十九話 計画立案
雨ばかりで嫌ですね。これも温暖化の影響でしょうか?
秀人とクローディヌのが出会った翌日の放課後。生徒は全員下校した後、第二中隊は第三格納庫に集められていた。愛斗が全員に作戦を伝える。
「全員よく聞け!我が隊に最高のチャンスともいえる任務が入った」
ロランがいきり立った。
「その任務とは?」
愛斗が頷き言った。
「先日の戦いで小田原の皇国軍はかなりの打撃を受けた。そのため大量の兵器が一機の輸送艇で運ばれる。その輸送部隊の護衛に学園の我が第二中隊と学生エレメントEMA中隊が護衛につくことになった」
ロランが笑みを浮かべた。
「そこで兵器を奪ってエレメントを殲滅。ノーマル解放戦線に参加する。大体は当たってますか?」
愛斗は頷いた。
「その通り、我らの世界のために」
全員が唱和する。
「世界のために!」
秀人が叫んだ。
「出発は明日の早朝!全員、気を引き締めろ!」
愛斗も叫んだ。全員がそれぞれのEMAを整備し始めた。
「久しぶりにエレメントと殺り合えますよ!」
普段はおとなしいアルヴィも興奮している。愛斗は秀人に近づき、言った。
「俺はリリーに別れの挨拶をする。永遠の別れではないが、当分の間は会えないからな」
秀人も頷いた。
「僕もクローディヌに会って来る。リリーに僕の事も伝えてくれ」
愛斗は秀人を見て笑った。
「秀人も遂に彼女が出来たか?」
秀人は顔を赤くして、否定した。
「昨日、会って話をしただけであってべ、別にそんな関係では!」
愛斗は笑っていた。
「別に恥ずかしがる必要はないぞ。人間だからな」
秀人は叫んだ。
「だ、だから!」
愛斗は手を振りながら行ってしまった。
「人の話を聞いてくれよ・・・」
秀人はぼやいた。
「リリー?元気か?」
愛斗が病室に来た。リリーも笑顔で迎える。
「愛斗さん、珍しいですね。二日連続で来られるなんて」
愛斗は悲しそうに頷いた。
「リリー?すまんが当分来られないかもしれない。でも、今の仕事が終わったら必ず会いに来るから待っててくれ」
リリーは寂しそうに言った。
「会えないのは寂しいですけど、仕事なら仕方ありませんよね」
愛斗は優しくリリーの頭を撫でた。
「今日は一日中ここにいて話をしたい。構わないか?」
リリーは嬉しそうに頷いた。
「はい。一日中、一緒にいれるなんて夢みたいです」
愛斗は微笑み、言った。
「よし、じゃあまず外に出るか?」
「はい」
ロランはまた一人チェスをしていた。
「セドリック。見てろ!俺が!俺が仇をとってやるぞ!」
ロランの復讐心は絶頂を迎えていた。もう、敵を、ストライダム皇国を潰す事しか考えられない。
「ロラン。また一人チェスをしているの?」
アルヴィが話し掛けてきた。
「アルヴィ・・・俺は・・・セドリックを・・・あいつを見す見す殺しちまった・・・あの時、助けられたかもしれないのに・・・!」
アルヴィはロランの向かいの席に座った。
「あの・・・僕で変わりになるか分からないのですが・・・チェスの相手なら僕でも出来ます・・・」
ロランは顔を上げた。
「そうか・・・なら、始めよう。セドリックとの対局を思い出させてくれ・・・」
二人は黙々とチェスを始めた。
秀人はクローディヌとの最後の時間を楽しんでいた。
「セドリックはいい奴だったよ・・・本当に・・・」
クローディヌの目にも涙が浮かんでいた。
「仲間の死は悲しいものです。でも、秀人さん。悲しまないで下さい。それが彼の願いでしょう」
クローディヌは愛斗の事を話題に出してきた。
「秀人さん。澪坂愛斗の様子はどうですか?何か秀人さんを危険なことに巻き込んだりしてませんか?」
秀人は笑いながら言った。
「クローディヌは考えすぎだよ。愛斗はいい奴だって・・・」
クローディヌは叫んだ。
「そんな訳ありません!澪坂愛斗は危険です!」
秀人は困ってしまった。愛斗の事をここまで嫌う人がいるなんて・・・。
「でも、生徒会長さんも慕っているし・・・悪い人の訳が無いよ」
秀人は紅茶を飲み干した。
「じゃあ、用事があるから先に帰るよ」
クローディヌは頷いた。
「秀人さん。考え直してください」
秀人は一応頷いておいた。勝負はいよいよ明日だ。
ちなみにリリーという言葉は英語で「百合」の意味らしいです。今日知りました。




