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第4話 怪獣撃破

商人を名乗る宇宙人によって呼び出された怪獣。警察隊が戦い辛くも1体を撃破する。そして駆けつけるレンジャー…勝負の行方は?


勇輝サイド。


ザシュッ!!!

いってえ…


怪獣が出たと言うので人気の無い町を駅へと向かっていると、突然背中に痛みを感じた。

 パワードスーツのお陰で体へのダメージはたいしたことなく、すぐさまダメージコントロールが働いて治療が始まるので問題も無いが、生身の人間なら確実に死んでいただろう。鋭い一撃は性格に心臓を狙っていた。


さっきから銃声がしていたので怪獣と警察が戦っていたらしいが、ここへ来たと言うことは警察を倒したのか?

 襲撃してきた怪獣を眺めて考える。

 外傷を負った様子はない。警察が戦っている奴とは別の個体か。詳細が分からないからなんとも言えないが。


まあどう見ても敵…怪獣だし倒してしまって問題ないだろう。これが実は誰かの飼い犬だったりすると後から何か言われるかも知れない。

 首輪とかついていないのを確認して、何で攻撃しようか考える。


怪獣は俺が攻撃しても倒れなかった事を疑問に感じたのか、距離を取ってこちらを見ている。

流石は怪獣。野生の勘という奴だろうか、手札の分からない敵に対してむやみに近付いたりはしない。

 この距離…20メートル近く離れられると正直一撃で仕留めるのは難しい。


「主砲…」

この前と同じく「MK45 5インチ砲」を出す。

光の霧が現れて輝く筒…5インチ砲の砲身が現れた。

「fire!」

その瞬間、いち早く危機を察した怪獣は横に飛び退いた。

 結果的に砲弾は余裕で回避され、空振りして背後のビルに命中した。

 

やっぱりダメか。砲弾は初速が早い。何千メートルも離れた敵艦ならばともかく、この距離で発砲されてから回避するのはほぼ不可能に近い。しかし撃つ前に避けられると話は違ってくる。


 砲弾は基本的に一直線、もしくは放物線で進むため、発射後に進路変更は不可能になる。そして狙いを定めるのには数秒の間時間を有するので、その数秒の間に移動されてしまうと命中はしない。



「…やめとくか」

本来ならばそんな中でも砲弾を命中させるために敵の速度と進路から未来位置を予測して、さらに一度に沢山の砲を撃って命中率を上げるのだけど、この市街地でそれをやればこちらが町を壊す悪者になってしまう。何しろこの方法では有効弾を出すまでに何十発もの砲弾を打つ事になる。現代戦は無駄玉を撃った方が勝つと言うが限度があると思う。

 5インチ砲は比較的強力な砲だ。一撃必殺を狙える分外したときの被害も大きい

 これ以上は撃たないほうが良いだろう。そう考えた俺は5インチ砲をしまった。


「CIWS」

呼び出したのは「MK15 ファランクス」と呼ばれる近接防衛火器システムだ。

 20ミリの機関砲の弾幕で接近してくるミサイルや航空機などを打ち落とす現代軍艦の防衛システム


「fire…」

変わらずこちらを睨む怪獣に向けてファランクスを起動させる。

 ズドドドドドド!!!!

たちまち20ミリの機関砲が放たれる。このSIWSは追尾用、探索用のアンテナやレーダーなど全てセットになっているため照準も必要ない。

 20ミリの射線は驚き咄嗟に回避する怪獣の動きを見越して直撃した。


 怪獣が蜂の巣になって倒れる。

 撃破完了だ。

うん。この武器はとても使える。現代のミサイルは高速化したため高々20ミリ程度の機関砲で撃ち落とせるのか?と言う疑問もあるそうだが、優秀なレーダーと手頃な破壊力は市街戦でとても頼りになる。

