46/76
46、日雇い勇者の冒険
「汝は選ばれし勇者なり。汝の全力をもって世界を救え」
勇者は、十六歳の時、精霊に啓示を受けた。世界を救えといわれて考えた勇者は、工場へ就職の面接をして、働き始めたのである。
勇者はライン工をしていた。
「これからの時代は工業だ」
勇者はそういう。
そして、勇者は毎日、ラインに立って組み付け作業をしつづけるのであった。勇者以外にも何千人というライン工が工場で働いている。
「勇者よ、何をしている。世界を救うのだ」
といわれるたびに、勇者は工場へ行き、部品の組み付けをしつづけるのであった。
そんな勇者の四十年間の労働の結果、人々はちょっとはマシな暮らしができたじゃろうと口にしていた。勇者は四十年間、工場で組み付け作業をした。




