第20話 遠くから見つめる簡単なお仕事のはずが
「ふう、また馬車を出して貰って良かったですね」
「ああセルフィ、冒険者ギルド案件だからまあ当然だ」
「そういえばシグリヌさんの件も含めて、朝から色々ありましたね」
そう、ハーレム朝食という単なる朝食を頂いていると、
まず教会本部の神官とかいうのが確認に尋ねてきたので、
とりあえず事情説明というか正規の手続きで教会員を冒険者にしたお話を。
(結局、リーダーの僕が勇者で非教会員(未教会員)で貴族の出なので、教会はどうしようもないのですよ!)
あきらめたからか、
手が出せないと悟ったからか、
ずーっと『もったいない、もったいない』って言ってたな。
「教会には~、昨日改めて報告ついでに~、確認したのですが~」
「うんリムラさん、確認の確認だったんでしょ、それだけ惜しいってことで」
「それでも~、依頼はすると言っていました~」「油断すると専属仲介役になっていそうだね」
僕らは自由な冒険者、
好きなように生きて、
好きなように死んでいくのさって感じなのに、いや死なないけど、多分。
「それにしても良ろしかったのかしら、朝から待っていたあの女性冒険者たち」
「ルビアさん、あのシグリヌさんのストーカーを連れて行くメリットが無いかと」
「セルフィのお世話係でもやらせれば良かったのに」「いや、あの人らは勝手にシグリヌさんの世話しちゃうでしょ」
と、ここでくっついてきたのが……
「私なら、いっくらでもセルフィの面倒を見るわよ?」
「ファロラはまあ、一応は僕の奥さんだし、僕だって面倒見るよ」
「まあ嬉しい」「ということで間もなく『ドラゴン居るんじゃね?』の森です」「そんな名前だったっけ?」
到着すると、
冒険者ギルドで言われた通り小屋がある、
そして道がいくつか、衛兵さんにご挨拶を。
「どうもおはようございます、ドラゴン調査以来を受けた……」
「話は聞いている、冒険者レベルは」「Dです!」「Dかぁ」「何か」
「そちらの脇道から山を登ってくれ、そして山頂でドラゴンを目視で探して欲しい」
うっわ、結構高い山だぞ?
「そこの大きな道で森に入っちゃ駄目ですか」
「ああ、最近は強いワイバーンがいっぱい居てな」
「亜竜ごときがですか」「数が多いんだ、ただ、あの山頂までは来られないだろう」
安全地帯で眺めろってか、
これでドラゴンを1体でも見つければ良いのかな?
1体も見つからなかったら、それならそれで良いってなりそう。
「ドラゴンが見つかったら、どうすれば」
「またここへ来て、数を教えてくれるだけで良い」
「証拠は」「証言で十分だ、だから嘘はつくなよ?」「はいはい」
という訳で馬車は待機で、
山を登るはめに……凄い蛇行した道、
これ普通にワイバーン狩った方が僕らは楽なのに。
(しかも、段々と急斜面になってきた)
僕は早くも息が切れてきた、
だが他の仲間、パーティーメンバーは平気な様子、
むしろ速度が早くなってきやがる、というのもですねえ……
「ねえセルフィ、私に捕まる?」
「引きずられそう、ってズルいよみんな、微妙に浮いて」
「ふむ、こればかりは仕方ないだろう、種族の差だ」「シグリヌさん……」
とまあ、さすがサキュバス、
微妙に浮いていやがるんですよ!
翼を出してなくても、翼が見えなくても魔物の魔力で飛んでいる。
「いっそ私の背中に乗るか」「いやさすがにそれは」
「ではお姫様抱っこをしてやろう」「今朝のハーレムがハンカチ噛みそうな」
「私としては向かい合って抱き合ったまま山頂まで飛んでも良いのだが」「何のプレイなんですか!」
と言いながらみんなで飛んで山道をショートカット、
僕はファロラに引っ張って貰いながら、ちなみに飛んでいる、
浮いているのがもし他人にバレたら『ファロラの勇者スキル』で通すことにしている。
(とかなんとか、いちゃつきながら? 山頂に到着っと)
岩場に双眼鏡が隠してある。
「まあ、なるほどですわ」
「ルビアさん、どうしたんですか」
「ここ一帯、結界が張ってありますわ、ワイバーンが近づけませんの」
なるほど、
これなら来てしまえば後は楽な仕事だ、
さて、さっさとドラゴンを探し当てて帰ろう。
(簡単なお仕事でCランクへアップですよ!)
とまあ、森の奥を観ると、
いや覗くと居るわ居るわワイバーン、
もうこれ暇ならワイバーンの数を数えたくなってしまう。
「あら~、あちらに~」
「リムラさん、どこどこ?」
「ほら~、ドラゴンの子供が~、ワイバーン達に虐められています~」
双眼鏡で覗くと、
あっ本当だ、結構可哀想。
「セルフィ様、お助けしてもよろしいですの?」
「あっルビアさん、まあ、もし出来るのであれば、ですが」
「では連射して、あえて詠唱で……『スパークインテグレード!!』まずは20発程ですわ」
無数の光の矢が、
森の奥へと降りそそぐ!
おいおいやり過ぎじゃ、と思っていると……!!
「ふむ、ワイバーンは全部倒せたが、ドラゴンの子は怪我しているな」
「セルフィ、助けに行きましょう」「えええファロラ、せっかくの安全地帯が」
「あんまり我儘を言うのであれば、セルフィのベッドが今夜、危険地帯になるわよ」「ひいい」
仕方が無い、
飛んで行くかあ。




