エリヰトの繁栄18
「先ずはキョウヘイさんとこに行きましょうか。九雷子学団との交渉についても報告せなあかんし」
九雷子学団って呼ばれてるんだ?
くそ、なんかちょっとカッコよくてムカつくな。キョウヘイ一派とはえらい違いだ。
商業ビルの入り口に二人の屈強な男がおり、その横を通過する。
「まあ駅側からも入れるけど、せっかくなんでこっちから通りますわ。」
「せっかく?」
「学校って無骨なもんでしょ?こっちのが快適かつ優雅な所ってことを紹介したくて」
まあ確かに、どちらに住みたいかと言われるとこちらの方が文明的な雰囲気はあるといえばある。
「まあそれは半分冗談で、さっきの見張りの二人見ました?」
「あの九雷子学団の暴力トリオに負けずとも劣らない感じの人達か」
「そうそう、あの二人の名前。わかります?」
「ブン殴り太郎とか、飛び蹴り三太夫とかなのか?」
「ブハ!それは面白い!でも残念ながらハズレで、正解はこちら!」
仮名真はポケットからスマホを取り出してこちらへ見せた。
「電波ないからメモ帳代わりですけどね。見て下さいよ」
千動 拳多。
組打 絞外。
「キャラ、被っ……!」
「笑えるでしょ。勿論ワザとですわ。足打拳突と千動 拳多。折打 組突と組打 絞外。こう比べてみると、足打拳突なんかは名前で負けてそうですよね。」
「よくもまあ揃えたわ」
「運もあるでしょうが、ウチのボスは真名再臨の最初期から徹底して動いてました。その甲斐あって、人材は豊富です」
「真名再臨ってここでも使うのか」
「正式名称でしょ?みんな使ってますわ」
やったな九雷子。
なんだか知らんがおめでとう。
「学団の方は人材どうなのかね。1日しかいなかったからよくわからんけど、九雷子のワンマンチームみたいな感じだったのかな」
「まあ九雷子さんは頭みっつぐらい抜けてますわ。地頭も良いでしょ?殆ど反則みたいな人です。あと肉弾戦にかけてはサンダースですかね。あの中でも痛打が頭ひとつ抜けてますけど。」
「で、大破壊道路を挟んで拮抗している、と」
「拮抗?いやいや」
仮名真が笑い飛ばす。
「キョウヘイさんが本気で学団を潰す気なら、あそこはとっくにウチの支配下ですよ。」
「え?そうなの?」
「勿論勿論。あそこがそのままなのは、お互いに戦力が消耗したら困るのと、あとは大破壊道路より東が駅側、西が学団の支配地域なんですけどね。その更に外側の侵略から自分とこを防衛せにゃならんのですよ。」
「更に外側ってこと?他にも勢力あんの?」
「そりゃもう山ほど。まあ運の悪い事に、こっちは駅があるんで東に加えて南北からも線路沿いに来る場合がありましてね。正直な話、西側にまで戦力が裂けないんですわ」
「九雷子学団を防衛手段として使っているってことか」
「そういうことです!まあウチがあそことやり合って勝ったとしても、結局は九雷子さんは取り込んでそのまま学校に残ってもらうと思いますんで、攻めるだけ無駄でもあるんです。でもあんまり力をつけても困るんで、時々こうして探りを入れるようになりましてね、見つかっちゃったと。」
頭をかいて、ばつの悪そうな顔をする。
しかしまあ、そうなるとシヴァ闘士捜索と同盟の話はすんなりと行くんじゃないか?
泳がされている九雷子学団の面々は可哀想な気もするけど、こちとらイジメ抜かれたしな。オレはこっちで成り上がってアイツらをアゴで使ってやろうか。
そうこうしているうちに、キョウヘイのいるらしい部屋の入り口に着いた。
入り口にはまたも強そうな門番がおり、ドアをノックして部屋の中へ声をかける。
「仮名さんが戻りました。もう一人連れています」
奥から静かな声で返事があった。
「入れてやれ」
「失礼します」
仮名真はやや緊張した雰囲気でひと言いれ、ドアを開けた。
部屋の奥で、応接間にありそうな椅子に腰掛けている男がいる。
駅ビルの支配者キョウヘイが、鋭い目つきでこちらを見ていた。




