者は居ない方が良い、ということでこっちの馬車の運転は……
「では私が馬を引こう」
「はいシグリヌさん、お願いします」
「では、わたくしどもは先に失礼致しますわ」「一応、向こうのギルドに報告も」
ということで馬車は2手に分かれて、
僕らは橋をあえて渡らず川上の橋を目指すのであった、
いや川下で張ってたらどうしよう、まあいっか仮の橋は出来ているんだし。
(さて、どんな盗賊が待っているかな~♪)
決闘じゃない対人かあ、ちょっと楽しみ。
馬車に乗って順調に川沿いを昇っていくが、
のどかなもんだ、ちょっと暇なのでお話でも。
「対人ってことだけど、とりあえず生け捕り目標で」
「殺しちゃ駄目なのね」「うんファロラ、腕とか切るのもできるだけやめておこう」
「眠らせるのはいかが?」「ルビアさん、それが手っ取り早いかな」「しかし情報が~」「それは僕らの仕事じゃないかも」
冒険者ギルドに引き渡してからの話だ。
「ねえ、アンタたちってサキュバスなんでしょ?」
「ジマー、僕は人間」「アンタに聞いてないの!」「あっはい」
「相手が悪い人間だったら、サキュバスらしく吸ったらー?」「いや死んじゃうから!」
と、みんなを見る。
「セルフィ様しか吸いたくありませんわ」
「やはりセルフィさんの方が~、いろいろと~」
「きっとだけど、セルフィ以外のは不味いと思う」
うーんこれ、
僕は喜んで良いのだろうか?
……ということで、いよいよ盗賊との戦いが待っているのであった。




