47、ヒッグス粒子砲
ある時、名状しがたい恐るべき怪物が都市を襲った。人々は逃げまどい、警察や軍隊が出動したが、いかなる近代兵器でもその怪物を倒すことはできなかった。
町はどんどん怪物に破壊されていった。
博士はいった。
「最近、ヒッグス粒子が発見されたじゃろう。ヒッグス粒子が存在するということはどういうことなのだろうか」
助手が答えた。
「博士、そんなことより、怪物が町で暴れています。このままでは研究所も破壊されてしまいますよ」
「なあに、心配はいらん。あの怪物はおそらく、クトゥルーの外なる神たちじゃ。この宇宙の原理がわからないことには、クトゥルーの神たちの体を作る原理もわからない。それならば、どちらにせよ、あの怪物たちを倒すのは不可能ということじゃよ」
怪物は暴れ狂い、町の大半が破壊されてしまった。死者も大勢でた。クトゥルーの外なる神たちはいかなる近代兵器もよせつけず、軍隊をやっつけていた。
「ひらめいた。ヒッグス粒子が存在するということは、この宇宙の真空がエネルギーをもっているということじゃ。この真空のエネルギーが、自発的対称性の破れに影響しているにちがいない。つまり、真空のエネルギーが存在することが、この宇宙において正物質が反物質より発生しやすい原因にちがいない」
「すると、どういうことなんですか、博士」
「なあに、クトゥルーの怪物たちはこの宇宙とはちがう物理原理によってできている。つまり、ヒッグス粒子によって埋め尽くされたこの宇宙の物理原理は、クトゥルーの怪物にとって弱点となるのだ」
「博士!」
「うむ。ヒッグス粒子砲、発射用意」
こうして、ヒッグス粒子砲が作られ、クトゥルーの怪物に向かって照準を合わせた。
「ヒッグス粒子が存在するということは、この宇宙の自発的対称性の破れがこの宇宙にだけ適応する証拠なのじゃ」
「博士、準備ができました」
「よし、ヒッグス粒子砲、撃てええ」
どごーん。博士たちの開発したヒッグス粒子砲がクトゥルーの怪物に命中した。クトゥルーの怪物たちはヒッグス粒子砲によって退治され、この宇宙から去った。




