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朱色のゲートウェイ ー 御神体 ー  作者: 此花 陽
昭和末期編

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狂乱の金、踊る虚像


 昭和の終わり。


 日本という国は、実体のない

「数字」の膨張に酔いしれていた。  


 かつてのハクが飲み込んだ土の重みも、

 伊織が刷った活字の責任も、

 美空が放った電波の情緒も、

 すべては「金」という記号に変換され、

 洗浄されていく。

 

 私は、ロンドンのサヴィル・ロウで仕立てた、

 一着数百万円のスーツを纏い、

 西新宿の超高層ビルを見上げていた。  


 空からは、祝祭の紙吹雪のように、

 千円札や一万円札が降り注いでいる錯覚に陥る。  


 だが、私の目に見えていたのは、

 その華やかな狂乱の裏側に渦巻く、

 どす黒い「強欲」のヘドロであった。



「……際限がありませんね。

 この時代の負債は、過去のどれよりも『軽い』。

 ゆえに、どこまでも浮き上がり、

 国を空虚な高みへと連れ去ってしまう」



 私は、最上階のペントハウスへと向かった。  


 そこにいたのは、

 一代で数兆円の資産を築き上げ、

「不動産王」と畏怖された男


 **金成(かねなり)**だった___。




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