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6二日目 はじまり 中編1

二日目は長い

いつの間にかリアカーに乗っていたさすらいの美少女は、悪びれた様子もなく暢気に喋る。


「はじめまして!私はさすらいの美少女。

散歩中に疲れたから休んでいたら、ゆっくりゆっくりとリアカーが来るじゃない?

私は思わず乗ってしまったわけですよ。

いや、ほんと、ありがとうございます。これ、旅館行であってるよね?」

「いや、あってるけどさあ」

「よし、じゃあレッツラゴー!」

「いや、もう現在進行形でレッツゴーだよ!」


訳が分からないが、この状態で立ち止まることもできないので進んでいく。

ちなみにさすらいの美少女は降りる気が全くないようだ。

自称するだけあって顔だちが整っているのはなんか悔しい。

その美少女は足をぶらぶらさせながら暢気に話しかけてくる。


「そんでさー、君が升爺さんの代わりの人?」

「そうだよ!」

「やっぱりそうか、旅館のお手伝いさんだよね」

「お手伝い、まあ、間違ってはいないが」


にしても、最近暑いよねえ。

と相変わらず足をぶらぶらさせてリアカーでの休息を満喫しているようだ。

スカートをはいた足をぶらぶらさせないでほしい。

別に見たいわけではないし、余裕も実はないのだが視界の端にチラチラと入るのが鬱陶しい。

鬱陶しいのだ。

こちとら大人だから、まったくそんなの気にならないし、まして仕事中なのだから。

集中して物事にあたっている。だから何も問題はない。

でも、はためくスカートが気になるのは世の常というのもわかってほしい。


さすらいの人はまったく意識しないでやっているようで、こちらの苦しみにも気が付いていないようだ。

まあ、じろじろ見ているわけでもないし、結局何も見えてないから無駄に疲れただけだが。


「おっ、いい景色だねえ」


漸く、視界が開けた道までたどり着いた。

遠くに旅館も見える。人影もなし。

これならダッシュで降りても問題なさそうだ。


「おいさすらいの美少女、捕まるところないけどまあ姿勢を低くして落ちないようにしろよ」

「え、なになに」


彼女は何かを察したのか言われた通り、姿勢を低くして身構えている。

それを確認して俺は一気に坂道を駆け下りた。


「行くぞおおおおおお!!」

「いい風だああああああああああ!!」


気合の叫びと後ろの客の楽し気な声が響き渡る、案外こっちに余裕はない。

スピードの制御が意外と難しい。そりゃそうだ。調子に乗って勢いをつけすぎた。

足がもつれたら一巻の終わりだ、だが今更どうすることもできないのでこの流れに乗る。


ビュービューと耳元で風の音が聞こえる。

なんか楽しくなってきた!と思ったら旅館が目の前にあった。


「ふぅー、たどり着いた…。大丈夫か」

「へーき、へーき。ああ、楽しかったあー」


到着したらどっと疲労感が押し寄せてきた。

さすがに腕も足もきつい。それに全身汗だくだ。


「いや、ほんとに助かったよ。ありがとね。これはお礼だよ」


ばさりとタオルをかけられる。


「それは使おうと思ったけど使う必要がなかったタオルくん。

ん、使ってたほうがよかった?ま、それで汗拭いてから入りなよ。じゃあ、またねえ」

「…ああ、ありがとう。またな」


さすらいの美少女は機嫌よさげに鼻歌を歌いながら去っていった。

なんというか、不思議な少女だった。あの子のおかげで帰りの下りは賑やかだった。


それにこの後、温泉に入るとはいえ汗は不快だ。お言葉に甘えてタオルで汗を拭く。

落ち着いたら、ポリタンクを入口に運び、リアカーをしまおう。

旅館内は冷房が効いていて涼しい。


「はい、お疲れ様。さすが、若いわね。思ったより早いわ。

朝ごはんはもう出来ているから食べて。ごはんとパンはお代わり自由よ」


入口にポリタンクを置くと叔母さんが出迎えてくれた。

そのまま旅館の食堂に案内される。みそ汁のいいにおいが漂っている。


「食事は毎回この席で食べてね。ご飯のおかわりはここ。

明日からは宿泊客もいるから静かにね。翔琉君なら平気かな。

部屋で食べたいときの台車はこれ。もし、食事がいらない時は前日に言ってね」

「はい、分かりました」

「ご飯食べて、少し休憩したら大浴場の掃除をしてもらうわ。初日はそれで終了よ」

「はい、いただきます!」


叔母さんの説明も半ばにご飯をかき込む。おいしい!

こんなにおいしい朝ごはんは初めてだ。体中に栄養がしみわたっていくのを感じる。

いや、おいしい食事が朝昼晩でてきて、温泉にも入れる仕事とか最高だ。


「おいしい!おいしいです!」

「ふふ、ありがとう。じゃあ食べ終わったら受付に来て」

「はい!」


感動のあまり思わず叫んでしまった。明日からは静かにせねば。

叔母さんはやっぱりまだまだ子供ね。という感じで肩をすくめて去っていく。

俺は思う存分、朝ごはんを満喫したのだった。


朝食後、早速叔母さんから大浴場の掃除の説明を受けていた。


「というわけで、ここが大浴場よ。掃除するときは注意書きの立て看板を忘れないように」

「はい!」

「ここに掃除用具。なにか分からないことある?」

「いえ、大丈夫だと思います!」


とりあえず、初回なので叔母さんと二人で掃除することになった。

要領がいいわね、と褒められてもなんとなく覚えているだけだ。

細かい部分は忘れているので説明は必要だったのだが。


「こんなもんね、お疲れ様。明日から大丈夫かな」

「大丈夫です。もし、分からないことがあったら聞きに行きます」

「それと、今日はもういいけど明日から時間が余ったらほかの掃除も頼むからよろしくね」

「今日もやれますよ」

「いいから、初日ぐらいゆっくりしなさい。温泉にも入るのよ」

「分かりました」


叔母さんの好意に甘えて今日はここまでとなった。

早速、温泉に入ることにした。


「いい湯だったなあ」


すっかり長湯してしまった。体はぽかぽかだ。

立て看板を戻して、一応片付け漏れがないかチェックして部屋に戻った。


温泉はとても気持ちよく。疲れた体に活力が戻ってきてとても元気だ。

となると考えるのは昼からの行動。

外はいい天気で、昨日と同じようにとても暑いだろう。


だからといって、過去と同じように部屋に籠るのもなあ。

さて、どうしようか。


この村をのんびり一周でもしようかな。

それで男二人組にあったら遊びに付き合ってみるか。

少し前の自分からは想像もつかないほどの前向きな思考だ。

けれど、何かを変えたいとずっと思っていた。

だから、まあ、動いてみよう。


俺は食堂で昼飯を食べてから村をぶらぶらすることにした。

選択肢

⇒・村をとりあえず一周してみる

 ・神社にいる神主さんの娘さんが気になる

 ・旅館の中を散策してみる

 ・やっぱり暑いし部屋に籠る

 ・???(まだ解放されてません)

村をとりあえず一周してみるか 

次回に続く

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