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海月万花6 私、自分の力で

「よっしゃあ!オオクワガタだ!」

「中々のカブトムシだ、ふっ、今日は順調だな、ふっ」


完全に目的を見失って虫取りに励む結と大郷。


「良い風…、木陰って案外涼しいね………ぐぅ」

「眠い…すやすや」


八重と守莉は最初は蝶を探していたがいつの間にか木陰で眠ってしまった。


「青い蝶、なかなか見つからないです」

「そうだなあ。珍しいみたいだし気長に行こうよ」


結局、万花ちゃんと二人で周辺を探索する。

気が付けば少し離れた草むらまで来てしまった。

本当に一所懸命に青い蝶を探している。


「万花ちゃんはどうして青い蝶をそんなにみつけたいんだ?」

「それは、その見つけたら幸せになれるから…それに………」


単純に気になって聞いてしまったが、良くなかったかなあと思ったが返事をしてくれた。

万花ちゃんはそこで遠い目をして何かを思い返しているようだ。


「小さなころ、大切な友達が言っていたんです。青い蝶は幸せを運んでくれるんだ、みんなで探してそれでみんなが笑顔になる。とってもすごい蝶なんだよって」

「そうなんだ」

「はい。ずっと忘れていた言葉でした。先輩にやりたいことって聞かれて急に思い出したんです。あれ?どうして、どうしてずっと忘れていたんだろう………。とても大切な思い出だったのに…どうして?そうだ、まどか…まどかちゃん。いや、違うの、わたしは…」

「万花ちゃん?万花ちゃん!!」

「あ。なんでしょうか翔琉先輩」

「いや、青い蝶っぽいのとんでた気がしたけど気のせいかもしれないな」

「ええ?どこですか!?」


途中から明らかに様子がおかしくなった万花ちゃんに思わず強く呼びかけた。すると何事もなかったかのように返事をしてくれた。先ほどの会話がまるでなかったかのように青い蝶を探している。

その姿に心配を覚えたが、深く聞くこともできなかった。ただ、まどか、その名前は記憶しておこう。


結局、その日は青い蝶を見つけることができなかった。

それでも虫取りなんて久しぶりだし楽しかったな。[

カブトムシやクワガタを大量に捕まえて嬉しそうに帰っていった結と大郷。

いい気分転換ができた。疲れが取れてリフレッシュできた守莉と八重。皆が思い思いに楽しんだようだ。

帰り際、そういえば明日は雨だったとふと思い出した。万花ちゃんにも言っておこう。


「万花ちゃん!」

「はい、なんですか?」

「明日は雨だから水汲みは休みだよ。だから朝早く来なくても平気だからゆっくり休んでね」

「え、でも最近お水たくさん汲めてないし大丈夫なんですか?」

「問題ないって叔母さんは言ってたよ。じゃあまた明日」

「…はい、また明日」


そして、万花ちゃんと別れた。

いつものように守莉と二人で帰っていった。


次の日。本日は天気予報の通り外は雨。

けれど暑いのには変わりなくジメっとしていて気持ち悪い。

水をいれる作業もないので遅く遅く起きたかったのだがアラームを切り忘れて結局いつも通りの時間に起きてしまった。


「ここで二度寝したら朝食の時間に起きれないだろうな…。起きるか」


とりあえず着替えた俺はテレビを作業BGMにしつつ荷物を整理することにした。

持ってきたカバンの中には昔懐かしの携帯ゲームとソフトが数点。後は着替え。

雨で濡れてガラケーは壊れたままだけど使う機会もないし修理は夏休み明けでいいかな。

その頃、自分がどうなっているのか分からないけど。このまま高校生から人生をやり直すことになるのかなあ。そんなことを思いながらカバンの荷物を調べていく。

そんな時。


ドン!ドン!ドン!


と乱暴に部屋の扉がノックされた。


「翔琉!万花は来てないかしら!?」


何事だと身構えたら守莉の声が聞こえてきたので急いで扉を開ける。

そこには焦った様子の彼女がいた。服も濡れていて所々に泥も付着していた。


「万花ちゃんがどうかした?」

「ああ、いえ、その様子だと来ていないのね…。家にいなかったの。じゃあどこに…」


俺の返答に当てが外れたような気の抜けた声をだす。そしてふらふらと踵を返して歩き出した。

かなり無理をしてここまで来たようだ。もしかしたら色々と走り回ってからここまで来たのかもしれない。このまま放っておくこともできないので後を追うことにした。それにもしかしたら…。


「守莉。神社は見に行ったか?」

「神社?いいえ…」

「昨日、水汲みを中止すると言ったらそれを気にしていたんだ」

「そんな…」

「とにかく倉庫のリアカーとポリタンクを見に行こう」


倉庫は基本的に鍵をかけていないので誰でもはいれるようになっている。

もし本当に水汲みに行ってるのならばとても危ない。重い水を持って濡れた神社の階段を降りれるとは思えない。

走って倉庫に向かう。いつも置いてあるはずの場所にリアカーとポリタンクがなかった。


「やっぱりない!」

「あの子は…急いで神社に!怪我をしてからでは遅いわ!!」

「待て!雨の対策もしないで走ったら守莉が怪我するぞ!」


守莉がこんなに感情を表に出すのを初めて見た。それだけ万花ちゃんが心配なんだろう。

傘も持って行かずに走り出すのを何とか止めてレインコートを着させる。

そして神社に急行した。入口にはやはりリアカーが置いてあった。

雨は強くはないが石階段は滑りやすくなっている。俺たちは石段をあがっていった。

どこかで滑って怪我していないだろうか。動けなくなってないだろうか。

どんどんと不安な気持ちが湧き上がってくる。

そして神社の本殿がある中層で見覚えのある人影を発見した。

レインコートを着て休憩している万花ちゃんだ。

ポリタンクに半分ほどの水を入れてここまで下りてきたみたいだ。


「万花!」

「…えっ?お姉ちゃん?」


守莉は姿を見るなり走り出し万花ちゃんに抱き着いた。


「もう、本当に心配したわ。勝手に出歩くのは危険だといつも言っているでしょう」

「…うん、ごめんなさいお姉ちゃん」

「怪我はない?体は大丈夫?」

「…大丈夫だよ。心配かけてごめんなさい」

「いいわ、怪我がないならそれで」

「…うん」


万花ちゃんに怪我がないようでほっとしたのは事実だ。だけど彼女の表情は曇っていた。

ただ、何となく察することができる。

この会話が例えば小学生の妹と高校生の姉の会話なら納得できるだろう。

ただ、高校生同士の姉妹の会話とは思えない。

万花ちゃんが自信を持ちたい理由はもしかしたら…。


「お姉ちゃん。でも、私、自分の力で水をここまで運べたの」

「雨だから今日は中止と言われていたでしょう。後は翔琉に持ってもらいなさい」

「………」


万花ちゃんは俯いたまま動こうとしない。

レインコートでどんな表情を浮かべているのかも分からない。

ただ、この状況は良くない。俺は意を決して口を開いた。


>選択肢

=>・うん、俺が持つからとりあえず戻ろう。疲れただろう?

  ・せっかくここまで運んだんだ神社の下まで運んでみたら?

ギャルゲー要素。巻きの展開。

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