 20ミリの銃弾は確かにミサイル相手には力不足かも知れないが、怪獣などそれほど硬くない物をし至近距離から狙う分には問題なかった。



 その時、ビルを挟んだ向こう側から銃声が聞こえた。警察がまだ怪獣と戦っているらしい。

…手伝いに行こうか。この前の感じだと「邪魔するな!」というようでは無かったし大丈夫だろう。



……

数分前


「銃声!?おい、我々の他に出動している部隊は?」

「いえ、出動したのは我々と応援部隊だけのはずです」

 警察の機動隊だ。彼らは応援部隊と合流するため怪獣を捜索しつつ品川の町を五反田方面へと移動していたのだが、そんな彼らの耳に突然大砲でも撃ったかのような音が飛び込んできた。

「ともかく向かおう」

しかし…

「9時の方向!交差点の先に敵!!!」

「射撃用意!!!」

彼らの前に怪獣が立ち塞がった。


ドドドドドドド!!!!

小銃や短機関銃が唸るが、怪獣は恐ろしい速さで移動して銃弾を回避する。まるで目に見えない程の速さで回避と接近を続け、そしてあっという間に距離を積めるとそのまま隊員達を蹴散らしてしまった。蹴散らす瞬間に鋭い鉤爪で一撃を加えるのも忘れない。蹴飛ばされた隊員たちは横に吹っ飛び痛みに呻く。

 ただここまで接近すると怪獣も無傷とは行かず、数発の銃弾を食らってスピードが鈍った。

 先ほどはこのスピードで攪乱した隙に別の個体が攻撃してきたのだが今回は一体のみ。このまま銃弾を浴びせれば時間と共に怪獣はダメージを負ってゆきやがては撃破出来るだろう。と隊長は思った。たとえ怪獣だろうとも銃弾を何発も浴びれば敵うまい。




 突然、それは起こった。

「ウウウッ!ガウォォォォォ!!!!!」

!!!!!!!ッ!

怪獣は少し距離を取って体勢を低く構えると、咆哮を上げた。

 ただ吠えただけでは無い。咆哮とともに強力な音波…ブレスが放たれた。


そのブレスを直に浴びた隊員たちはなすすべ無く消滅してしまった。凄まじい波紋は射線上のあらゆる物を分解するだけでは収まらず、周囲一帯にある建物のガラスは砕け散り、ブレスが直撃した場所はコンクリートであっても粉々に崩壊して砂に変わっていた。


…ピシッ…カシャン


数秒遅れて交差点にある信号機のガラスが砕けた。



 今回の怪獣は商人が言った通り総合的な強さはそれほどでも無いが、代わりに強力な必殺技を保持していた。それがこのブレス「遠吠え」だ。勿論制約はあり、闇雲に何発も撃てる訳もなく使うと致命傷を負うため最後の手段として使うしかないのだが…それでも人間だろうと「分解」してしまう程の威力を誇る。



ブレスを放った怪獣はふらつきながらもその場から逃げようと歩き出す。


「これは…一体…」

しかし、隊長やブレスの射線にいなかった隊員たちは生き残っていた。

 彼らの周囲には光り輝く、ガラスのような壁が現れている。


「ご無事ですか?」

「君は…」


「レンジャー…いや、只の高校生ですよ。」

「レ、レンジャー!?ってことはあなたは!!」

城ヶ根勇輝の存在が関係各所に知れ渡っているのは2話の通り。この隊長も例外ではない。


「まずはあの怪獣を仕留めましょう。…と言ってももう虫の息ですが。」

 怪獣は逃げようと歩き始めたが、数メートルも行かない内に力尽きばったりと倒れていた。

…強力な毒針を持つスズメバチも一度その毒針を使ってしまえば内臓が破けて死んでしまうという。この怪獣も強力な音波は自身の体をも分解してしまうため必殺の一撃を放った後には致命傷を負った。

 隊長は拳銃で怪獣にとどめを刺した。

 

「その…ありがとう。助けられてしまったな…」


「こちらこそですよ。俺などただの学生ですし。」

むしろ一週間前になったばかりの新人が俺だ。その点警察のそれも機動隊はこの町をずっと守ってきた大先輩なわけだ。

「謙虚だな…。それでもありがとう、君が来てくれなかったら我々は皆戦死していたところだ。本当にありがとう。」

「…どういたしまして。…後はどうしましょうか?」

何だろう。何かむずがゆい。

俺はこのむずがゆさをごまかす


 その後、処理班が来て回収と除染が始まった。駅前広場では野戦病院が準備(スーパーアンビュランスとかいうらしい。救急車が病院に変身していた。)されて、レスキュー隊が駆けつけて救助を行っている。

