全裸待機の美少女勇者は常に異世界から召喚される
いきなり強い光を感じ、私は目を閉じた。
次の瞬間、強烈な眩暈を感じ、立っていることもできず座り込む。
しばらくするとその光も収まる。
私は辺りを見回した。
そこは小さな部屋。
床の生暖かい感触に顔をしかめた。
床についた手を目の前にもってくる。
その生暖かい塗れた感触。
血だ。
どうやら魔力を纏っているのか薄く光っている。
よく見ると魔法陣の只中に私はいるようだった。
そこでようやく。
私は一糸纏わぬ――全裸であることに気づいた。
「――」
声にならない声をあげる。
しかしその場から逃げようとするが動けない。
魔法陣が私を拘束しているようだ。
動こうとするたび、魔法陣が反応して光る。
強く引っ張ると、それは痛みを伴った反応に変わった。
「やった。やったよタッキー。だーいせいこぉぉ(ドヤ」
「って、まて、彼女激しくいやがってんじゃねーか」
「うーん。なかなかの役者だねッ。のりのりじゃん。さぁタッキー、その手で女の身体に触れ、隷属の契約をするのです。これでいつでも彼女をスキにできる……」
「ってなぁ、おい……」
「(ほらー、カメラ回っているんだからさー。タッキーももっと攻めてよぉ。ぶっこんでよー)」
「ふあーはは。勇者よ。ここは異世界。我は火炎剣のタッキー。魔王を駆逐し、世界を混沌に陥れるのだぁ」
「そうそう、そんな感じ、やっちゃえー」
そして魔法陣の横に2人の誰かがいることに気づく。
一人は少女。
地域土着の白い服装に赤いプリッツスカートのシャーマンの格好をした少女で、呪術様式用なのかお面を被っている。
白銀の髪に狐耳。尾が何本か。どうやら亜人間のようだ。
もう一人は男。
この魔法陣で使用したであろうニンゲンの魔術師か。
見たこともない服装。悪魔のような黒髪。そして漆黒の黒目。
なんとも不気味だ。
「召喚魔法……?」
私はその魔法陣の正体にようやく気づいた。
魔物を召喚して強制的に使役する魔法。おとぎばなしに聞いたことがある。
だがあれは。
強力な、ドラゴンといったものを召喚するものではなかったのか?
頭が混乱する。早くここを脱出しないと…。
身体を腕で隠しながら迫り来る魔術師を避けようとする。
だが動こうとすればするほど、魔法陣は私を締め付けた。
そして魔術士の手は、無常にも私の額に触れる。その瞬間、魔術師は叫んだ。
「帰れ!」と。
その瞬間。
魔法陣が異様なまでに輝き、私が見ていた世界はまたも暗転し、私は意識を失った――