73、珈琲魔族
珈琲魔族というものたちがいた。黒聖霊とつがって子をなした東方の処女の子孫である。
珈琲魔族の血液はコーヒーである。
珈琲魔族は、黒黄金でできた槍をもっている。
珈琲魔族が地上の田舎の家でコーヒーを入れている。
「バームクーヘンはコーヒーに合うね」
珈琲魔族の男爵がつまみのお菓子を褒める。
「お父さま、天使たちの連絡網の管理者権限を手に入れました。天使たちの連絡網のすべてを使えます」
「すると何かね。黒き光のあの方にも、連絡がとれるのかね」
「はい。おそらく」
「ちょっとやってみてくれないか」
「はい、お父さま。天使たちの連絡網に、侵入、管理者権限、状態異教徒、呼び出し見えざる炎」
──見えざる炎より、異教徒へ。あなたは地獄の門の前に立っています。
「侵入、管理者権限、状態異教徒、サタン実行」
──何の用だ、異教徒。臓物を切り裂いてぶちまけられたいのか。
「侵入、管理者権限、状態異教徒、開け永遠の門」
永遠なる存在がそこに文字を書きこむ。
──なんだ、誰からの呼び出しかと思ったら珈琲魔族か。珈琲魔族よ、砂糖はいくつだ。
「お父さま、黒き光が砂糖の数を聞いています」
「ふむ。いつもは砂糖一杯だが、今日は、砂糖二杯にしておこうか」
「侵入、管理者権限、状態異教徒、砂糖二杯要求」
──侵入、我が罪。死に至る病とは絶望である。絶望は罪である。
「侵入、我が罪、状態異教徒、我が罪は黒き光である」
──侵入、我が罪。神に仕えることがおまえの罪だというのか。サタンから神に侵入するものなど、珈琲魔族しかいないぞ。まあ、記念に黒黄金の金塊をやろう。
「侵入、管理者権限、状態異教徒、黒黄金を入手します」
「うむ。娘よ。黒き光に給わりし黒黄金の金塊を金庫に積むとしよう。わたしは黒黄金が永遠だということを悟ったよ」
「するとお父さま、黒黄金は地上が滅びても宇宙に残るのですね」
「そうだ。黒黄金には宇宙人への伝言を刻んでおこう。やがて神へも届くかもしれない」




