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もってけ! 説明会!

「結局これってどういことなんだろう……」


 空中に浮かぶ半透明の四角いウィンドウとメニューと書かれた丸いボタン。

 明らかに何からの魔術である。

 先ほどメニューのボタンは押したのでしばらく置いておくとして、現在開かれているウィンドウは今は4つ。


 1つ目は、「メッセージ」と書かれたウィンドウ。先ほどの会話をしていたものだ。

 2つ目は、「ステータス」と書かれたウィンドウ。

 3つ目は、「スキル一覧」と書かれたウィンドウ。


 最後は、ショートカットと書かれたウィンドウだ。


 とりあえず、中央にある1つ目のメッセージウィンドウを見てみる。



『名前:ジア・スルターナ・アフタースクール

HP:1225/1225

MP:17126/17126

SP:2741/2741

種族:人間

性別:♀

職業:未設定 Base.Level.110 Job.Level.50

デュアル:空間魔術師 (Sky walker) Job.Level.50

ジョイント:貴族/王族 Level.3

称号:スルターナ・アフタースクール公国第一公女』



 これは自身の持っている能力を示しているのだろうか?

 ジアには名前、種族、性別、ジョイント、称号には見覚えがあった。

 なにしろ今までの自分のことだから。

 しかしそれ以外の数値や項目は見慣れないものだ。


 ――!? 空間魔術師ということは魔法とか使えるのかしら?

 かなり興味が持てたジア。若干興奮する。


 しかし空間魔術という名前は聞いたことが無かった。

 あまり魔法の知識がないジアだが、魔法というと火水風土に基づく四大精霊魔術が主流だというくらいは知っている。

 妖精族(フェアリー)が使う大地のゴーレム召喚は土魔法の一種だ。

 そのほかにも光や雷を操る光魔法や、死霊を操る闇魔法、などというのもあったはずだ。

 その、どれにも属さない魔術。

 もう少し詳しく知る必要がある。


 その空間魔術師と書かれた箇所を軽く押すと、今度はスキル一覧と書かれたウィンドウが薄く光った。

 これを見ろということだろうか。


 表示を確認すると。


『デュアルジョブ:スキルポイント27/50

- 瞬間転移 Level.20 ([使う]/[詳細])

- その他 ([追加取得])』


 というメッセージが見て取れる。どうもこの≪瞬間転移≫という魔法が使えるらしい。

 その他 ([追加取得])というのも興味があるが、まずこの≪瞬間転移≫の詳細を確認してみた。

 『詳細』ボタンをクリックする。



『スキル名:瞬間転移――

習得可能 Job.Level.30 / Skill.Level.20 MAX

空間魔術の代名詞スキル。一度でも見たことがあるのなら、その場所に瞬間転移ができる。

使用MPは距離、最大移動可能距離はスキルレベル、リキャストタイムはINTに依存する。

ただし異世界間移動時にアイテム/装備品は持ち込めない。

また、生存できない地域に転移すると死ぬ。

- Level.1 1cm,

- Level.2 4cm

- Level.3 8cm,

- Level.4 16cm,

- Level.5 1m (1キャラ分),

- Level.6 1m (1キャラ分/ここから攻撃回避可),

- Level.7 4m,

- Level.8 8m,

- Level.9 16m,

- Level.10 32m,

- Level.11 333m,

- Level.12 634m,

- Level.13 2,187km,

- Level.14 3,000km,

- Level.15 6,371km,

- Level.16 12,742km,

- Level.17 10光年,

- Level.18 10万光年,

- Level.19 10億光年.

- Level.20 160億光年』



 ……。



 とにかくすごい距離の≪瞬間転移≫ができることは分かった。

 だが物心ついたときには既に王城と今のこの自分の屋敷の往復しかしていないジア。

 あっても宝の持ち腐れのように感じた。


「後は、向こうの世界かー―。……ダメね」


 まがまがしい魔法陣が書かれた小さな部屋。


 あそこへ行けばこの不自由な世界からは開放されるだろう。

 ただその後、あの魔術師や亜人のシャーマンに何をされるかを想像して、ジアは身震いする。


 とにかくまずは使ってみるか――

 発生するかもしれない危険より、好奇心をジアは優先させた。

 屋敷内ならとジアは考えて、屋敷のリビングに転移することを試みる。


 そこはいつも朝食を食べる所だ。いたとしても不思議ではない。

 ≪瞬間転移≫の『使う』ボタンを押す。

 なにもおきない。

 焦る。

 しかし、ふと目を横に泳がすとショートカットのウィンドウが薄く光っていた。

 そこには人がジャンプしているような形象文字のボタンが表示されている。


 そのボタンを押した瞬間、ジアの身体は一瞬で掻き消え――


「ここはー」


 周囲を確認し、念じた通りのリビングに瞬間移動できたことにうっすらと笑みを浮かべる。


「これが……。魔法? すごい……」


 魔力というものは分からないが、何か力が動いたような気配は一切感じられなかった。


 疑念はあるが、しかし術は行使され、実際に瞬間移動が出来ている――

 ジアは始めての魔法に興奮した。


 そんなジアの背後から声が掛かる。


「あらあら? 姫様。寝巻きのままどうされたんですの? まだ朝早いですからお食事はまだですけど、すぐお持ちいたしましょうか?」


 若い声。

 メイドの格好。

 疑うべくもない、ジアの世話をしてくれる侍女の一人だ。

 だが、その姿に目を見開く。


「あら?」


「え?」


 彼女を見るとステータスのウィンドウが開き、メッセージが浮かび上がったのだ。


『名前:リナ

HP:412/412

MP:103/103

SP:201/201

種族:人間

性別:♀

職業:盗賊 (Attack burglar) Base.Level.3 Job.Level.2

ジョイント:侍女 Level.2 密偵 Level.4

称号:スラッシュ王国・密偵』



 スラッシュ王国とは西の隣国であり、そして近年の敵対国である――


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