 隊長達も負傷していたため重傷と判断され、救急車で病院に搬送された。隊員たちは俺に対して「サインを下さい!」と冗談をいう程には元気だったので大丈夫だろう。それでも完全に殺された者はどうにもならないが。

 あーあ…この死人の数は結構ショックだな。どれだけの人が悲しむことになるのか見当もつかない。やはりもっと強い武器が必要…いや、強い武器があった所でこうも町中で奇襲攻撃を受けると未然防止は無理か。武器では人を救えないとはよく言った物だ。

 この前の怪人襲撃のときに負傷者がごく少数で済んだのは偶然だな。


 俺は少しでもその数を減らすため怪獣に襲われた人々のうちまだ息のある者を救急隊を手伝って応急手当をする。 

 「よく知ってるね。まだ若いのに」

 「俺はそういう超能力が使えませんからね。そこは知識で何とかしないと。」

 

 噂によるとこう言う治療が出来る超能力もあるという。俺は超能力では殺すことしか出来ないのでそれ以外は知識で何とかする事にしている。応急手当のやり方などもその一つだ。


こうしていつの間にか日は暮れ、夜が更けて行った。


幸いな事はここが要塞都市だったことだろう。地下空間に巨大な病院がいくつもあり、レスキュー隊も嘗ての東京とは比べものにならないほど増員されていて物資も人も十分にある中では一応のトリアージこそ行われるものの、「助けられない重傷者」は限りなくゼロに近かった。



・・・

・・




「いかがでしたか?この〔3式薬剤〕は?」

「…」

商人はまたテロリストの元を訪れていた。


「錠剤がたったの三粒でこれだけの破壊力です。この獣の軍隊が有れば…あなた方の国を乗っ取った売国奴を倒す事も可能です。大国の軍隊と一戦交える事も出来るでしょう」

 

 そう。人員も、武器も、睡眠も食事も休憩も必要なく裏切りの心配も無いこの獣の軍隊…怪獣の軍隊が有れば、正規軍と互角以上に戦う事も可能だし、ましてやクーデターを起こすことなど造作も無いだろう。

 それどころか弱体化した大国の支配領域から土地を奪う事だって出来る。

 現にこうした事例は多数起きている。東京要塞の場合はシステマチックな対策マニュアルに沿って機動隊が出動し、またレンジャーが駆けつけたために事なきを得た。

 しかし、碌な対策組織もなく、厄介な超能力を持つレンジャーもいない状況で怪人が暴れたらどうなるだろうか…

 国が崩壊して内戦状態の中国や泥沼の紛争を続ける中東、支配領域の拡大に躍起なアフリカや、独立を企てる南西ロシアなどでは、反政府軍や過激派組織が市街地で怪人を暴れさせたり怪獣を解き放つテロ行為が頻発している。


 もはや悩む余地すら無かった。普通の怪人ならともかく、これはあまりにもハイスペックな兵器だ。

 ここで買わなかったら何も変わらない。

「勿論買おう。でも…」

「代金は今は結構。これは投資ですから結構です。それでは…商談成立ですね。まずは12ダース提供いたしましょう。」

「それで構わない。」

 こうして恐ろしい取引は結ばれた。

 

 これはほんの一例だ。彼の顧客は多い…

 嘗ては大国が代理戦争を企てて紛争に加担したのだが、現在はこうして別の勢力によって彼らは利用されていた。

 本当に代金がタダな訳がない…彼らはやがては取り返しのつかない対価を払う事になるとは、この時は想像もしなかった。


(まあ、私の計画では利益は他から取るので構いませんが。…こんな錠剤など何の価値もありませんしね…。)

 そして、商人と名乗る宇宙人が策略を立てて居ることなど、誰も知るよしも無いことだった…。


 



怪獣の必殺技は「音波衝撃砲」です。王道のブレスタイプの必殺技で当たった物を音波振動で粉々にしてしまいますが一度しか使えず使ったら重傷を負います。

 

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