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第9話 VSダイヤモンス1






伊豆半島沖


駆逐艦吹雪



「4式誘導弾、発射用意よし。」


「1番から3番、発射!」



轟音。噴煙を上げて、3発のミサイルが放たれた。“長槍”の名を持つロケットだ。

 嘗て駆逐艦が搭載した必殺武器の魚雷…それと同じ愛称を持つ兵器だった。

 実際、世界的に見てもこの長槍と言うミサイルは最強クラスの攻撃力を有していた。


長槍は放物線を描いて飛翔し、やがて富士山麓へと降り注いだ。



怪獣ダイヤモンスの超能力を繰り出す源であり、弱点でもある背中の突起は空から狙う上で特に遮る物が無い。この背中の突起は破壊光線

ディスパーションを放つ際に発光、発熱するようで熱効率の問題から露出していると思われるが、そのため狙いやすくもあった。


飛来したミサイルはその背中の突起に直撃した。 

 大きく3つの山のように連なる鉱物状の突起に3発のミサイルはそれぞれ命中。

 ピシリッ!!!

ヒビが入る。次の瞬間、ミサイルは炸裂した。


陸軍の陣地や遠く麓の町でも体感出来る程の轟音と振動が巻き起こる。


爆発の煙が晴れると…


「キャオオオオオ!!!シャオオオオオオオ!!!!」

ダイヤモンスは怒りの咆哮を上げる。しかし反撃はしなかった、否、出来なかった。


背中の突起は根元から砕けていた。マッハ3の速度で飛来した長槍は最前部の探敵部と次位の誘導制御部が瞬時に砕かれて弾頭が背中の突起にヒビを入れた。

 そして信管が作動して炸裂し、この衝撃でヒビが入った突起は根元から折れていた。


ダイヤモンスは反撃しようと再び範囲殲滅を放とうと背中の突起を光らせるも、光は霧散してしまい収束されない。


「部位破壊成功!部位破壊成功!!怪獣は超能力を損失!」

高度を飛行する偵察隊が攻撃成功を観測してすぐさま司令部へ通信を送る。


……


御殿場付近


陸軍部隊


「前進!」

隊長の号令で、戦車隊が前進を始める。

中隊とは名ばかりの物であり、総数は42両に達してその全てが最新鋭の5式戦車で構成されている。

 5式戦車は10式戦車を拡大改良された戦車だ

。特に鹵獲されたオーバーテクノロジーによって製造された軽量かつ強度な複合装甲を備えており第5世代戦車の中でも決定版とされている。


「目標を捕捉。背鰭は順調に破壊したようです」

「流石だな。ただ油断はするな。」


双眼鏡に捉えた怪獣は確かに背中の突起を失っていた。しかし相手は怪力と、並大抵の火力では突破出来ない硬い皮膚を持つ超常生物…油断は出来なかった。


そして、彼らは進軍し射程圏内に怪獣を捉える。


「砲撃開始!」

120ミリの主砲が次々に火を噴き、砲弾が怪獣に命中してゆく。


砲弾が炸裂して炎が上がる。怪獣が悲鳴のような咆哮を上げるが鉄の雨はやまない。

 火薬と鉄の匂いが立ちこめ、薬莢が排出されては砲弾が装填されてまた放たれる動作が永遠に続くかに思われた。 


そこへ第901航空隊のドローン…3機のXA5攻撃機がやってきた。

 そして、40ミリの機関砲の掃射と105ミリ砲の砲撃、ロケット砲とミサイルの斉射で航空支援が行われる。

 

 陸軍は既に怪獣の付近に到達し、中隊で二手に分かれてさらに射撃を繰り返した。


 陸と空から同時攻撃を受けた怪獣の周囲は砲煙で染まりぼんやりと霞むほどだった。そのもやの中に機関砲の射線が煌めき、砲弾の炸裂がピカピカと光り輝いて幻想的な、破滅的な美しい風景を作り出していた。

 

 このまま終わるかに思われた。怪獣は確実にダメージ受けて動作は重くなり、このまま攻撃を続ければやがては倒せるだろうと誰もが感じた。




そしてとうとう、ダイヤモンスの動きが止まった。


ゆっくりと。うずくまるように体勢落としてゆく。

しかし攻撃は止まない。陸軍も空軍も弾薬を残すつもりはなかった。

 後一押し…ありとあらゆる火器が怪獣へ向けて放たれる。そして銃弾や砲弾やミサイルやロケット弾が嵐のように怪獣に降り注ぐ。


これがもしも特撮映画やアニメならば、主人公格の戦車隊中隊長や航空隊のパイロット辺りが「やったか!?」

等と言ったフラグを立てるものだが、彼らはそんなことはしない。

 





…その異変は突然訪れた。







「なんだ…これは…」

陸軍も


「一体…何が…」

空軍も


その異変に気が付いた。


砲煙のもやとは違った、キラキラとした何かが、何処かから現れて周囲一帯に舞っていた。

 

はじめは視界の中に映り込む程度、そして10秒もしないうちに前を走る戦車が見えなくなる程に舞っている何かは増えていった。


 たとえて言えば、埃や小さな粒子が空間に舞っていると光を反射してキラキラ光る事がある。それに似て、そして少し違うようななんとも言えない風景が広がっている。


 光の粒子は吸い込んでも問題ないらしい。少なくとも戦車隊…中隊長の体に異変も無く、自車の乗員も体に異常は来して居ない。

 むしろ実態があるのかすらも分からなかった。これが全て夢で、怪獣の何らかの力で幻覚でも見せられていると考えた方がしっくりくるような光景だった。

 

