ローレンツ編 9
アネットを城に連れ戻してから一週間。俺の生活は「アネットを全自動で愛でる機械」と化していた。
「ローレンツ、殿下……。あの、私、ただお茶を淹れようと立ち上がっただけなのですが」
「動くなと言っているだろう。お前が動いていいのは、俺の腕の中にいる時だけだ」
ソファにアネットを座らせ、その膝の上に頭を乗せる。彼女の甘い香りに包まれている時だけが、俺の荒んだ精神が唯一安定する時間だった。少しでも彼女が離れようとすると、俺の心臓は「また逃げるのか」と警鐘を鳴らす。
「ですが、ずっとベッドやソファの上ばかりでは退屈ですわ。たまにはお庭の散策くらい……」
「歩くなど言語道断だ。床が冷えていたらどうする。お前がどうしても歩きたいと言うなら、俺がお前を抱き抱えて歩く。それか、俺の足の甲にお前の足を乗せて歩け」
本気だった。彼女の小さな足が冷えるのも、外の雑多な埃に触れるのも耐え難い。だがアネットは「それはペンギンの親子のようで見苦しいですわ」とため息をついた。
(見苦しい……!?)
その言葉が、俺のトラウマを刺激する。
「見苦しい……!? アネット、やはり俺のことが嫌いになったのか!? あの狭いアパートの方が良かったのか!? 頼むから自分の力で生きようなんて二度と思わないでくれ。お前の可愛い指に、これ以上針仕事のタコができるのを見たら、俺の心臓がストレスで破裂する……!」
半分過呼吸になりながら縋り付くと、アネットは「はいはい、分かりましたから」と俺の髪を撫でてくれた。その手の優しさに、俺は一瞬で腑抜けた犬のようになる。
そこへ、ディミトリが死んだ魚のような目で入ってきた。
「殿下、例の『街の仕立て屋』にあった、アネット様が打たれた刺繍の既製服、および試作品、裁縫箱まで、すべて買い占めてまいりました」
「よくやった、ディミトリ。すぐに我が国の国宝に指定し、専用の保管庫を作れ。アネットの打った針目は一針たりとも他人の目に触れさせん」
アネットが平民時代、生きるために、他の誰かのために心を込めて打った針目など、他の男に一ミリも見せられるわけがない。すべて俺が買い占めて、毎日夜伽の前に眺める。
アネットは顔を真っ赤にして驚いていたが、俺は気にせず、ワゴンの奥からあのサファイアの首飾りを取り出した。
彼女の背後に回り込み、その白い首元に、今度は心からの愛を込めて首飾りをかける。
鏡の中に映る彼女は、深海の星のような青い輝きを纏い、世界で一番美しかった。
「世界で一番、お前に似合う。……建国記念夜会には出せなくて済まなかった。あそこはお前を傷つける有象無象が多すぎた。だから……来月、お前と俺のためだけの夜会を開く。お前はただ、俺の隣で世界一幸せそうに笑っていればいい」
俺の資産も、権力も、この命も、すべてはお前を全自動で幸せにするための道具だ。
「ええ、喜んで。……私の、大好きなローレンツ」
アネットが振り返り、俺の頬にそっと、柔らかい唇を寄せた。
(――っ!?!?)
脳内で天使の鐘が乱打される。アネットからの、自発的な、愛の。
「うぐっ……!」と胸を押さえて卒倒しそうになった俺を、ディミトリが「しっかりしてください、次期国王」と極めて冷淡に支えた。
もう、言葉を間違えることはない。
この歪で、狂おしいほどの愛を、俺は生涯をかけて彼女に捧げ続ける。彼女が「もう甘やかさないで」と泣いてねだるまで、俺の溺愛が止まることはないのだから。
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これにて終了です。
初めてAIを使って書いてみましたが、中々思い通りにはいかないもので……。
でも、自分も読者みたいな気持ちで楽しめたのは良かったかなと思います。
読んでいただき、ありがとうございました!




