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変化
「関取若槻竜!無双剛力、押し一手の相撲、どんな相手にも正々堂々、正面から力相撲。自分はファンだったんだ、あの幕内入幕を賭けた一戦で、土俵下に転落した時の大怪我が無ければ、もっと上で相撲を取れていた筈、又4つ相撲に転向すれば、まだまだ現役であった筈。しかし、正面から取る自分のスタイルを曲げず、引退。自分は好きだった。個人競技の相撲なら自分流を貫くも良し、しかし、鳩競翔は個人では出来ないものだ。鳩を見抜けぬして、君はこの世界でも、幕内には上がれないだろう。若槻君、自分も自分流のスタイルをやっと見つけた。だから、正々堂々とこの世界で取り組もう!競おう!って・・な」
「・・・そんな事が・・」
美里は川中宅での葉山の言葉と、この若槻の店での言葉を重ねた。そんなエピソードを持っていたのか・・。何か、熱いものを感じた。
「わしは、分かって無かったんだ。相撲も、そして競翔も。それから徹底した少数精鋭主義でここまで来た」
「一方は、徹底した管理主義ですか?」
瀬山が言うと、若槻は少し首を傾げた。
「それは・・ちょっと違うな・・。まあ、その答えは自分達が見つけるものだ」
若槻はそう言った。




