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変化
山川の返答は実に素っ気無かったが、美里は続けた。
「私ね、色々迷ってるんだけど、秋レースには間に合いそうに無いみたい」
「種鳩から仔が引けないって事?2羽の種鳩に交配する候補が決まって無いって事?」
「両方・・」
「それは、大変だ。後一ヶ月内には見つけないとね。尤も、俺も秋レースは中断するが・」
「えっ!」
美里が少し驚き、山川の顔を見た。やはり、視線は遠くに向いていた。
「俺の親父・・危ないらしいんだ。5年前に胃癌の手術したけど、癌が再発しててね・・」
「そう・・だったの・・。何と言って良いやら・・」
先程の涙を見て、見当は美里にも凡そついては居たが、山川の口からはっきり告げられると、かける言葉は見つからなかった。
「覚悟はしてたから。あ・・!そうだ。花ちゃん、俺の鳩を交配して見ない?」
いきなりの申し出に、美里は驚いた。