 しかし周囲一体は金色の世界に包まれてしまい前も見えないため進行は止める他なかった。通信は問題なく使えるため怪獣の左側にいた中隊20両に停止するように伝える。反対側の中隊も停止したらしい。


一方の航空隊もまた機体には何ら異常は無い物の、原因不明の金色の粒子で視界を塞がれて攻撃を中断した。

 

 

 そして、数分もしないうちに自体は急変する。


 周囲を舞っていた金色の粒子が上空の一カ所へ集まり始めた。砂嵐のような空気の渦が巻き起こり、そして金色の粒子は絡め取られるかのようにその渦に巻き込まれて…


 そして一つの塊へと変貌した。


 驚き戸惑う陸軍部隊、航空隊を余所に光の塊は地上…怪獣へ向けて一気に急降下。怪獣へと取り込まれた。






「グルウウウウ…シャオオオ!!!!シャオオオオオオオ!!!!」


ダイヤモンスがゆっくりと立ち上がる。謎の光によって回復したようだった。そして…


「シャオオオ!!!ギャオオオオオオオ!!!!!!」


ダイヤモンスの体に変化が表れた。破壊された背中の突起が修正…というよりかは生成されて行く。そしてまるで氷山やクリスタルのような巨大な角が生えてきた。


「シャオオオオオオ…」


背中の角に光が満ちて行く。クリスタルをしたからライトで照らすかのように発光し、その光がどんどん強くなって行く

 光と同時に熱量も高まり、クリスタルの発する熱は付近にいると熱いほどであった。


「不味い!!!全軍撤退!退避しろ!!!」


中隊長はその現象の意味するところを察してすぐに自分の指揮下にある全ての部隊に撤退命令を出す。


 国防軍は増強されたとは言え兵員は半数以上が自衛隊時代から引き継がれている。

 中隊長もその一人であり、嘗て大怪獣ダイヤモンスが襲来したときにの対策部隊に含まれていた。故に嘗て襲来したダイヤモンスの背中の輝き…超能力の破壊光線を放つ前触れのチャージを見たことがあった。


 誠にもって幸運な事に現在の国防軍は自衛隊時代、大怪獣たちとの戦争で経験を積んだ歴戦の兵士が指揮官の職に就いていた。


 彼らは経験と勘でこの危機を回避した。

 他の部隊でも撤退命令が出る。


今の輝きは嘗てみたそれより明らかに強力だった。ダイヤモンスが放とうとしている何らかの超能力は間違いなく途方も無い威力を持つ物だった。


戦車隊は攻撃を加えつつ大急ぎでその場を離れる。航空隊も同様に空域を離脱する。

 背中の突起は長槍の攻撃でもヒビを入れてたたき折るのがやっとであり、鉱物の塊、山のように強化されたクリスタルの角を今ここにある120ミリ砲で破壊するのは不可能だった。現に撤退しながらも放った砲弾は角に命中しても、角には傷一つ付かない。

    

そして、クリスタルの角は直視できないほど目映く光を発し、次の瞬間一筋の光線が放たれた。

 破壊光線…しかし威力が先ほど放たれたディスパーションとは桁違いだった。白く光る光線だった先ほどに比べて、光線の中に金色の線と銀色の線が混ざり、太い光線の中に模様が見えた。

 光線は範囲殲滅のシンチレーションでは無く一点突破の筈なのに周囲に並々ならぬ衝撃を与えて全てを破壊しつつ直進し、そして御正体山と丹沢山を貫いて吹き飛ばした。

 一撃。一撃で山を二つ吹き飛ばすような破壊力を持つ光線…ただの怪獣や怪人を超える大怪獣の持つ必殺技は何処までも規格外だった。


一度はダウンし追い詰められたダイヤモンスは謎の回復を受けて立ち上がり、再び進撃を始めた。


背中のクリスタルが存在している以上、再び接近戦を仕掛けるのは困難になってしまった。戦車隊と航空隊は距離を保ってダイヤモンスを追い掛けるも近付く事は出来ない。


 国防軍は確かに屈強なる軍隊だったが、大怪獣ダイヤモンスはそれを超える強敵だった。





~ステータス


名称:ダイヤモンス

ランク:大怪獣級

通称など:金剛石の竜 金剛竜 ダイヤモンドドラゴン ダイヤの守護獣 宝石シリーズNo,1


全長:約60メートル

全高:約30メートル(第2形態は40メートル)

体重:約18万トン(第2形態は19万トン)


主な能力と技


・ディスパーション

 最強の必殺技。王道のブレスタイプの光線技で、口から煌めく破壊光線を放つ。

 2タイプあり、命中すると町一つを壊滅させる程の大爆発を引き起こす“榴弾”と、一点突破を極めてその一撃は山をも貫く“徹甲弾”に別れる。

 威力は怪獣の中でもかなり強力な部類にある。

 

・シンチレーション

 別名、範囲殲滅とも呼ばれる光線のような物。背中の角から放つ光によって周囲一帯を焼き払う。この技を使うと極端に消耗するらしく滅多に見せない。追い詰められた時に肉薄してきた敵を殲滅する切り札でもある。射程距離は国防軍は嘗ての戦訓から周囲3キロと予想していたが実際には多少威力は落ちても10キロ程度は可能なのでは?と思われる。


・破滅の光

ディスパーションとシンチレーションを合わせたような技。とある手段によって十分すぎるエネルギーを集めたためディスパーションを“徹甲榴弾”とした貫通力、破壊力を併せ持つ光線にさらに範囲殲滅を付加したチート技。山二つをなぎ払い谷を作った。

 


・吸収

 詳細不明。この影響で一気に傷を癒やし第2形態へ覚醒した。


・探敵

 熱源や電波量などから自身の脅威となる存在を探し出す。



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