第66話 なぜか僕1人がこんなことに
(いったい僕は、何をやっているのだろうか……)
翌日、街で朝食を頂いたのち出発、
なのだが僕は前方の馬車に乗っている、
そう、S級女性冒険者パーティー『ガーデンオブリリーズ』に囲まれて。
「それでシグリヌ様の昨夜の様子は」
「目覚めのキスはされたのでしょうか?」
「やはり身体を持て余してらっしゃるのかと」
「そのような場合、セルフィ殿はどのような事を」「ちょ、みんな近すぎるって!」
もはや4人の女体に包み込まれている、まであるな、
確かにシグリヌさんから勝者特権というか敗者の罰として、
今日1日、僕といちゃつくように言われた彼女達、確かに密着してきているが……
(サキュバスにヤラれる前だったら、きっと何かが漏れていただろう)
でも今の僕はホーリーサキュバスの餌だ、
こういう人間相手に揉みくちゃにされても、
なんだか面倒くさいなあとしか思えない僕が居る。
「シグリヌ様には、いちゃつくようにと」
「もしも満足させられれば、その回数分、私たちを」「何の回数~?!」
「我々としては、もう少し可愛らしい格好の方が」「昨夜お待ちしておりましたが」「行かないよっ!」
勝手に捕食する気満々でも、
もうすでにサキュバスにっていう、
真実を知ったら彼女達、どうするんだろうか。
「何かご希望はありますか?」
「お好きな添い寝を選んで下さい」「まだ午前ですよ?!」
「して欲しい事があれば、何でもおっしゃって下さい」「受けも攻めも出来ますから」
何をどうするっていうんだ、
彼女達、目的がはっきりしていて、
わかりやすいどころか、もはや清々しいな。
(やろうとしている事は清らかじゃないけど!)
まあいいや、
とりあえずちゃんと、
きちんと話くらいは聞こうっと。
「ええっとガーデンオブリリーズの皆さんはどうしてこのパーティーを」
「元々はお慕いする方々が居たのです」「それぞれの師匠とでも言いますか」
「しかし全員、自然な流れで抜けてしまって」「残った我々が継いでいます!」
あー、なんとなくわかった。
「つまり師匠は」「素敵なお姉様です!」「それはそれは素晴らしい女性で」
「姉様は伝説級のS級弓使いでして」「かっこいいお姉さまのお力になりたくって」
「つまりは今、崇拝する相手、女性が居ないと」「それを是非、シグリヌ様にっ!!」
いや貴女リーダーでしょうっていう、
そうか、女性に惚れて入った、集まったものの、
上が抜けたせいで自分たちの『お姉さま』が居なくなったのか。
(それでシグリヌさんをターゲットに、かあ)
S級冒険者まで上がれたのも、
すでにS級だったであろうその先輩、
師匠と一緒にクエストをこなして行った結果かな。
「シグリヌさんのどこがそんなに良いの」
「あの佇まいです!」「もう雰囲気が、オーラが」
「あれは女を惹きつける身体です」「只者ではない、全てが人間離れしたような……」
そりゃそうだポーターだもの、
勘が良いなこの薬師ポーターの子、
はっきりサキュバスだってわかってる子は居ないっぽいけど。
「まあ、わかり易い前衛特化だよね」
「私のような中途半端な魔法剣士よりもは」
「どっちつかずの僧侶戦士である私よりもは!」「いや卑下しないで」
決闘で思ったけど、
この前衛2人はかなり優秀だった、
剣士だけの部分を見てもS級でおかしくない。
(ようは魔法はプラスアルファだ)
つまりパーティーで1人2役、
むしろ4人パーティーなのに、
6人で戦っているようなもの、その判断を瞬時に出来る有能なパーティー。
(もちろんシグリヌさんだって2人分の前衛だ、剣2本だし)
だからこそこの『ガーデンオブリリーズ』にシグリヌさんが入れば、
5人パーティーながら8人のフルパーティーみたいな状況になるのか、
単純にS級冒険者パーティーとしても、ある意味で『完成』してしまうレベルだ。
(でもなあ、ウチだってバランス最高だし)
あと、性癖的なことは置いておこう、
そのあたり突っ込むときりがなさそうだから。
「私も弓でバックアップしたいです」
「この私が調合した回復役、解毒薬でお護りを」
「後衛から見てもシグリヌさん含めた3トップになれば、フォローのし甲斐がありそうだね」
とはいえ戦闘中でも、
シグリヌさんの場合は僕がパーティー内に居ることで、
魔力を補てんする事ができる、さすがに戦闘中におっ始める訳にはいかないけど。
(魔族領でなりかけた事案は忘れよう)
とにかくシグリヌさんが、
ここへ移籍するようなことは無い、
あるとしたら彼女たちがこっちに……うーん。
(でもなあ、僕が欲しいかっていうと)
このあたり、
今回の同行とあっちでの闘い、
そのあたりで見極めようかなっ。
「あの、次はそちらについて」
「セルフィさんのパーティーについて詳しく」
「特にシグリヌ様について」「いつなぜどのように仲間に」
あっ、またぐいぐい来た!
ここは長話になるけど、上手い具合に説明しようかな、
いかにサキュバスであることを隠しつつ教えられるか、その練習にもなるし。
(辻褄が合わないことの、無いようにね)
このあたり地元でも話を固めていたけど、
改めてこの皆さんにお聞かせしよう、その設定を。
「ええっとまず、僕はこんなのでも、一応、貴族の坊ちゃんで……」
と説明を始めた僕であった。




