幕間:ライト文芸賞2MF
「タッキーとー」
「さいてーの魔王のぉー」
「「ぶっちゃけ動画ぁぁぁ ひゃっはー」」
みんなが笑顔になる動画投稿用にまわしているビデオカメラ。
正確にはスマホなんだが、その前でタッキーとようこはいつものようにハイタッチを決める。
今日のようこは狐のお面に巫女服、狐耳のカチューシャ、九尾のしっぽアクセサリーというコスプレで顔ばれを防ぐ完全武装体制。
対するタッキーは白のダブルボタンのタキシード。
「さぁ、タッキー。そのコスプレで学生時代を思い出して『前え倣え!』のポーズを取るのです。主に僕のために」
「俺はまだ学生だっちゅーに。自称中二の美少女さんよ」
そうも言いながらも、しかしタッキーは体育で並ぶときにする、両手を前に突き出すポーズを律儀にする。
「はい! 某ファーストフード店に飾られるマスコット、完成です!」
「こぉぉらー。俺で遊ぶなぁ。阪○が優勝できなくなる呪いを掛けられてぇかぁぁー」
「いやーん。タッキーが怒ったー」
とりあえずようこを押し倒しておく。ここまでが最近のスマイルセットメニューだ。限定壁紙がもらえる。
「というわけで、通常3日毎更新の『魔王になろう』ですが僕は今日言いたいことがあるので幕間更新なのです」
「あぁ、作中だとケイン君やジアちゃんが面白おかしい痛快MMO-RPGを繰り広げている小説版の方だね」
「ななんと、アクセス数がとても少ない!」
ようこはコブシをくっ、と振り上げてドヤ顔を決めた。
「ようこ、ぶっちゃけすぎだ」
タッキーは頭を抱えた。
「他の魔王や勇者を題材にした小説が100万アクセスとかあるところ、ななんと! 『魔王になろう』のアクセス数は――」
「おぃやめろ」
そう、1日のアクセス数が伸び悩んでいる。
更新していないとき、酷い時など1とか2なのだ。
それが『魔王になろう』。
ようこの切実なる問題であった。
「繰り返されるアクセス解析をするたびに絶句する日々に僕は絶望していたのです! だがしかし! 僕は見つけてしまった」
「うわー。嫌な予感しかしねー」
ようこはインター○ットエクスプ○ーラーのある画面をタッキーと動画を取っているレンズに見せた。
そこには「ライト文芸賞2MF」なる文字が躍っていた。
「あー、察するに『魔王になろう』の知名度を向上するためにとりあえずてきとーな応募に乗っかってみよう大作戦なわけだね。ムーブメントだねー」
そんなんでうまくいくわけねーだろ。とタッキーはため息を付いたが、ようこはのりのりだった。ロリの女の娘がのりのりなのは可愛い。
だがそこには大きな問題があったのだ――
「えっとー、応募規程は――なになに……
『■下記がすべて満たされていること
・キーワードに、MFブックス部門は「ライト文芸賞2MF」、アリアンローズ部門は 「ライト文芸賞2AR」が設定されている作品 (アルファベットは半角です。)
・キーワードが下記のシチュエーション・テーマ属性から1つ以上、主人公属性から1つ以上設定されている作品
※下記から選択し、必ずキーワードとして設定をする必要があります』
だってさ。
ようこ、キーワードどれにすればいいんだろうね。これ」
「困ったのです。
シチュエーション・テーマ属性/最低1つを選択が
『・政治・経済
・戦い
・やり直し
・成り上がり
・ものづくり
・逆玉
・歴史
・学園
・料理』
主人公属性/最低1つを選択が
『・ヒーロー
・ニート
・主人公最強
・ハーレム
・隠れヒーロー
・知識チート
・チートなし
・悪役
・ぼっち』
とかあるんだけど、どれに当てはまるかさっぱり分からないのです。この作品」
「んー、『戦い』はあるんだから『戦い』でいいんじゃないのか?
ほら、戦争もあって人も死ぬし、魔法も飛び交うし、ヒロインのジアちゃんも死にまくるし!
この前なんてジアちゃん人心を揺るがす凶悪なゴブリン倒してたじゃん」
「タッキー、ヒロインはかわいい僕ではないかと思うのです」
「(無視して)でも『戦い』だときっと競合作品が多そうだから厳しいか?」
「競合回避するのです? なら僕は雷精霊群の技術基盤機構の立場としてMMO-RPG作っているんだから『ものづくり』なのではないかと思うのですが。さぁ魔王となってみんなで異世界創りましょー」
「他のは選択するのも難しそうだねぇ。『やり直し』はなんかSaga2以降のネタなので選べないし、『成り上がり』もジアちゃん既に公爵家のご令嬢で金髪巨乳だし……」
「ある意味最強なのです」
「こうして見ると主人公属性は『主人公最強』だよなぁ。ジアちゃんなんて公式の主人公だし。みもふたもねーけど、どんな最強プレーヤーだって垢BAN喰らえばイチコロさ」
「タッキーが主人公なんだから悪の魔法使いってことで『悪役』でも良いのでは?」
「俺が主人公? ないない」
そんなこんなで、キーワードは極めてテキトーに決定していくのであった。
他のに応募する場合、大人の事情によりこの幕間は自動的に消滅します。




